読書と音楽の愉しみ



●魔夜峰央著「翔んで埼玉」を読む

 西成の酒場「ココルーム」で借りたマンガ。1980年代に発行された作品をなぜか昨年再発行したところ、予想外のバカ売れで、現在は60万冊を越えているらしい。定価700円なので60万冊なら4億2千万円!ボロ儲けやおまへんか。再発行だから原稿料はいらんわけだし・・。


読んでビックリしましたね。こんなひどい内容で問題にならないのかと。著者はイチビリ精神全開で埼玉県や県民をとことん貶してる。もしや、「ダサイ玉」という言葉はこの頃に流行ったのだろうか。本書の帯では「埼玉ディス(叩き)」という言葉で宣伝しているけど・・。


たとえば、こんな言葉がある・・

□埼玉では、つい10年ほど前までランプといろりで生活していたほどで、最近やっと電気が通うようになりましたが、まだテレビは珍しく・・

□県知事閣下は未だに県民から年貢を取り立てている。

□埼玉県から東京へ行くときは通行手形が必要だ。

□老人は死に際に「一度山手線に乗ってみたかった」とつぶやく。

□東京と埼玉の関係は、さしずめ貴族と平民、武士と農民のようなもの でありませう。

□東京の食堂では都民用のメニューと埼玉人用のメニューがある。

 てな具合で、思いっきり埼玉県人をバカにしているのであります。本書のキモは著者が埼玉県所沢市に住んでいるときに自虐のつもりで書いた。(しかし、出身は新潟市である)。ま、自分の住んでる町を貶してもええじゃないかと。大阪弁でいうイチビリ精神で考えると、自分で自分をけなすのに何ほどの抵抗もないから「ガハハ、アホやねん、うちら」で済んでしまうけど、埼玉県人のイチビリ許容度はいかほどでありませうか。


実は、意外なことに、60万冊も売れたのに、埼玉県民から怒りの声がでない。県民がムシロ旗をおったてて出版社に抗議したという話は聞かない。皆さん、鷹揚で懐が深い。騒ぐほうがカッコ悪いとクールに受け止めているのかもしれない。ま、無視しているのでせうね。
 もし、沖縄県民をバカにした内容だったらどうか。エライことになります。著者はテロの対象になるかもしれない。マスコミもどかどか記事にするでせう。機動隊員の「土人」発言だけであんなに騒ぐのだから。


埼玉県民は沖縄県民の百倍は鷹揚で包容力がある、と埼玉を持ち上げるほうがかえって埼玉人を傷つける。実相としては、奈良市民の多くが大阪市民感覚で暮らしてるように、720万埼玉県民の多くは、住所は埼玉だけど、キモチは東京都民だから、こんなディス本なんか気にしない。実際、三代前から埼玉県人なんてごく一部でせう。そんなピュアな埼玉県人でも腹が立たないのか。そこはやはり、う~ん・・。


著者の弁明?を読めば、読者が怒るのは大人げないという思いになるが、そんな無視するに値する本がなんでこんなに売れた? そこは宝島社の商売上手、買った人がアホやねん、で落着しますか。
 本書には、埼玉同様、茨城県をバカにした作品もあって「納豆以外、なにもない県」みたいにこき下ろされている。それなら、これをヒントにして、鳥取県や島根県や佐賀県で県庁が自ら自虐マンガ本を出したらいかがでせうか。作者は県民に限ります。出版して地元県民から猛反発が起きれば、それこそ日本一の田舎県と認定される。二番煎じはあかん?(2015年12月 宝島社発行・初版は1982年発行)


宝島社は本書を上田埼玉県知事に献呈したそうだ。

とんで埼玉



とんで 





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