読書と音楽の愉しみ



●細川貂々著「ツレがうつになりまして」を読む

 名前「貂々」はてんてんと読みます。テンはイタチ科の動物。この方の旦那さん(ツレ)がうつを患い、なんとかフツーの暮らしに戻るまで一年半の闘病生活をマンガで描いた。この表現のユニークさが受けたのか、25刷を重ねる人気本になった。病気が治ったうえに大きな臨時収入、こんなハピーなこともあるのですね。


ツレがうつになったのは会社(中小企業)が傾き、リストラでは生き残ったものの、辞めた社員の仕事もこなさねばならず、それが続いて過労~うつ~出社拒否という、よくあるパターンです。まずかったのは、テンさんが夫にやさしく寄り添うという付き合い方ができず、突き放した態度を続けたためにツレはたちまちどん底に落ち込み、自殺願望を起こしてしまう。家庭における修羅場到来でありますが、そこは漫画家、陰険な場面でも笑いをとることを忘れず、よって、読者は「えらい薄情なヨメはんやなあ」とニヤニヤしながら読みすすめるのであります。ツレは食事も拒否して、頭からふとんかぶってシクシク泣く日々。


しかし、投薬が効いて少しずつ症状が改善される。もっとも、揺り戻しもあって、突然、落ち込んで「死にたい」と言ったりする。これを繰り返して一年半後、ほぼ正常に戻った。このケースで一番の救いは、ツレが失業してたちまち経済ピンチに・・ではなかったこと。ヨメさんの収入でなんとか持ちこたえられた。少々薄情でも有り難いヨメさんです。


うつを患ったことは不幸な体験ですが、ツレさんは以前のような頑固でわがまま、完全主義(神経質)という性格が変化して、人当たりがやわらかくなった、とテンさんが述べています。災い転じて福となす・・うつを患う人がみんなこんなハッピーエンドにはならないでせうが、今は「うつは治る」時代だという認識を前提に対処できる。このマンガもウツのイロハを学ぶには有益な「読むクスリ」の役目を果たしています。(2006年 幻冬舎発行)

本・ツレうつ 






スポンサーサイト