閑人帳



●芥川賞「火花」又吉直樹さんの印税収入3億円

 Eテレ「オイコノミア」は世間万事を「経済学」の視点で考える番組であるらしい(不詳)。今回は、番組のMCで作家、又吉直樹氏と西加奈子(直木賞作家)経済学者、大竹文雄センセの登場で出版とカネ(経済学)の関係についての話でした。


冒頭は「火花」が大ヒットして、又吉センセはなんぼ儲かるのかという話。定価1290円。これが8月末時点で239万部出た。売上げは約30億円。作家の収入になる印税は10%なので、又吉さんは3億円の収入・・ドヒャーであります。現在はさらに部数が伸びてると思われるので、税金を払っても手取りで3億になるでせう。(原稿料は別)芥川賞の賞金、百万円なんかもうハナクソほどのボリュウムしかありません。


西さんは、又吉さんのお人好しな性格を心配して「早いこと、不動産購入とかして財産を守ったほうがええよ」みたいなご注進を述べていましたが、その通りかも知れない。芸能界に身を置いていたら、あの手この手の「たかり」は普通に起きる。・・にしても、預金通帳に「億」の金額が記されてるって、どんな気分?。


NHK 


ジリ貧を続ける出版業界と書店数
NHK


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●ドナルド・キーン氏の卓見

 NHKスペシャル
「私が愛する日本人へ ~ドナルド・キーン 文豪との70年~」を見て

 一年ほど前、苦労して、キーン氏の「百代の過客」(はくたいのかかく)を読んだ。それだけで親近感を覚えてこの番組を観た。キーン先生、ただ今93歳、まだ日本文学研究の現役であります。センセ、なんぼ長生きしたら気が済みますねん。楽々100歳まで生きそうな気がします。


戦時中の兵役体験のなかで、情報収集の仕事から日本人に興味をもち、日本人、日本文化探求にのめりこんでしまった。いまや日本文化に詳しいどころではない。日本の一流文学者を凌ぐような文学通であります。
 若いときから真摯な態度で研究に取り組んできた成果の一つとして、スエーデンのノーベル賞選考委員会から「文学賞候補推薦に値する作家はいるか」の問い合わせがあった。キーン氏は塾考のうえ、三人を推薦した。

1・谷崎潤一郎  2・川端康成  3・三島由紀夫 の順。

1960年代の文壇を俯瞰しての判断としては、すごく真っ当だと思います。日本国民としては誰も文句を言えない。卓見というしかない。人選だけでなく、ランキングでも大方の人は納得できると思います。三人の作品をしっかり読み込み、本人との交流もあり、しかし、各人に対して何の義理もない。こんな中立的立場で三人を評価できる日本の文学者、文壇関係者はいたでせうか。


で、第一候補は谷崎潤一郎でありました。しかし、キーン氏の推薦後、保留期間があったのが不運だった。1965年、谷崎は亡くなってしまう。そして、1968年、川端康成が選ばれた。むろん、キーン氏が推薦したから選ばれた、というのではないにしても、相応の影響力はあったと思います。当時、キーン氏はまだ40歳代の若手研究者だったことを考えると、やはりエライ先生であります。


この番組、ナビゲーターとして俳優の渡辺謙が出、キーン氏と対談する場面もあったが、なんで人気俳優が出るのか。作る側は「視聴率稼ぎのため」という明快な理由があるにせよ、そもそもミーハー番組に仕立てる必要があるのか。二人の対話はあらかじめ用意されたセリフで、NHK得意の予定調和的な流れになり、見る方がシラケそうになる。キーン氏にはもっと自由にしゃべらせて、Eテレで放送したほうが中身の濃い番組になったと思います。(10月10日放送)


NHK

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