FC2ブログ

読書感想文

読書感想文
01 /18 2021




酒井順子「泡沫日記」を読む

 前回感想文に続いて酒井順子の登場です。「金閣寺の燃やし方」とはぜんぜん趣の違う酒井流本来のエッセイ。同氏のエッセイはすでに数冊読んでいるけど、今回は「何が魅力で酒井順子の作品を何冊も読むのか」検証してみようという下世話な興味があって読んだ。


 文壇の有名作家ではない。ヒット作メーカーでもない。有名な「賞」を受けたわけでもない。TVなどのメディアで露出するタレント性もない・・日常生活の断片を切り取って原稿用紙4~5枚ぶんの文にまとめているだけの、イージーライターに思えるのですが、こんな地味な作品をコンスタントに発行してメシを食っておられるのであります。野球でいえばバントヒットだけで打率を稼いでるような作家であります。


 本作「泡沫日記」のテーマは、自分はいつのまにか四十女になってしまった。しかし、このトシになっても「人生初体験」になるものはたくさんあって「世間ってこんなものなのか」と学ぶ機会になると。小さな初体験を悲喜こもごもを綴るのであります。
 「ガードル」「引っ越し」「白髪」「介護」「オペラ」「コメダ」(珈琲店)・・等々について淡々と、しかし、退屈させない文章で読者を惹きつけておく。刺激はないけど飽きもしない・・ これです、酒井流「薄味の魅力」は。なんのことはない、エッセイの基本をしっかりわきまえての個性であります。他のエッセイストとのちがいは、さりげなく酒井流ユーモアを散りばめるセンスでせうか。


 であれば、前回紹介した「金閣寺の燃やし方」はいつになく重いテーマに真剣に取り組んだ作品だったと言えます。資料調査や現地調査に多大の時間をかけ、いつものエッセイストではなく、ドキュメンタリー作家として取り組んだ。dameo はその意気込みをヨシとするのでありますが、内容が深刻すぎて酒井ファンにはあまり評価されなかったのではないか。ホームラン狙ったのにファウルになってしまった?。あと20~30年は書けそうだからバントヒットの合間に二塁打くらいは打てると思います。(2013年 集英社発行)

泡沫日記


本・書籍ランキング


スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

 dameo

■10年続けた<快道ウオーキング>を改題しました。
■《手づくり本》の研究は、大事なことは紙に記録しようという、アナログ爺のレジスタンスです。お問い合わせは【拍手ボタン】押してコメント欄からどうぞ。内容は非公開です。
■下記のカテゴリーが趣味をあらわしています。
■ニックネームはdameo(丸出駄目男)です。
■1939年大阪生まれ