読書と音楽の愉しみ



●群ようこ著「働かないの~れんげ荘物語~」を読む

 大手広告代理店でガツガツ働き、しっかり高給を得ていた45歳のシングルウーマンがある日、こんな生活でいいのか、と疑問を抱き、退職する。以後、貯金を取り崩してゆくだけの無職暮らし。よって、生活費は月10万円を厳守する。一番の出費であるアパートの家賃は3万円。築数十年の木賃、6畳一間きり、風呂、トイレ共同のサイテー物件である。その名が「れんげ荘」で、主人公、キョウコは結構気に入っている。


そのマルビ生活ぶりを描いた小説。毎月、貯金を目減りさせながら、当然、不安と焦燥感にさいなまれつつ、しかし、表向きは明るく暮らすという境遇は駄目男と同じであります。ただ、労働を拒否しながら、いざとなれば、仕事につけるキョウコと、それはほぼ100%絶望的な駄目男の違いはあるけど、キョウコがバイトなどはじめたら小説にならない。


大事件は起きず、隣人や昔の友だちもいい人ばかり、という設定に物足りなさを覚えるけど、それは著者のスタイルだから是としませう。物語にメリハリをつけるために、区役所の職員が執拗に「なぜ働かないか」を問い続ける一件と、趣味ではじめた刺繍がイメージ通りに進まず、指先の細かい作業で「老い」を自覚する話が盛られている。そして、何を言われようと「私は私」と割り切ってるつもりなのに世間や他人が気になる。まあ、こういう小さな葛藤も普通のことでありませう。話はさらに続くようで、主人公はキョウコではなく「れんげ荘」のようであります。(2015年8月 角川春樹事務所発行)

群ようこ


それにしても、東京の家賃は高い
 6畳一間、風呂、トイレなしのオンボロアパートの家賃が月3万円。東京都区内としては、ローエンドといえる安値かもしれません。著者は実勢を調べた上でこの金額を設定したと思われます。
 現実に3万円の物件はあるだろうか。ネットで探してみたけど、なかなか出て来ない。不動産業者の認識では、3~5万円という家賃は単身の生活保護費受給者向けの物件らしい。どうにか見つけた3万円の部屋はコレです。


■東京の3万円物件例
東京都中野区 最寄り駅より徒歩5分。洋室4帖。
風呂、トイレ共同 家賃3万円
群

■大阪の3万円物件
大阪にも3万円の物件はあるだろうか。近所の不動産業者の広告看板で探しました。築年数が古いけど、大阪では3万円の物件でも、風呂付き、トイレ付きの、少しはマシな暮らしが出来そうです。


和室 6畳と3畳 DK 風呂・トイレ付き 共益費ともで3万円
群 



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