閑人帳



●老人ホームにKNさんを訪ねる

 KNさん(85歳)は昨年暮れに奥様を亡くされて郊外の家に一人暮らしをしておられたが、認知症がはじまったこともあり、息子さん、娘さんの世話で老人ホームに引っ越しされました。
 場所は阪神芦屋駅から徒歩10分たらずの静かな住宅街。大手業者が運営するホームは、外観はありふれたマンションの趣ですが、中はなかなかリッチなつくりです。(写真参照)4階建て60室の規模で、現在は満室だそう。個室は約22平米。トイレ有り、風呂は共同です。


ホームから歩いて10分くらいのところに娘さん家族が住んでいます。これでご本人も娘さんも大安心になりました。立派な施設、親切なスタッフ、美味しい食事・・とKNさんに不満はありません。


自分で掃除をしなくて良い、洗濯もしなくて良い、メシも作らなくて良い、買い物はスタッフに頼めば良い、嫌いな人とは付き合わなくて良い。健康診断は、病院へ行かなくても、医師がホームへ来てくれる。駄目男と真逆の恵まれた「安全保障体制」生活が認知症へまっしぐら・・。


「一日をどうして過ごしていますか」の問いに「だらだらテレビを見てるうちに一日が終わります」と。今は、事務所に頼んで新聞を購読しているが「だんだん読むのが面倒になった。読んでも何も残らない」。散歩が健康に役立つ事は分かってるけど、足が弱ってるので外へ出るのが億劫になった。一人で外出すると戻れないから、スタッフの付き添いが要る。当然、スタッフは散歩を勧めない。「ええ天気や、ちょっと散歩に出かけよう」これが、どれだけ有り難いことか再認識させられます。


外出したがるので、ホームと芦屋駅との中間にある喫茶店でお茶にしました。雑談のなかでKNさんは「認知症って病名は今年出来たんですよ。去年までは「物忘れ外来」というたんですわ。だから、認知症って名前、医者も知らへん、けしからん」と言います。そこで「そんなアホな!」と逆らっても仕方ない。あちゃ、そうでっか。私も知りませんでしたわ。これで話が円滑に続くのであります。


KNさんがしみじみ言うに、80歳を越えた老人の悲しみは、同年代仲間がつくってきたコミュニティが次々と消滅していくことです。死亡や寝たきり化で同窓会や趣味の会が維持できなくなって消えてしまう。生涯、一つの会社で仕事人生を終えたサラリーマンには、元職場仲間と同窓生が付き合いのすべてという寂しい余生を送ってる人もいます。さりとて、80歳過ぎて新たな付き合いをはじめるのは難しい。


であれば、老人ホームは新たな出会いの場になるではないか、と思えます。確かに良い機会になるけど、仮に半数が認知症患者であれば、一般人のイメージするコミュニティづくりは困難でせう。でも、成功例はあちこちにあるかもしれない。


老人ホームに知人を訪ねるのは三カ所目です。帰宅してから、ここなら「なんぼかかるねん?」と調べてみました。
 
◆月額支払型契約(頭金なし)
一ヶ月・・413,000円

◆入居金型契約
頭金 1050万円
毎月 213,000円
(注)医療費やおむつ代は別途支払いになります。介護の等級が上がると更にアップします。

 ちなみに、駄目男宅周辺(住吉区)に乱立している施設の料金は、入居頭金ナシで月額13~16万円くらいが多い。老人ホーム暮らしも大きな格差があります。


老人ホームに入居することは、自立した暮らしを止めるということです。世間と縁が切れることを覚悟しなければならない。おそらく経験したことのない孤独感に苛まれる。これに耐えるには、それなりの哲学が要ります。しかし、予習は難しい。ボケたら悩むことも無くなる、なんて失礼でせう。


ホームの玄関ロビー
ホーム


広い中庭がある
老人ホーム


各フロアにある団らん室
ホーム


団らん室の隣には、家族やグループで使えるキッチンつきのダイニングルームがある。
ホーム



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