閑人帳



●興福寺「阿修羅像」造形の真実

 興福寺の仏像で一番人気の阿修羅像。これを最新科学を駆使して解剖?し、像のデザインの原形を探るドキュメント番組がNHKで放送された。高さ150センチくらいの像をミリ単位でスキャンし、1500万もの画像を得て解析、合成した。結果、全く別の表情をもつ顔が隠されていたことがわかった。阿修羅像ファンはびっくりしたのでは・・。


像を表面から彫りすすむ木像とちがい、阿修羅像は原形を粘土などで造形し、上から漆などで仕上げる塑像。ということは、制作過程で修正ややり直しができる。それにしても、下の写真では原形と完成形(現在の顔)との違いが大きすぎる。なんでこんなに変わってしまったのか。


仏師の気まぐれで別人のように変えたのか。そうでなければ・・・で、これは研究者の想像ですが、ナレーションが伝えるところは、この像を造らせた光明皇后(聖武天皇の后)の要望で変えたのでは、という。それは、わずか一歳未満で亡くなった皇子への哀惜から、せめて新しくつくる仏像に我が子の面影を映したい。そんな思いが昂じて制作中の仏師に頼んだのではないか。もし、少年に成長していたら、こんな表情の子だったかもとあれこれ注文した。この推理が当たりで皇后が出来栄えに満足したのなら、亡き子を蘇らせた仏師の腕前は賞賛に値します。


阿修羅は戦闘神である。ならば、原形の面相のほうがイメージに合う。なのに、完成した像は人間そのもの、しかも、何とも言えない憂いを含んだ、何かを訴えかけるような表情になっている。この光明皇后リクエスト説を鵜呑みにしてはいけないのでせうが、今回の研究のおかげで、阿修羅像の魅力がさらに増したと思います。(2月23日放送)


右側が元の顔
asyura

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