読書と音楽の愉しみ


●14歳の偉業  ~瀬戸のモーツアルト?~

 藤井聡太君の大記録達成でテレビは速報を流すわ、新聞は一面にドカドカ載せるわ、の大フィーバーであります。天才の呼び名が少しも大げさに思えない、百年に一度の逸材。しかも、彼はまだ14歳。自分が14歳のときは・・ありふれたバカの一人でした。


14歳藤井少年の快挙を知って思い出したのが、かのモーツアルトが、同じく14歳のときにやらかした凄ワザです。藤井君と同様、ものすごい能力を発揮した。教会でたった一度聴いた合唱曲をまるごと暗記して、楽譜に再現したのです。(曲は「ミゼレーレ」男女9声部 約12分の曲です) この凄ワザは、父、レオポルドも同席する教会で発揮した。彼は息子の快挙を妻に手紙で伝えた。

ザルツブルグの妻への手紙 ~1770年4月14日~
  おまえはたぶんローマの有名な『ミセレーレ』のことがよく話題になっているのを聞いたことがあるだろう。 この曲はたいへん尊重されているので、礼拝堂の歌手たちには、パート譜を一枚でも礼拝堂から持ち出したり、写譜したり、あるいは誰かにやったりすることは、破門をもって禁じられているのです。 ところが、私たちはもうそれを手に入れてしまっているのだ。 ヴォルフガングはもうそれをすっかり書き取ってしまったし、もしこの曲の演奏に私たちが立ち会う必要がなければ、この手紙に同封してザルツブルクに送ってしまうことだろう。 でも演奏の仕方が作品自体よりも重要なので、私たちは帰るときにこの曲を持って行くことにします。 それにこれはローマの秘曲なので、直接間接に教会の検閲に触れないために、他人の手には渡したくないのだ。(引用終わり)


モーツアルトの凄ワザのせいで「門外不出の秘曲」はパーになってしまい、楽譜は出版されて誰でも歌えるようになった。日本でもライブで聴く機会はあり、駄目男は2年前の6月に、タリス・スコラーズの演奏で聴きました(兵庫芸セン大ホール)。2015年6月18日にブログを書いています。

藤井君の強さのベースは膨大な数の盤面の記憶にあり、これに新しいAIのワザなどを取り込んで藤井流新戦法で攻めることらしい。脳内全部コンピュータって感じなのでせうか。モーツアルトの一曲丸覚え術は、楽譜という記号に頼らず、右脳でイメージとして覚え、楽譜に再現するときは作曲家としてのセンスで声部を構成したのでは、と想像します。


余談ながら、駄目男が生涯で聴いたヴォーカル(声楽曲)で最高に美しい曲だと思っているのは、ここで紹介している

・アレグリ「ミゼレーレ」と
・モーツアルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
・ラフマニノフ「ヴォカリーズ」の三曲です。
 ヴォカリーズはやや「通俗」の印象があるけど、あの世へ旅立つときのBGMとしてぴったりでせう。


■タリス・スコラーズが歌う「ミゼレーレ」
https://www.youtube.com/watch?v=R5uBWa7UJFQ&list=RDR5uBWa7UJFQ#t=33


■キリ・テ・カナワが歌うラフマニノフ作曲「ヴォカリーズ」
https://www.youtube.com/watch?v=fW630zFA93Y


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