閑人帳



●「黙秘します」=サイコパス?

 前回、サイコパスのことを書いたばかりなのに、神戸の街はずれでこれに該当するかもしれない大事件が起きた。引きこもりの男が身内や近所の人、5人を殺傷したという。容疑者の男は取り調べが始まると「黙秘します」と言った。黙秘しても死刑は確実で延命には役立たないのに。
 最近になって、逮捕後「黙秘します」で対処している重大事件の容疑者が三人いる。福岡で妻子三人を殺害し、放火の疑いもある現職の警官。1971年の渋谷暴動事件で警官を殺害した容疑で半世紀近くたってようやく逮捕された大坂正明容疑者。そして、今回の事件の容疑者。


彼ら三人に共通していることは「黙秘します」の対応とともに、凄惨な事件を起こしたにしてはえらく落ち着いていることで、普通の人間なら恐怖や後悔の感情で錯乱状態になるのに、平然としている。まして、福岡と神戸の二人は家族を殺しているのだから、平然はあり得ないと思うのが常識でせう。戦場で敵兵を殺しても深いトラウマに苦しむ兵士がいるのに「人を殺しても平然としておれる」という感覚は常人には理解できない。持って生まれた不幸な資質=サイコパスと考えてしまう。


不幸な生い立ちや辛い人生がサイコパスを生むのではない。裕福な家庭で大事に育てられてもサイコパスになる。要するに、人口の一定の比率で存在する。家族の愛情や友人の善意、熱心な教育やしつけなど何の役にも立たない、というところが恐ろしい。2014年、長崎県佐世保市で起きた「佐世保女子高生殺害解剖事件」が典型的な例で、記事を読んでも俄に信じられないくらい酷い事件だった。


サイコパスの研究が進み、その概念が普及すれば、うろたえるばかり、という世間の反応も少しは変わるかもしれない。その上で、とても辛いが、不幸な資質をもった人間が一定の比率で存在することを受容する。「サイコパス」の著者、中野信子氏は、サイコパスの比率は百人に一人くらい、とさらりと書いているが、高額宝くじの当選よりはるかに高い確率で共生していることになる。(注・サイコパス全てが悪人というのではない)できれば、百分の一より、千分の一、万分の一の世間で人生を終えたい。

中野信子著「サイコパス」の紹介
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