読書と音楽の愉しみ



●寺山修司著「家出のすすめ」
 同「書を捨てよ 街へ出よう」を読む

 文庫本扉の寺山修司の写真を見て、この人、誰かに似てるなあ・・と思いつつ読んでるうちに、ん、矢沢永吉に似てるんではと気づきました。どないです? 但し、TVのCMでしか見たことがありませんけど。

寺山修司
寺山


矢沢永吉
矢沢


寺山さんが人気ライターであったわけの第一は青森県の田舎町出身だからでせう。故郷を捨てて(家出して)魑魅魍魎の東京で一人暮らしをはじめる。「家出」を正当化するためには挫折なんかしてられない。さりとて、大学で一所懸命に学問するわけでもない。そんなちゃらんぽらんな生活でも飢え死にはしない。


なんとかメシが食えるようになると「家出せよ」「親を捨てよ」と若者を煽るようになる。だからといって、故郷、青森が大嫌いなわけではない。そのような葛藤は都会で生まれ育った人には理解しにくい。ただ、無頼な生活をしているように思わせて、実はしっかり勉強もした。何気に出て来る書名がそれをうかがわせるが、そのへんの文章が70~80年っぽくて懐かしい。キザ寸前、と思うところもある。懐かしいと感じるのは、著者が駄目男とほぼ同世代だからで、いま30~40代の人が読めばどう感じるだろう。


「書を捨てよ・・」は半分くらいが競馬の話で競馬ファンでなくても楽しい文だけど、その中に、歌人の塚本邦雄を誘って競馬場へ行く話がある。カタブツ塚本は競馬のケも知らないから誘われて大迷惑の体だった。水と油くらい性格の違う二人がなんで競馬場へ?と思うけど、前衛短歌の研究実践者としては同志だったという。これは知りませんでした。


詩人、エッセイスト、評論家、演劇団体「天井桟敷の人々」主宰・・多方面に活躍したのに47才で亡くなった。読んだ文庫本は十年間で10刷しているから、今でもたくさんファンがいる。でも「懐かしさ」が動機で読んだ人=オジンはごく少数でせう。懐かしさの中身は、共に「アナログ世代」だからです。(唱和47年初版発行 角川書店)


terayama



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