閑人帳



●B級骨董マニアの悲哀 ~開運なんでも鑑定団~

 骨董品鑑定の基本のキは「一流品で目を養うこと」であります。これは美術や音楽、文学などアートの鑑賞全般にも言えると思います。

 10月20日の「なんでも鑑定団」に出演した、自称骨董ファンのおじさんの悲劇は、これを怠ったから起きた。60代のオジサンは骨董収集歴20年という、自称「目利き」ですが、高価なものを買うゆとりがないので、収集は「5万円以内」のものに限るとして購入していた。


しかし、定年後のあるとき、知り合いの骨董店主から「高価な名品をよりどり一つ百万円でお分けする」と持ちかけられた。このセールス文句からして怪しいのに、店に出かけて「名品」を見たおじさんは、その品々にぞっこん惚れ込んでしまった。そして、中国、朝鮮の古い陶磁器4点を400万円で購入した。その資金は虎の子の退職金で、本来は400万くらいの、上等のマイカーを買うつもりでいた。


おじさんは、文化財級の名品を安く買ったと自己満足し、自慢半分で「鑑定団」番組に出演を申し込んだ。そして、おなじみ、中島誠之助氏が鑑定した結果・・4点で4千円だった。ガチョーン!(ふる~)おじさんがどれだけ傷ついたか、顔に表れていた。自慢するつもりで出演したのに、大恥をかいた。頭、真っ白になったでせう。


趣味の世界だから、ひとつ5万円内の予算でコレクションするというポリシーは悪くない。しかし、この世界に浸っていては「高価で一流品」に接する場面が少ない。おじさんにとっては、一流品であるかどうかより、買えるかどうかが判断基準になってしまっていたのだろう。これでは肝心の審美眼は育たない。だから「唐三彩」というブランドで見せられるだけでコロリと騙されてしまう。出品された4点は、テレビ画面で見ただけでもインチキとわかる代物だったが、おじさんには一級の文化財に見えてしまった。悔しさ、恥ずかしさ、いかばかりか。もし、親戚や友人に出演することを伝えていたら・・汗が噴き出しそう。会場にいた奥さんの落胆ぶりも気の毒なくらいだった。


怪しげな壺を10万円で買うより、その金で美術展めぐりしたほうが余程楽しい、と自分は考えるけど、そんな言い分は収集家には説得力を持たない。一流品を鑑賞するより、二流品を所有するほうが好きだと言われたら、単なる好みの違いなので、他人はとやかく言うべきではない。


そもそも彼らの「見る目の無さ」がこの番組の人気を下支えしている。一流の目を養え、なんてマッタク余計なお節介であります。達人、目利きばかり登場したら視聴率はガタ落ちになること必定であります。


鑑定団



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