読書と音楽の愉しみ



●数学オンチだった?・・三浦朱門氏死去

 曾野綾子さんの評論集は数冊読んだ記憶があるけど、夫の三浦朱門氏の作品で読んだ記憶があるのは「第四次元の小説」一冊きり。しかも、これは翻訳書だから、作品と言ってよいのかどうか。
 前書きか後書きの文で三浦氏が言うに「私は数学が大の苦手である。なのに、こんな数学的テーマの本の翻訳を手がけてしまった。そもそも、「四次元」とかいう面妖なテーマに興味を持つのは、自分と同じような、数学大苦手な人間ではないか」という趣旨の文を書いていた。


これに妙な安堵感を得て買ってしまったような気がする。読んだのは1970年ごろで、もう半世紀昔のことであります。名もなく貧しく、三次元世界でしみじみ生きてる者にはなかなか楽しい内容でした。今ではだれでも知っている「メビウスの環」や「クラインの壺」の概念にはじめて出会った本です。なかでも面白かったのは「メビウス」理論をつかった話で、ロンドン(?)の地下鉄がすごく発達して地下を網の目のごとく多種類の路線が交錯した挙げ句、ある日、一編成の車両が乗客を乗せたまま消えてしまう。当局は必死になって捜索するが見つからない。ところが、何日目かにその車両は何事もなかったように現れ、予定の駅に着き、乗客も無事だった・・。こんな話だったと思います。


三次元世界があまりに複雑になると四次元の罠に吸い込まれてしまうという楽しい?物語ですが、アタマの悪い人は三次元の解析より、さっさと四次元という仮想世界に逃げ込んで解決したフリをするわけです。当時の四次元世界の表現はかくも素朴でありました。
 いま、映像世界では仮想四次元が大流行で、SF映画やアニメでは、タイムトリップとか「四次元もどき」の表現が普通に見られます。「もどき」であるのが残念ですが。



4次元の小説






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