読書と音楽の愉しみ



●勝谷誠彦著「獺祭」~天翔ける日の本の酒~ を読む

 日本酒の好きな人なら必読の書。山口県の二流メーカー「旭酒造」の波瀾万丈のサクセスストーリーと日本酒業界の裏事情を知るに最適の資料でもあります。「文春」記者を辞め、テレビ業界からも追放?された勝谷氏が糊口を凌ぐためにはじめた文筆業の成果でもある読み物です。


遠回し、あいまいな表現を嫌う著者のこと、ここまで書いて委員会?と本人も気にしながら、しかし、書いてしまいましてん、という感じで、書かれて傷ついた関係者もかなりおられると想像します。 勝谷氏は、売れ行き不振で倒産、廃業が迫るころから旭酒造の桜井社長の人柄に共感し、ライターという立場で20年近く付き合った。そして「獺祭」の企画、生産、販売を学びつつ、これは日本酒製造に革命を起こしたブランドであると確信する。実際、地酒蔵元の多くは獺祭を見習って旧来の生産方式を見直し、高品質の酒をつくれるようになった。


「獺祭」が起こした革命とは・・・
◆酒の生産は杜氏が仕切るという伝統を廃止した。
 蔵元(オーナー)が自ら杜氏の役目を担う。
◆酒を絞るに袋を使わず、遠心分離器を採用した。
◆カンと経験ばかりを頼りにせず、データ(数値)をベースにする。
◆冬場中心の生産を年間生産(四季醸造)可能にした。
◆大吟醸しかつくらない。
◆卸業者を介せず、小売店、消費者に直販する。

お酒に関心のない人が読めば地味な情報に思えますが、灘や伏見の大手メーカーではない、地方の蔵元にすれば大革命であります。箇条書きにすればカンタンに思えてしまうけど、それぞれのテーマを実現するために大変な苦労を経験させられた。山ほどの借金をかかえてしまった。それでも前進あるのみと、常にプラス思考でイバラの道をかき分けた。


勝手な想像をいえば、あと10年くらいで酒造りは杜氏と蔵人が行うという常識がなくなってしまうのではないか。旭酒造では社長と社員が酒造りのフルコースを担い、杜氏はいない。それで「獺祭」のような高品質な酒をつくっている。獺祭の最高級品は4合瓶で3万2400円もするが、品質は杜氏がつくったものではなく、社長の企画、社員の製造になる酒である。 旭酒造では海外への輸出に力を入れていて、すでに売上げの一割を占めている。ニューヨークとパリにアンテナショップをつくり、欧米人の感性に合う酒の研究を続けている。こんな時勢に、杜氏の感性や経験で欧米人の味覚を探るのは難しい。


さて、数日前のニュースで、勝谷氏が兵庫県知事選挙に出馬すると伝えていた。現職、井戸氏の五選を阻んで兵庫に新風をという意気込みでありますが、今でも無頼派のイメージが強いから楽観はできない。それは本人も承知なので、記者会見では苦心の変装?でソフトなおじさんをアピールしている。当選したら、言うことまでソフトになる?・・ならないでモメそうな気がします。(2014年 西日本出版社発行)


ホンネは無頼派
勝谷


ヘンシーン! 
勝谷


旭酒造のHP
https://www.asahishuzo.ne.jp/index.php

「獺祭(だっさい)」命名の由来
https://www.asahishuzo.ne.jp/dassai/origin.html 


本・だっさい 


 


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