閑人帳


堀場製作所の社是

堀場



●堀場の計測器がVWの不正を暴いた

 制裁金や改修費用が天文学的な巨額になりそうなVW問題。そのきっかけはウエストヴァージニア大学研究班のデータ指摘でした。このデータをつくったのが堀場製作所がつくったポータブル排ガス計測器です。この計測器がなければ、不正はまだ続いたかも知れない。


車の排ガスデータ収集は専門の試験場で行われるので、計測器も大型の据え置きタイプが試験場に設置されます。この場合、車の走行はローラーの回転で車輪を回す仮想走行のかたちでテストされます。だから、小刻みなスピードの変化がなく、ハンドル操作もありません。いわば、試験用モードでの走行で排ガスが測定されます。このモードをVWは悪用した。試験用モードの走行を察知すると、排ガスが少なくなるようなソフトウエアを起動させて規制をクリアさせた。


しかし、これだと車の実用走行での排ガスは計れない。実用走行で計測するには、車に積み込める小型の装置が必要です。これを堀場製作所が大学に納入し、どんな車でも排ガスが測れるようにした。VWが不正をはじめた頃は、こんなポータブルな機械がなかったから、実用走行での測定は想像外だったでせう。当然、不正はバレないと思ってしまった。


クソ、憎きHORIBAめ! VWは堀場を恨んでる。しかし、覆水、盆に返らず、であります。たった一台の機械がVWの経営を大ピンチに追いやっただけでなく、ドイツという国家のイメージダウンまで招いてしまった。その影響力の大きさは「文化的原爆」と言えるかもしれない。


もっとも、堀場にすれば、顧客のオーダーに応じて製作、納品した計測器の一つに過ぎず、大発明でもなんでもない、開発商品の一つです。ただ、これは売れるかも、という感触があったのか、一般商品として、一台2000万円で販売している。今回の事件を機に、たくさん売れるかもしれない。


京都には、計測器や分析機というお堅い機械をつくるメーカーが二つあって、堀場製作所と島津製作所。似たような業態なのに、生い立ちや体質は「いちびり」と「くそまじめ」と表現できるほど違う。むろん、堀場が「いちびり」であります。「くそまじめ」島津にはノーベル賞を受賞した田中さんがおられるから納得できます。


堀場製作所の社是は「おもしろ おかしく」です。創業者の堀場雅夫氏(故人)が提唱した。商品の発想、開発の原点はコレで行こうという。サントリーの「やってみなはれ」に近い柔軟な考えですが、社員が6000人まで増えた今もこの精神が行き渡っているのかな、と少し?なところもある。ともあれ、この「おもしろ おかしく」精神で開発された計測器によってVWは大打撃を受けた。VWの幹部がこの社是を知れば、頭に血が昇るでありませう。英語では[JOY&FUN]です。

 いちびりが昂じて? 社歌までつくってしまった。(動画)
http://channel.horiba.com/ja/#corporate22

参考情報
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVFTIG6KLVR601.html
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015100390094503.html


堀場の車載用排ガス測定装置
堀場




スポンサーサイト