閑人帳



●産廃業者のピンとキリ

 廃棄するべきビフカツなどの食品を横流ししてスーパーで販売させる・・産廃業者のタチの悪さが話題になりました。仕入原価ゼロ円の食品を売るのだから、こんなにボロい商売はありません。で、産廃業者のイメージは最低に。


この業者をキリとするなら、ピンといえる業者はあるのか。あります、とWBSで報じていたのが「真田ジャパン」という栃木県の業者です。業態はごく普通の産廃業ですが、約30人の社員は全員、黄色のシャツに黒の蝶ネクタイという服装で作業する。汚れの目立たない色の作業着から、あえて汚れが目立つ色に変えた。


ゴミ収集に蝶ネクタイ!?冗談みたいな発想なので、社員はすごく抵抗感があった。当然です。しかし、社長の命令だから仕方ない。で、この恰好で町内のゴミ収集をはじめたら住民がびっくりした。びっくりした後、興味津々の住民と作業員とにコミュニケーションが生まれた。今まで作業を見ても知らんフリだったのに、挨拶を交わすようになった。


黄色のシャツは、作業中に汚れたら、即着替えられるように予備を用意してある。また、パッカー車は毎日40分かけて清掃し、空車状態では匂いゼロにしてから仕事につく。ようするに、きつい、汚い、危険、の3K職業のイメージを目に見えるかたちで払拭した。
 さらに、社長は毎日、社員より早く出勤して出社する社員に一人ずつ挨拶する。これで社員の健康状態などを見るらしい。社員が何百人もいたら、こんな付き合いはできない。


このヘンなイメチェンを実行した動機は何か。社長は対談のなかで次のように述べている。

「ある時、ゴミ収集をしてくれているある年配の社員さんの話を聞きまして。その方がパッカー車の運転をしていたら、彼のお孫さんが町の中でその働く姿を見たそうです。家でお孫さんから「おじいちゃん、あの仕事は辞めて」と言われたそうです。私はその言葉を聞いた時、ハンマーで頭を打たれた思いがしました。それほど社員の家族が心配や迷惑をして、恥ずかしいと思う仕事なのだと」


現実に、産廃業は嫌われて、年中人手不足に悩まされている。仕方なく外国人労働者に頼る。雇うほうも雇われる方も「3K」は当たり前という認識と覚悟で仕事をしている。社長もその一人だったが、上記の社員の言葉が変革の動機になった。


社員の家庭で子供のいじめ問題などで悩んでることがあると、社長はその社員に「出社猶予」の措置をとり、問題解決を優先させることもある。悩みながら仕事をして事故でも起こしたら大変だからである。社員が休暇願を出すのでは無く、社長が「仕事のことは気にせず休め」という。
 こんな処遇をされて会社に不満をもつ社員はいない。いささかナニワ節ふうではあるけれど、自然体でできるのが小企業の良いところである。


よって、当社には人材募集をしていないのに「入社希望」をする人がある。募集しても応募ゼロが常識の業界とは真逆になっている。親子二代、三代で勤務している社員がいるのは、親の働く姿を見て子供が入社を希望するのだから、世間の産廃業者へのイメージとは天地の開きがある。


とはいえ、業界の競争は厳しい。町のゴミ収集は普通は入札制だから、高コスト体質の当社は不利になりやすい。しかし、もし、入札で負けて他の業者に変わったら・・住民から大ブーイングが起きること間違いない。これを考えたら、長期間、地域独占を目論む作戦としてはとても優れているともいえる。普通は利権で勝負するところ、住民の支持が存続、発展のベースになる。これほど強い味方はない。


参考情報
http://www.sanadagroup.com/
http://www.funaisoken.co.jp/site/column/Dialogue/d_020_1.html

(株) 真田ジャパン 社長 五月女 明 氏

産廃



親子で勤務する社員もいる
産廃業者 


3Kのイメージをひっくり返した
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