閑人帳


●こんな「プロ」もいるのか

 7ch「美の巨人」のあとに「クロスロード」というドキュメントの番組があって、1月16日(土)にはじめて見た。廣岡政幸という30代の男性が主人公。フリースクールに在籍して「ひきこもり」青年を世間にカムバックさせることを仕事にしている。彼自身、少年時代は暴力、暴走族少年だったという経歴がある。足に障害もある。


ホトホト困り果てた親からSOSの電話がかかると、その家へ出かけて本人と面会する。この場面で普通に考えるのは「相手と同じ目線で、相手の心情に寄り添って」という対応だが、彼のやり方は違う、いきなり部屋に乗り込んで、上から目線でボロクソに相手を悪く言う。親が横にいても遠慮はしない。こういう対処は、公的な相談所の担当者や学問としての対応を学んだ人にはできない。相手の気持ちを尊重して、なんて甘やかしにすぎないというのが彼の考えだ。ヘタすると「人権」を持ち出すアホな親もいるだろう。


これは一種の「ショック療法」なのか、と思った。何年間もの確執で親子なのに対話が成り立たないなか、ある日突然、見知らぬ男がずかずか乗り込んで来て「この駄目男め!」とやられる。これで一瞬、脳の思考回路のどこかが覚醒するのではないか。親なら反抗できたのに、アカの他人にやられたら返す言葉も見つからない。
 もっとも、相手をボロクソに言いながらも、言葉は選んでる。その辺は経験で培った芝居なのだろう。昔は自分も同じだったという原点はわすれない。


大卒で就職したが職場になじめず、引きこもり数年という29歳の男性。両親は疲れ果てて無気力になり、家は「屋内ゴミ屋敷]状態。家庭崩壊の有り様だったが、廣岡が乗り込んでガツンと一発、すると意外に素直に変身した。あとはリターンしないよう、追い立てるようにフリースクールへ入れ、共同生活をさせる。デイケア施設で老人の世話をする仕事につかせると、当然だが「ありがとう」の反応もある。この「自分も役立つことができる」認識が世間へ溶け込めるきっかけになる。


小学生からオッサンまで、引きこもりの人は70万人いるそうだ。この人たちの周辺に何倍もの「困り果てている」家族がいる。それをケアする行政などの負担を考えると、社会的損失はとても大きい。
 廣岡式の荒っぽい救済方法だけが良いとは思わないが、アカデミックな学問の成果としての再生プログラムがベストとも言えない。ただ、みんな、死ぬまで引きこもりのままでいたいなんて思っていない。脳天にガツンとくる、再スタートの号砲があれば、多くの場合、立ち直れるのではないか。

番組の紹介はこちら・・・
http://www.tv-tokyo.co.jp/crossroad/backnumber/




にほんブログ村


スポンサーサイト