読書と音楽の愉しみ



●南雲吉則著「空腹が人を健康にする」を読む

 サブタイトルが「一日一食で20歳若返る」であります。飽食を戒め、粗食こそ健康、長生きのモトだと説く。著者本人が一日一食を実践して、すこぶる健康な生活をおくれているので説得力があります。職業は外科医。現在は乳がん手術専門で、なるべく乳房を残す手術の研究を行う。


腹ぺこグーは健康の証し
 著者は、朝抜き、昼抜き、で夕食だけの食生活を十数年続けている。おかげで、メタボ体型で78キロあった体重が、62キロまで減り、以後、変化はない。その夕食とはどんなご馳走か、と知りたくなりますが、代表的な献立は「ご飯、具だくさんの味噌汁、野菜のおひたし、一夜干しの魚」といったところです。これって刑務所の定番夕食と同じではありませんか。


尤も、自分がこれだからといって、他人(読者)にも押しつけるまではしない。朝にジュースを一杯とか、昼に栄養価の高いクッキーなどを食べるくらいなら構わないと。要は、三食に満腹を求めるな、というのです。逆に、空腹(感)こそ健康の証しだという。空腹だからこそ、何を食べても美味しい。酒も旨い。ま、仰せの通りでござりまする。


いろいろ述べてる理屈があまりに正しすぎてイチャモンをつけにくいのがくやしい。唯一、逆らうとすれば、この本では「食事を楽しむ」という視点が全く抜け落ちていることです。極端にいえば、著者にとっての食事は「生命を維持するためのエサでよい。それ以上を求めるな」ということになります。必要以上は絶対求めない動物たちの暮らしを見習えといいます。現実に「飽食」は人間だけが有する悪しき食生活で、これが万病のもとになっている。飽食(偏食)の結果でもある糖尿病は、だらしない食生活に対するリベンジで、多くの患者は、ひどい食事制限とか、惨めな末路を迎える。


世間では、朝食抜きで出勤なんて不健康の証しみたいに言われているのに、本書では大いに勧めています。それで、ちゃんと仕事をこなし、健康を維持できれば問題なしです。
 著者によれば、厚労省が唱える「一日で30品目の食材を食べる」とか「成人の一日当たりの必要カロリー数」とかはナンセンスで無視せよと。たしかに、こんなのは余計なお節介だと同感します。


中年からのスポーツは危険
 食生活と関係はないけど、興味深い話があります。身体中、いろんなところにガンができるのに、心臓だけは癌にならない。これは、心臓が「終末分裂細胞」でできているためで、子供時分に完成すると、生涯、細胞分裂はしない。つまり、心臓は、ガンのは発生も進行もしない。その代わり、使用期限みたいなものがあって、人間、動物、いずれも20億回くらいで止まります。一分間に50回の拍動とすると、80歳くらいで止まる仕組みになっている。


心臓には拍動20億回という使用期限がある。ならば、健康増進とか、痩せるためにとか言って、メタボ体質の人がジョギングを始めたり、スポーツジムに通ったりするのは要注意です。なぜなら、ふだん運動しない人が急に運動をすると心拍数が上がり、20億回というストックをどんどん減らすことになるからです。若いときからスポーツをやってる人は訓練により運動しても拍動があまり増えない。しかし、シロウトはもろにゼーゼーハーハーと息が上がってしまう。つまり、心臓の寿命を縮めます。しっかり運動して、いい汗かいて・・は自己満足に過ぎない。


では、なにをすればいいのか。答えは平凡だけど、ウオーキングがいちばん良いと言います。足腰の問題だけでなく、心臓に過度の負担をかけないという点でウオーキングがおすすめです。この20億回という数字ははじめて知りました。
 あんなに元気だった人がポックリ亡くなるなんて・・という死に方がありますが、元気がアダになって心臓を酷使したのかもしれません。しかし、だらだら長生きするよりベターという考え方もあります。(2012年1月 サンマーク出版発行)

本 空腹




スポンサーサイト