読書と音楽の愉しみ



●dancyu編「日本酒。」を読む

 いまや日本酒は百花繚乱の時代・・なんちゃって、下戸の駄目男が言うても、なんの説得力もないのでありますが、それにしても、安くて美味しい日本酒がドドと出回って、マルビ人も幸せな時代になりました。 本書はカタログ雑誌みたいな編集ですが、dancyuが過去に特集した日本酒記事を再編集したもので、手軽な日本酒入門書になっています。


若い経営者が酒造りを革新
 いま、日本には1000社くらいのメーカーがあるけど、その殆どは中小企業、当然、後継者不足で廃業続々・・もあるけど、一方で、代替わりをチャンスとみて、若いオーナーが伝統にとらわれない発想で酒造りにチャレンジ、成功している例が多い。ニュースバリューではトップの「獺祭(だっさい)」の旭酒造がそうだし、ここで何度か紹介した奈良の「風の森」油長酒造の社長は30代半ばです。


旭酒造では、杜氏の経験とカンが頼りという伝統的手法とキッパリ決別し、工程のほとんどをコンピュータ化した。さらに、酒は冬につくるものという概念と決別して、年中、同じ品質の酒をつくるようにあらためた。中小企業にとっては大英断であります。こうすれば、職人は季節労働という不安定な身分から年中雇用になり、人手不足の苦労もなくなります。さらに、最近では女性の経営者=女性の杜氏もいるし、現場に外国人も登場した。昭和時代には考えられなかった大革新です。


一方で、灘の「剣菱」のように、ウチは何も変えまへん、を貫くメーカーもある。百年前に確立した技術は変える必要が無いというすごい自信、自負があり、それでちゃんと経営が成り立っている。


磨くのか、磨かないのか
 吟醸は60%、大吟醸は50%以下、というのが米の精米度。数字が小さいほど雑味の少ない美味しい酒になるという目安で、かの「獺祭」には23%なんて強烈な精米度をうたうものもあります。ところが、近年、逆に精米度80%なのに旨い酒が登場しました。なるべく削らないで米本来の味を出そうという作り方です。広島の「亀齢」や和歌山の「紀土(きっど)」、奈良の「風の森」の一部など、80%の精米なのにヒット商品になっています。どちらが美味しいのか、といえば、どちらも美味しい。日本酒ファンはますます多彩な味を楽しめるようになりました。


「旨い酒」の概念は時代で変わる
  安いけどまずい「2級酒」がメインだった時代の次、1960~70年代には「最近の酒は甘口になったとお嘆きの貴兄に」のCMで菊正宗が辛口の酒で名を売りました。バブル景気の時代は「淡麗辛口」酒が旨い酒のスタンダードになる。その後、各地の地酒がどんどんレベルアップして美味しさの巾も広がります。現在の傾向は「濃淳甘口」がメインだそうで、さらに設備も技術も進歩し、次の「旨い酒」を模索中です。願わくば、もう少しアルコール度数を低く、12%くらいにすれば需要が増えるような気がします。欧米で食中酒として飲むには、ワインと同程度が望ましい。日本でも、そのほうが女性のファンが増えるのではないでせうか。(2014年10月 プレジデント社発行)

日本酒



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上は玄米、左は50%精米、右は23%精米
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