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犬町・猫町情報



小学生時代の思い出    作:DH
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(67)泉州銘菓「村雨餅」「時雨餅」「村時雨」

 いろいろ名が出たがみんな同じものである。店によって名が違うだけの事で或は商標権の絡みかも知れない。銘菓であるかは兎も角、珍しい、それも他に類例のない珍菓と言っても良いと思う。我が家では簡単に「村雨」と言っていたので、以下そういう事にする。製法は想像だが、小豆と糯米の粗い目の粉に砂糖を加えて、大きな蒸籠で蒸しただけのものと思う。こうして 出来上がった御菓子は小豆色のそぼろ状で固めたりしていないから、やわらかく、壊れやすい。


これを手頃な大きさに(丁度 虎屋の羊羹を分厚くした程度)切って、底と上にお菓子と同じ大きさの経木を置き、竹の皮で包み、同じく竹の皮の紐で二三か所を縛って出来上がりである。食べる時は、包を開いた後、上の経木を刃物代わりにして好みの厚さに切って口にする。甘さも控えめでなかなか上品な味だ。ただ生菓子だから余り日持ちがしない。精々二三日が限度である。竹の皮はなかなか風情があるが、今は手に入らないから竹の皮の模様を印刷したビニール紙かなんかでパックされている。味気ない事だ。


和菓子の基本は餡と餅である。餅に餡を塗っただけのものが「赤福」であり、餡を餅で包んだものが「羽二重餅」である。饅頭の皮も餅の一種と見れば、和菓子の九割以上はこれらのヴァリエイションに過ぎない。最初に珍しい菓子と言ったのはこの点で「村雨」は小豆を原料にしているが餡ではない。糯米を使ってはいるが、餅でもない。「村雨」の「村雨」たる所以で、是非、皆様にもお試しをと言いたい所だが、どうも高島屋でも売ってそうもない。かと言って、これだけのためにわざわざ泉州くんだりまでご足労願う訳にも行かず、誠に残念だが、まあ幻の珍菓があるとだけご承知いただければ有難い。


道明 


(68)最中屋(もなかや)

 この記憶はかなりあやふやだが、我が家の西隣の家の角を南へ曲がって半町ぐらいの突き当りにその店はあった。重い障子戸を開けて「ごめん」と入って行くと土間を隔てて向かいの部屋に坐っていたご主人が「よう おこし。お幾らにしまひょ」と、いきなりこれだ。他の菓子を置いてる気配もないので余計な事は聞かない。「30個」と、こちらも子供の使いでぶっきらぼう。「少々お待ちを」と早速作りにかかる。とにかく一種類しかないのだから、あれかこれかと聞く必要もない。左手に最中の皮を持ち、右手に持った箆でさっさっと餡を詰めては表の皮で蓋をしてゆく。30位はあっという間で「お待ち遠さま」と出来上がった最中を箱に詰めて渡してくれる。注文生産だ。


確かにこの時点では最中の皮はパリパリで、じなーっとしけてはいないが、さて食べる時にはどうだろうか。予め作られた最中だとどうしても皮がしけがちだ。しけていないという事がそれ程大事な事かどうか鈍感な私にはどちらでもいいように思えるが。しかし、パリパリの最中を評価する人が多いと見えて 皮と餡とを別にしてお客さんが好きな時に いつでもパリパリの最中が食べられるようにして売り出した近江八幡の「たねや」が大ブレイクで[高島屋]にまで進出するようになった。但しここの最中は丸くなくかなり細い長方形である。


最中の形なんかどうでもいいようなもので、別段気にする訳ではないが、そもそも「最中」は「最中の月」から来ている以上丸いのが原型である。最近はそんな小うるさい事は言わず四角い最中も多くなった。わが町 佐野の菓子屋「むか新」の最中「いろは蔵」も四角で、しかも真ん中に縦の割れ目が入っていて二つに割りやすい。割った半分が二口で食べられる割と小振りな最中だ。それに皮が薄いので、かなりしけている。これに比べると、私の好きな「百楽」は大きな正方形だが皮が厚い所為か出来合いでも しけた感じがない。たまには煎茶で最中もいいものだ。


道明 村雨







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