読書と音楽の愉しみ



● 岩中祥史著
 「出身県でわかる人の性格」を読む

 ふだん、あまり意識しないけど、言い古された日本人論の一面であります。狭い国土を47地域に分けて、それぞれ人の性格が異なる・・信用しない人もいるけど、干支や血液型よりは信頼できるような気がします。ここでは、最近の出来事から富山県と愛知県の県民性をとりあげてみたい。具体的でわかりやすい例です。


■富山県:「不二越」会長の発言が問題化
 総合機械メーカーの不二越が、7月5日、本社の東京一本化を発表した会見の席上、本間博夫会長が採用に関し「富山で生まれ地方の大学に行ったとしても、私は極力採らない」「偏見かも分からないが、閉鎖的な考え方が強いとして、地元、富山県出身の若者は採用したくない旨の発言をした。これを聞いた学生はむろん、従業員はえらいショックを受けたと思います。現実には、従業員の8割くらいが地元、富山県の出身だから「俺らは嫌われていたのか」と受け止めたはずです。


社員の採用方針について、こんなえげつない発言は聞いたことがない。広く解釈すれば憲法に背く差別発言です。しかし、ま、そのひどい発言はヨコに置いて、本書では富山県民をどう書いているか。よく働き、よく稼ぎ、なのに消費はしない・・世帯収入額では何と日本一!、持ち家率も日本一、自宅の広さも日本一、しかし、生活消費性向は37位!・・。要するに、外面的なリッチさにおいて47都道府県でトップであります。不二越の社員が6畳一間のアパートで貧乏暮らし・・はありえない。


こんなによく働き、よく稼ぐ人たちをそしるとはなにごとか。本間会長は彼ら社員の美徳の裏側に潜む「閉鎖性」を非難したと思われます。勤勉、堅実、安定を尊ぶあまり、リスクを嫌い、進取の精神に欠ける。こんな社員はいらないと言いたかったのでせう。この考え自体はまっとうであります。何十年も社員の働きぶりを見てきて、地元出身社員の真面目だけど考えが「閉鎖的」な面に不満を募らせてきた。本間会長の発言は非難されても仕方ない。しかし、閉鎖的という不満は理解できる。バカマジメをウリにするのは日本郵便に任せておきませう。

参考情報
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170713-00082031-kitanihon-l16

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■愛知県:いつまでもつか「レゴランド」 
 大規模な集客施設が一つも無い名古屋にようやくできたレゴランド。本当に大規模なのかと思ったら、敷地はたったの9ヘクタール(笑)でも、狭くても大入り満員なら言うことなしでありますが、実はかなり厳しいらしい。施設周辺の飲食店が閑散続きではや閉店したとか、集客のためにあれこれ割引きサービス連発とか、情けない話ばかり。


著者は愛知県の県民性にはえらく辛口の評価をしている。いわく「47ある都道府県のうち愛知県ほど立派な県名をもってるところはない。知を愛する・・哲学的名称である」しかし、と続けて「県民性は哲学とは真逆、カネとモノにこだわる気風いと強し」と。さらに、トヨタの車には哲学がないと厳しい。


もし、レゴランドがこけるようなことになれば(ないと思うけど)その原因は県民性に起因すると考えてよさそう。その県民性として「遊びのセンス」が欠けていることをよく表しているのが名古屋には多数を集客できるお祭りがないことだと言う。そういえば・・知りませんねえ。東北や九州にも素晴らしいお祭りがあるのに名古屋はナシ。お祭りという、カネやモノで計れない楽しいことには興味をもてないのか。なんだか侘びしい。


レゴランドの大弱点はリピーターをつくりにくいこと。一度は行くが二度はけっこう。大人のほとんどはそうでせう。こんなこと企画時点で分かってるのにつくってしまった。ディズニーランドやUSJはリピーターが支えてる。三月、半年後に再訪しても新しいアトラクションが楽しめる。レゴランドでそれは無理だと思いますよ。
 しかし、レゴランドは愛知県民だけで企画したものではないはず、レジャービジネスのプロたちがわんさと集まってアイデアを出し合った。開業半年で黄信号がともるなら計画時点で頓挫したに違いない。ここは愛知県民のプライドをかけて頑張ってもらわねば。(2003年 草思社発行)

県民性





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