閑人帳



●ナチス、もう一つの大罪  ~ETV特集から~

ホロコーストのリハーサルに自国民の障害者を殺戮

 難民問題やVWの不正問題で、近頃、悩みの多いドイツ。そこに、あのユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の前には自国民を殺してのリハーサルが行われていた、と伝えるのがこの番組です。その犠牲者は無抵抗の障害者だった。ナチスとその協賛者は大虐殺の「練習」をしていた。


この事件はながらく曖昧にされていたが、数年前にドイツの精神医学学会が事実を認め、第三者を交えた調査が行われることで明るみにでた。ナチスがユダヤ人への差別をはじめた頃、一方では優生学の観点から、精神病患者や重度の障害者は「社会のお荷物」という思想が生まれた。共生ではなく隔離する施策がはじまり、さらにエスカレートして「何の役にも立たない人間は抹殺するべき」という恐ろしい考えが学会で力を得てしまった。


大量殺人のプログラムが作られ、数カ所で実行に移された。むろん、極秘に行われたが、それでも国民の知るところとなり、ある教会の司祭が説教の場で話したことが密かに伝わりはじめた。信者が手書きで書いた文章が何度も何度も手書きでコピーされ、拡散した。
 やがてナチス政権は国民にバレたことを知り、一旦、殺戮は中止された。しかし、医学界はこっそり虐殺を続けた。どうしたら手間をかけず、効率的に大量殺人ができるか研究した。その研究成果が後のユダヤ人大虐殺に役立った。ヒトラーやナチス幹部だけが悪の権化のように思われているが、それを裏で支え、協力したのが医学会だった。


一体、どれほどの弱者が殺されたのか、正確な数字はわからないが、番組では「およそ20万人」としている。敵対国の人間ではなく、自国民を殺して平然としていたドイツ人(の一部)の倫理感覚は理解不能だ。
 唯一の救いは、戦後70年を経て、医学界自ら事実を認め、ドイツ国内だけでなく、海外にもそのおぞましい事件を公表したことだ。事件の当事者(加害者)から、二代、三代をへて、ようやくトラウマが薄れたという事情があるかも知れないが、恥辱に耐えて事実を明らかにしたことは評価できる。しかし、犠牲者の遺族は、先祖が「大量殺人の練習材料」に使われたことを知って怒りが増すばかりだ。


ドイツ国民にとっては、ユダヤ人大虐殺だけでも凄いトラウマなのに、自分たちの先祖も無慈悲に殺されたと分かって、さらに懊悩は深まる。(NHK ETV特集 11月7日放送 再放送は14日深夜)

番組案内
http://www.nhk.or.jp/etv21c/archive/151107.html



重い告白
ナチス


檻に入れられた精神病患者
ナチス 


病人、障害者殺戮のゴーサインが出た。
ナチス 



殺害対象に選ばれた病気の例
ナチス 


医師の判定書。+記号がつけば殺害可になった。
ナチス 



死体を焼く煙。独特の悪臭がバレる原因のひとつになった。
ナチス 



ガス室への輸送に使われたバス
ナチス 



ガス室。一度に数十人が殺された
ナチス 




ナチス 



政府が禁止したのに、医学界では「練習」をやめなかった。
ナチス 






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