閑人帳


●シネコンの壁はどうなっているのか

 なんの話やねん?・・でありますが、映画館が壁一枚で仕切られているシネコンなのに、隣のハコの音が漏れ聞こえるってこと、ありませんね。どんな仕組みになってるのかという話であります。


防音工事については若干、予備知識があるので、ネットで仕入れた工事業者の設計、施工についてはおおむね理解出来ました。 ビルの中の映画館だから、当然、分厚いコンクリート壁で仕切られていると思ってる方多いと思います。答えは「ブブ~」間違いです。しっかり音漏れを防いでるのは、どの住宅、マンションでも使われている「石膏ボード」(略称PB)が主役です。これにグラスウールなどを併用して高性能な防音壁をつくります。


PBは普通は9ミリか12ミリの厚さです。(シネコンでは特注の21ミリ厚も使う)これを巧みに組み合わせてコンクリ壁より高性能な防音壁をつくります。壁厚は50~80センチ、1㎡当たり重量は150kgくらいまでです。そもそも、コンクリートだけで防音しようとすると、ものすごい厚さ(1m以上とか)が必要になり、ビル自体の強度がもたない。天井、床、壁、みんな厚さ1m以上の商業ビルなんてあり得ない。(マンションの床や境界壁の厚さは通常15センチ前後です)


主な材料はPBを使う。もう一つ大事な設計は映画館まるごと「浮き構造」にすることです。建物本体のコンクリート床や壁と映画館の壁の間に空間を設けたり、床は防振ゴムで支えたりして、構造的に独立したようなつくりにします。(下図参照)こうして音や振動を伝わらないようにします。お客さんの見えないところにものすごく高額な投資をしているわけです。しんみりしたメロドラマがかかってる映画館のとなりで「シン ゴジラ」をやっていて、ドドドド、ズガ~ン、バキュ~ン・・なんて大音響を発している。それが漏れ聞こえたら最悪ですからね。


余談ですが、JR大阪城公園駅近くにある、クラシック音楽専門「いずみホール」も同じような浮き構造になっています。近くを通る環状線のレールの振動を拾わないためです。デリケートな音を楽しむ室内楽が多いこのホールでは、お客さんの耳も過敏になる。わずかなノイズや振動を感じてしまうのです。で、えらく金がかかります。
 私たちが心地よく映画や音楽を享受できるのは、このような高度な技術と、それに投資を惜しまない企業マインドがあるおかげです。映画のチケット代金のコストには、こんな全く目に見えない投資も含まれているわけです。


引用情報
http://www.toda.co.jp/lucubration/pdf/p373.pdf
http://www.yoshino-gypsum.com/kouhou/taika/taika04.html


浮き構造の断面図
シネコン

壁の断面図 
シネコン





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