●師走のアートシーン ふたつ

★玉村洋平の世界 ~vol.2~

 新進演奏家のコンサート、というのは何度も経験したけど、新進作曲家の発表会というのは初めて。玉村さんとは先月、北新地のバー「カンパネラ」で相席したのがご縁で招待されました。年齢は40才くらい?京都大学法学部を出て会計事務所で働くかたわら作曲活動もするという、二足のわらじ的生活をしている。作曲は十数年前からはじめたというから、そこそこ実績もあり、ただ今作品を蓄積中?であります。

といっても、曲は堅苦しい無調の現代音楽ではなく、ピアノ曲と弦楽四重奏曲、いずれも普通にメロディが主体の曲でした。このさき、一つでも世間で話題になるような作品が生まれると嬉しいけど、駄目男が言う「メロディ資源枯渇の時代」であるから、セールスはなかなか難しい。純粋にクラシックではなく、たとえば映画音楽なんかに関われたらチャンスが広がる。しかし、ご本人はそんなの邪道と思ってるかもしれない。ま、草葉の陰で出世を祈っております。(12月7日 豊中芸術文化センター小ホール)


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★大和座狂言ガラ公演

 Tさんからのチケットを頂いて久しぶりの狂言鑑賞。梅田の大阪能楽会館の場所を忘れており、遠回りして着いたら、梅田センタービルのとなりだった。客席椅子の取り替えや玄関まわりの改装はされてるが、ホール自体はオンボロのままで懐かしい。特に2階席の荒れようは山村の芝居小屋みたいで座るのに勇気がいる。(一階で鑑賞)


ダシモノは大変ユニークで、最初の「梟」では音楽の伴奏つき。それも、オーストラリア、アボリジニの使う木管楽器「ディジュリドゥ」がひたすら単音階でボ~ボ~と鳴り続ける。なんとも奇妙ですが、音が邪魔にならないところが面白い。おまけに演じるメンバーの一人が初老のドイツ人だから、異色というか、けったいというか。赤ら顔、縮れ毛の彼が現れた瞬間、大江山の「酒呑童子」を思い出してしまった(失礼)。のみならず、彼は尺八の名人でもある。


狂言はほかに「寝音曲」と「盆山」。それに、前記の原始楽器と尺八、シベリアの某民族が使う妙な楽器のアンサンブルで一曲を演奏。楽器は原始的でも、奏でられる音楽は現代音楽の趣があるから楽しい。


プログラムなどには大和座の代表、安藤伸元氏が能楽、狂言団体が抱える問題を愚痴まじりに書いていて、察するところ、現行の家元にはかなりアンチな姿勢で仕事をしているらしい。歌舞伎の梨園と同じような閉鎖性があると。関西では茂山一家がブイブイ言わしてるから、アウトサイダーの安東家はマイナー扱いになるのは仕方ないが、反面、今回のように自由な発想で企画できるのは強みでありませう。。

 古い殻を破ろうという試みは能楽界でもあり、会館にあったチラシによると、山本能楽堂では、年末と新春の番組で「羽衣」「高砂」をひらくときは観客の二百人も一緒に謡おうと呼びかけている。なんだか「一万人の第九」みたいではありませんか。ま、謡い本のコピーを手渡しておけば、地謡といっしょに唱和できる。面白い試みになりそうです。
(12月11日 大阪能楽会館)


大阪能楽会館
大阪能楽会館


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