読書と音楽の愉しみ



●8歳時の空襲体験を描いた本があった

 9月8日に書いたNスペ「本土空襲・全記録」記事に関連して、Tさんから、知人の竹村健一氏が漫画本「大阪大空襲の夜」(昭和61年刊行)を発行しているということを知り、図書館で探したら幸い見つかりました。何十人、何百人にも読まれて十分にくたびれていますが、内容は漫画と文で体験をリアルに表現した力作です。


竹村氏は昭和12年生まれなので、被災したときは8歳、駄目男より2年年長です。この2年差で記憶の質量は駄目男と大きく違い、体験が絵に描けるほど具体的で現場感覚があります。だから、本にしようと企画されたと思います。被災したのが西成区の花園町界わいで、猛火に追われていつのまにか阿倍野墓地に逃げ込んでいたという記述なんか、その行程がなんとなく想像できます。駄目男の被災地から2キロくらいの場所です。


もし、この本を戦後生まれの人が読んだ場合、空襲の恐ろしさをどれほど想像できるだろうか。ほとんどの人は火事で自宅が焼けた経験すらないのに、そこに空からバクダンが落ちてくるという酷い場面はなかなか想像しにくいと思います。TVや映画の空襲シーンを思い出して「あんなことだったのか」と参考にするくらいでせう。 空襲を体験した人の多くが自分の子供にもあまり詳しく伝えていないのは、年月が経って当時と現在の時代の空気感が変わりすぎ、今さら相手に理解、共感されにくいという思いがあるからです。実際に肉親を亡くした人は、リアルに話すこと自体がとても辛い。


戦時中の体験レポートには「警戒警報」「空襲警報」発令という言葉がしょっちゅう出て来ます。北朝鮮の脅かしに対応するショボイ策の一つ「Jアラート」は昔で言えば空襲警報に相当し、戦前生まれはその記憶と重なるけど、戦後うまれの人には「危険情報」という実感が全く湧かないでせう。だからといって政府や役所がくどくど説明するのも煩わしい。被害を経験してはじめて理解できる・・・例えば、北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを撃った。政府は「Jアラート」で国民に警告した。ところが、ミサイルのトラブルでコントロールを失い、軌道を外れて本体が燃えながら日本のどこかの街に落下、何百人の死傷者が出た、とする。それで初めて「Jアラート」って、そういう意味だったのかと知ることになります。


そんなドジはあり得ないと日本人は妙に北朝鮮のミサイル技術に信頼感をもっている(笑)。脅迫者である北朝鮮が撃つ殺戮兵器は予定軌道を正しく飛行すると信じている。実際は発射で失敗経験がたくさんあることも知っているのに、日本上空を飛ぶミサイルに限って失敗はないと信じているのです。だから警戒心も起きない。実際のところ、総理大臣はじめ、防衛省の現役人物も戦時中を知らないし、一般国民の9割以上は空襲下で逃げ回った経験が無いから、ムシしたい気持ちは分かりますが。


「大阪大空襲の夜」表紙
竹村 


鉄の蓋の直撃を間一髪免れた
竹村


上の絵に描かれている円盤形の物体は集束型焼夷弾の先端部(写真の右前部分)爆撃機から落下後、垂直の姿勢にするため、重りの役目も果たしている。この中に38発の焼夷弾が梱包されていて、空中でバラける。全長約1,5m
竹村本


生きてる人がいない広大な阿倍野墓地が大きな被害を受けなかったのは、なんとも皮肉。
竹村


自宅が焼けるところを茫然と眺めるしかなかった。
竹村


焼夷弾で黒焦げになった親子の遺体(「日本の空襲<近畿編>より)
竹村







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