閑人帳



●映画「海難1890」鑑賞

 明治の中頃、トルコ軍艦が和歌山、大島前で大嵐のため遭難した。そのとき、地元の漁民が総出で救出活動にあたり、生存者を看護し、死者を丁寧に弔った。この不幸な事件が日本とトルコの親善、友好の礎になった。1985年、イラン、イラク戦争勃発にさいして、テヘランに取り残された日本人200人余をトルコ政府が、自国民より日本人優先の救援機を出し、全員無事に救出できた。95年後の「恩返し」であった。


という感動物語であります。しかし、事実をそのまま再現するだけでは地味な作品にしかならない。売上げを確保するためには作り話も加えてイロをつける必要がある。そのさじ加減が難しくて、監督と脚本家は苦労したでありませう。ええ加減に脚色するとトルコ国民の感情を害する恐れもある。さらに、1985年の日本人救出案件では、政府批判物語になる可能性が高い。そこのところをかいくぐって、四方丸くおさまる「感動物語」にしなければならない。いやはや、ご苦労様でした。


娯楽作品としてはよく出来た映画だと思います。政治的なことは知らん顔したのも良い。トルコでも大々的に宣伝し、全国で上映されるそうです。安倍総理もトルコの大統領も鑑賞したと、どこかに書いてありました。


イスタンブールから日本まで、一年近くかかっています。わずか2300トンの木造軍艦に600名もの乗員をのせての航海は、人も船もストレス溜まりまくりだったと思われます。何度も寄港して、燃料(石炭)、食料、水、その他の物資を補給しなければならない。船体も傷んでくる。
 実際、帰途につくときは船の修理を勧められたそうですが、断って出港した。一日でも早く故国へ帰りたいという気持ちゆえか、もしや、修理するお金のゆとりがなかったのか。航海に慣れたオランダ船などにくらべてハンディは大きかった。それが悲劇の下地になったかもしれない。
(1月5日 アポロシネマ)

映画の案内はこちら・・・
http://www.kainan1890.jp/



海難





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