読書と音楽の愉しみ



●そんなに嫌われていたのか・・ブルックナーの音楽

 9月10日のEテレ「らららクラシック」は珍しくブルックナーの音楽がテーマ。なのに、最初に取り上げた話題が「一番嫌いな作曲家はブルックナー」というアンケート結果でした。あちゃ~~、そんなに嫌われてるのか。自称、ブルックナーファンはとても悲しい。番組司会の作家、石田衣良さんも、ピアニストで作曲家の加羽沢美濃さんも「受け入れがたい音楽」だと嫌っている。ゲストの脳科学者、茂木健一郎さんだけが必死に擁護論を述べていた。

ブルックナー



なんでこんなに嫌われるのか、理由が説明されたけど、大方共感できます。初心者とか、モーツアルトやベートーベンの好きな人には取りつく島が無い「難解で鬱陶しい曲」と評されても仕方ない。曲想に愛や恋が全然感じられないと言われたら、ま、そうですねというしかない。


逆に、ブルックナーファンにその魅力は何か、と問えば、下のような答えになった。ブルックナーの「原始霧・開始」「リズム」「休止」「ユニゾン」・・ なんのこっちゃねん、であります。これが魅力なのだと言葉で説明できる人は「ブルックナー大明神」の尊称を奉ってあげますぞ。


ブルック


「休止」というのはゼネラルパウゼ(全休止(符)のこと。こんなの、全ての作曲家の作品にあるから「なんで?」でありますが、ブルックナーの休止符は独特の魅力がある。休止符=無音に鑑賞価値がある。ヘタなオケは休止符がきちんと演奏できない、ということです。


日本のブルックナーファンが休止符の魅力に開眼したのは、音響に優れたホールができはじめた1980年以後です。実際、これ以後、ブルックナー作品の演奏会がどっと増えた。良いホールあってのブルックナー。朝比奈隆がブルックナー演奏の大御所みたいに評価されたのは、ザ・シンフォニーホールという優れた器ができたからです。


ブルックナーの休止符の魅力は、時速100キロで走ってる車がブレーキをかけないでコンクリート壁に激突するようなところにあります。これをゲージツ的に表現するにはホールの残響時間が1,8~2,0秒くらい必要ですが、昔はそんな残響の長いホールがなかった。単なる「無音」しか表現できなかった。無味乾燥、スカスカの休止符にしかならなかった。・・というあんばいで、休止符のゲージツ的表現だけでゴマンと書くことがあるのですが、誰も読まないからやめます。


前にも書いたけど、ブルックナーの作品は「聴きこなし」にとても時間がかかる。9曲の交響曲のうち、売れ筋の4/5/7/8/9番の5曲を聴きこなすのに20年以上かかった。このせわしない時代に、そんな音楽、誰が好きになるものか。
 交響曲は嫌われても仕方ないとして、おすすめしたいのが「弦楽五重奏曲 ヘ長調」この第三楽章がお気に入りです。あの世へ行く半日まえくらいに聴けば、こころ穏やかに旅立てる。音質が悪いけど、人生の店じまいが近い人はご試聴下され。

第3楽章は20分あたりから
https://www.youtube.com/watch?v=iEXYebQ-TwQ


右端がブルックナー大好き、茂木健一郎さん
ブルックナー





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