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読書感想文

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01 /28 2021
 

南 清貴「行ってはいけない外食」を読む

 副題<飲食店の裏側を見抜く> ファミレスやファストフードの店で食べる料理がいかにええ加減なものかを告発する本。著者は一般社団法人 日本オーガニックレストラン協会代表理事。

 なにしろ、飲食業界は競争が厳しい。いかに安く仕入れて高く売るかで勝敗が決まる。いかに、安全で美味しい料理を提供するか、に注力する業者は生き残れない。そんな業態のウラ側を説明するのでありますが、本書を読めば、神経の細かい人は外食する気がなくなるでせう。

 たとえば、ファミレスや持ち帰り弁当などの白いご飯。品質の悪い米をごまかすために精米改良剤という薬品が使われる。見ても、食べても分からないから誰も疑わない。この薬品はプロピレングリコールという物質が主体で、食品添加物としては「乳化剤」として扱われる。同じものを工業製品として作る場合は「界面活性剤」と名付けられる。シャンプーや洗剤に使われる化学製品である。これを炊飯時に混ぜると、白く、つやつやの光沢あるご飯に仕上がる。しかし、味までよくすることはできないから、見た目はいいのに食感は「モソッとした」感じになるが、鈍感な人はだまされて「美味しい」と感じてしまう。ご飯のツヤは界面活性剤のせいだった・・。どないです?自分は知りませんでした。

 中華料理店を主として野菜類は洗わずに調理するのが常識になっている。手間を省くためでもあるけど、一番の理由は劣化を防ぐためだ。大量に消費するネギなどは洗いナシで機械で刻んでオワリ。雑菌はついたままで客に供される。少数の運の悪い人は病気になる。
 調理師の仕事ってほとんどハンドワークだと思いがちだけど、それは一握りのエリートのみ。一般のレストランではコストダウン、省力化、すなわち「生産性の向上」をはかるために、食材や調理方法はどんどん「工業製品化」されつつある。では、工業製品=美味しくないのか、といえば、そうではない。そこは一所懸命に努力して客に嫌われないように「美味しそう」にして提供している。界面活性剤入りのご飯と同じ発想で客を欺いている。化学薬品で「美味しさを演出する」時代である。

 ファミレスやビジネスホテルのレストランで供されるサラダバー。食べ放題だから「野菜もしっかりとらなくては」と皿に取り込むが、この野菜は栄養価がほとんどない。なぜか。野菜自体、上等なものはない上に、見た目の鮮度を保つために次亜塩素酸ソーダという薬品の液に漬けて消毒、殺菌し、このままでは匂いがきついので水でジャブジャブ洗って匂いを消す。この時点で野菜の栄養分はほとんど洗い流されてしまい、食物繊維くらいしか残っていない。でも、見た目はシャキッとしているので、客は「新鮮な野菜」と錯覚してしまう。この作業は工場で行い、店では包装を解いて盛りつけるだけ、素人のバイトでもできる。(次亜塩素酸って、コロナウイルスの消毒にも使われてるような・・)

サラダバーの食べ物で調理人が作る料理はひとつもない。全部、工場から搬入されたパック品である。食べ放題をうたってる料理にコストをかけていては大赤字になる。オール「工業製品」で賄ってこそ赤字を免れる。 「味の素」の発明?以来、化学調味料の研究、開発が進み、同時に人間の舌が化学調味料に慣れ(なじみ)天然もの本来の味や香りを忘れつつある。伝統を守る一流店で昔ながらの「天然の味」で料理を出すと化学調味料になじんだ二流の客は美味しくない、とか、物足りない、という反応を示す。ニセモノが本物を駆逐するのだ。さりとて、店も商売だから、そんな二流客を無視すると客がいなくなる。で、渋々、二流客の味覚レベルに合わす・・店の料理レベルが落ちる。悪循環がはじまる。

 というわけで、国民の大半は残念ながら味覚において二流レベルだから「一流の店」の維持はだんだん難しくなっている。本当に美味しいご飯、本当に美味しい刺身、本当に美味しい野菜・・を知らない人がどんどん増えて長年築き上げた食文化を壊しているのが現状だ。ふだん、私たちが巷のレストランや回転寿司店で食する料理の大半は「工業製品」であることを認識しておこう。「安い」のは事実だとしても「旨い」のが事実かどうか、いささか怪しい。(2016年 三笠書房発行)

外食 


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 dameo

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