閑人帳


●八方気配り・・オバマ演説の中身

 広島、平和記念公園でのオバマ大統領の演説は、せいぜい5分程度のスピーチだろうと予想したが、実際は17分もかかった。(資料館の見学は5分くらいだったのに)正直な感想をいえば長すぎると思いましたが、長い演説のワケの半分くらいは、当事者、関係者(国)への気配りゆえでありませう。世界中が注目するメーッセージゆえ、大統領自身のホンネより、他者への気配りを優先せざるを得なかった。「大統領の本心を語ってほしかった」という批判は当然あるが、それが出来るほど世の中甘くない。


誰に気配りしたのか。演説の冒頭部で語られたのは、日本政府、日本国民、被爆者と被爆者団体。次いで、アメリカ政府、議会、アメリカ国民(世論)、捕虜米兵の遺族、朝鮮人犠牲者、韓国政府、西側諸国(世論)、ロシア、中国・・・に配慮を示す。表向きだけでもこれだけの気配りの相手がある。無視していいのは北朝鮮くらいではないか。謝罪するべきの要望に応えることの難儀さはバカでも分かる。


アメリカ政府の事務方で何度も練り直して最終原稿をつくったら、こんなに長くて、中身は玉虫色の演説になった。浅井基文氏(元広島平和研究所長)は「言葉長かったが、美辞麗句を並べただけで、何を言いたいのか、大統領の本心はどこにあるのか、分からなかった」と批判したが、同じ思いの人も多かったはず。残りの任期が少ないオバマ氏の、ええかっこしいの演説に過ぎないとも言える。しかし、いかに、世界のトップリーダーたるオバマ氏でも「本心」が言える場面でなかったことも認めざるを得ない。


事前の聞き取り調査で、被爆者の多くが謝罪を求めず、大統領との会見で怨恨の言葉を使わなかったのは、相手への配慮もあるけど、やはり、71年という歳月がもたらす記憶の風化、浄化が大きいと思う。塩野七生氏が望んだ「静かな歓迎」が実現できたのは、被爆者が高齢だったせいだけではない。日本人の普通の感覚だったと思う。
 しかし、当日午前中、騒々しい行動で顰蹙をかうグループもあった。わざわざ来日した韓国人被爆者たちで、午前中、会場で「オバマ大統領は謝罪せよ、賠償しろ」とシュプレヒコールを繰り返した。韓国語には「顰蹙」という言葉がないのかもしれない。


広島、長崎、両記念館を見学したとき、外国人の見学者が多いのが印象に残っている。カップルも一人旅の人も、日本人以上に深刻な表情で見入っていた。日本人より予備知識が乏しい分、ショックが強烈だったと想像する。調査では、訪日観光客の「訪ねるべきスポット」として、広島の原爆資料館はベスト3に入っている。米国人に限っては常に第一位である。


といっても、広島の資料館で、年間見学者は100万人程度。外国人と修学旅行生などの団体を除く、日本人見学者は50万人程度と思われ、類推すると、おそらく、過半の国民は平和記念公園や資料館を一度も訪ねたことがない。長崎の街の観光を楽しむ人のほとんどは原爆資料館の見学をパスする。核兵器の恐ろしさと、その廃絶や削減なんて、何ほどの関心もない。これが日本人の本音でせう。



オバマ 
 


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