読書と音楽の愉しみ



●PAC STRINGS 演奏会

 ヴァイオリンに戸田弥生を招いての室内楽演奏会。
プログラムは・・
◆ブラームス 弦楽六重奏曲 第一番
◆シェーンベルク 「浄夜」弦楽合奏版


 渋過ぎず、ミーハーでもない、自分のレベルにピッタリのプログラム。ブラームスの弦六の第二楽章は、半世紀ほど前に公開されたフランス映画「恋人たち」に使われ、一躍、知られることになった。主演はジャンヌ・モローだったか?。ヴィオラではじまる主旋律がとても甘美で、一度聴いたら忘れない。

ブラームス 弦楽六重奏曲 第一番
第二楽章は14分45秒から
https://www.youtube.com/watch?v=y0ZboerS4zc


シェーンベルクの「浄夜」は聴きこなしがいる曲で、はじめて聴くと「なんのこっちゃねん」な印象。人によっては2分でアクビが出ますね。メロディの美しさに聞き惚れるけど、曲想のモトになったリヒャルト・デーメルの詩はなんだかとても深刻な男女関係を綴っている。
 これを読んで、この曲が生まれたのか。う~む、この詩をオタマジャクシに変換した作曲家の才能に感心するばかりです(約30分の曲)


浄夜・・リヒャルト・デーメル

 
人影が二つ、枯れた寒い森を歩んで行く。

後を追う月、二人はそれを見遣る。

月は高い樫の木の上にある。

雲一つない夜空に

木々が黒い棘のように突き出している。

女が言う。
 
子供ができたわ。でもあなたの子ではないの。

あなたの傍らで私は罪を背負っている。

私は取り返しのつかない過ちを犯してしまった。

幸せになれるとは思えない中で

それでもなお得たかった、

生き甲斐や、母親の喜びや責任を。

そして大胆にも、自分の性を委ねた、

それも行きずりの男の人に。

そして、私は“祝福”された。

でも、今人生の報いを受けた・・・

あなたに、ああ、あなたに出会ってしまった。

 
女の足取りは重い。

見上げると、月が後を追ってくる。

女の暗い眼差しは、月明かりに呑まれる。

男が言う。

授かった子どもを君の心の重荷にしないでくれ。

ほら見てごらん、世界は輝いている!

この輝きが何もかも包み込む。

君は僕と冷たい海を漂っている。

でも、互いの温もりは揺らめき伝わる、

君から僕へ、僕から君へ。

この温もりがこの子を浄めるだろう。

どうか僕の子として産んでほしい。

君は僕の心に光をもたらした、

君は僕を“御子”にしてくれたのだ。

男は女の身重の腰を抱き寄せる

二人の息が寒空に交錯する。

人影が二つ、澄みきった明るい夜を歩んでいく。


・・あなたなら、どんなメロディを思い浮かべますか。

(2月19日 兵庫芸セン 小ホール)


戸田弥生
戸田弥生 


にほんブログ村

スポンサーサイト