たまには外メシ



●おもしろい客が来るようになった
      
~西成・cocoroom~

ドヤに囲まれた山王町商店街の自称「クラシック音楽バー」ココルームは、まもなく開店一年を迎える。何ほどの営業努力もしなかったように思えるが、どこで情報を仕入れたのか、クラシック音楽ファンがぼちぼち来るようになった。このトンデモ環境(ひどいミスマッチ)を考えたら、一年はおろか、三ヶ月で廃業になってもおかしくないのだけど、めでたく生き残り、客数は少しずつ増えている。まあ、世間には物好きな人がいるもんや、と自分のことを棚にあげて感心するのであります。


お客さんは三つのタイプに分かれている。クラシック音楽なんかぜんぜん興味ない人、「運命」「未完成」「新世界」の作曲者の名前を知ってる人、そして、普通にクラシック音楽が好きな人。現在はこれらが混在していて、数ではクラシックファンが一番少ない。土地柄、仕方ない。オーナーの佐竹さんも千客万来OKにしているので、常にごちゃまぜになっている。今は売上げ優先、カタイこと言ってられない。


ゆうべ、一ヶ月ぶりに訪ねてみると、先客にすごい人がいた。小柄で光頭のおじいさん、身なりから近所の人みたいだけど、マリア・カラスの大ファンだという。来日公演(1974年)を聴きに行き、サインまでもらったというからハンパではない。カラスは惜しくも数年後に亡くなってしまったので、おじいさんにとってカラス経験は生涯の宝物だという。無論、今でもオペラ大好き、ウンチクをしゃべり出したら止まらない。


もう一人、下の写真の後ろ姿のおじいさん、駄目男とほぼ同い年だが、えらい元気で、守口の自宅からここまで自転車でやってくる。ただし、息子さん(写真左の人)と一緒に来て親子仲良く呑んでいる。おじいさんは生涯、長距離トラックの運転手として働いた。仲間にクラシックファンなんか一人もいなかった。しかし、たくさんレコードを買い、作品論や作曲家論をいっぱい読んだ。バッハの作品の魅力がなかなか分からず、どこがええねん、な感じで聴いていたが、ある日、無伴奏ヴァイオィンパルティータを聴いて開眼した(この曲は駄目男も大好き)


それからバッハを聴きまくった。仕事中(運転中)も聴きたくて、カセットテープを持ち込んだ。「マタイ受難曲」なんか演奏に3時間もかかる大曲で、東京を出発して、曲が終わったときは静岡を走っていた。東名高速を疾走する大型トラックの運転席に響くマタイ受難曲・・。こんなトラック野郎もいたのだ。おじいさんの一番の不満は音楽を語り合える友だちがいないことだった。それは定年退職後も変わらなかった。しかし、昨年、この店ができて話し相手ができた。駄目男もその一人だけど、知識量ではとてもかなわない。


店は、来月から二足の草鞋=兼業をやめて酒場経営に専念するそうだ。この環境にふさわしい?いろんなタイプの客が来て、オーナーがそれをどうコントロールするかで店のキャラクターが定まる。数年後には界隈の名物酒場になるかもしれない。コンダクター(指揮者)佐竹さんの棒さばきに期待しませう。

バッハ 無伴奏ヴァイオリン パルティータ第3番<プレリュード>
https://www.youtube.com/watch?v=W2oLUM6UdTo


右が佐竹さん、後ろ姿がクラシックマニアのおじいさんと息子さん
ココ



福岡産の焼酎「千年の眠り」 「百年の孤独」のパクリみたいなネーミングだけど、値段はうんと安い。
ココルーム 



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