読書と音楽の愉しみ


●山下裕二著「驚くべき日本美術」を読む

 日本美術の鑑賞ガイドにこんな楽しい本があるとは知りませんでした。驚くべき美術ガイドブック・・とヨイショしておきます。時代に沿って流派や作品の解説をする通常の本とは大違いです。
 本来の専門は室町時代の雪舟などの研究ですが、そこはアカデミックな見方にとらわれず、興味あればなんでも研究する。話転々として横尾忠則やつげ義春まで登場する。脱線しすぎやろ、という批判はあるだろうけど、とりあえず面白い、退屈しない。


一方で、こんなエグイことも言う。「日本画独特の描線の達人は、鏑木清方と上村松園をもって終わった」と。そういえば、そんな気もします。文章が面白いのは、有名人や大家の作品について忖度しないから。
 あの有名な俵屋宗達の「風神雷神図」。これを写した尾形光琳の作品は失敗作だとキッパリ! なんで?・・雷神が背負った太鼓の環が宗達作品では屏風のフレームからはみ出してるのに、光琳はフレーム内に収まってる。これがイカンというのであります。この見方に駄目男は賛成です。大方の美術ファンは同じ意見ではないでせうか。でも、ふつう、シロウトが「尾形光琳作品は失敗作」なんてオソロシクて言えませんよね。


あちこち間口を広げているうちに岡本太郎作品にも関わるようになる。伝統的日本画とは対極にあるようなゲージツですが、太郎のアンチ思想への共感からです。・・というわけで、ハチャメチャな美術論てんこもりでありますが、大いに楽しませてもらいました。(2015年 集英社発行)


驚くべき 






スポンサーサイト