閑人帳




怪談 



●内野聖陽/秋山菜津子「東海道四谷怪談」鑑賞

 
鶴屋南北の傑作を現代劇の舞台で演じたらどうなるか。筋書きはほぼ原作のまま、セリフは現代語、衣装、小物は江戸時代・・そして舞台装置は、といえば、超シンプル、モダンなデザインです。もちろん、予算や移動の事情もあるけど、これ以上、省略しようがないという所まで簡素な舞台。まあ、よく考えましたね。ただ、保守的な歌舞伎ファンが見たら、ゴラア~、手抜きせんとマジメにやらんかい!と、文句垂れたくなりませう。演出は森新太郎。

 休憩はさんで3時間の長丁場なので疲れました。二階のビリの席だから遠眼鏡は必携です。自分と同じジジババ世代の観客は1割未満、8割が女性で、平均年齢40歳代?。ということは、映画や歌舞伎で四谷怪談を見たことがない人が多いのか。


伊右衛門を演じる内野聖陽は「色悪」(ハンサムだけど性悪な男)ぶりを表現しているけど、ちょっとカッコ良すぎ。陰気さがない。しゃべり過ぎという感もある。でも、ファンにはこの方が魅力的でありませう。お岩の秋山菜津子は毒薬でハカイされた顔のメイクが怖くないのが残念。舞台では映画のような凝ったお化け顔につくれないのは仕方ない。


超シンプルな舞台装置でリアルな「怪談」を演出するにはどうすればよいか。演出家は悩んだでありませう。リアリズムにこだわっても限度がある。だったら、逆を行こう!と、悲しい場面、立ち回りの場面で、なんと、誰でも知ってるピアノ曲「乙女の祈り」を鳴らしたのであります。
 観客はドッキリもええとこでありますが、やめろとも言えないし。ま、好きにして、と駄目男も寛容です。もしやパロディ狙いかもね。


四谷怪談では重要な見せ場、「戸板がえし」はどうするのかな、と期待しましたが、残念ながらカットされた。いろいろ考えたけど、このシンプル舞台では演出できないと諦めたのでせう。一方、ハイテク小細工には秀逸な演出があって、赤ん坊を抱いたお岩の着物の裾がメラメラと火炎を上げる場面がある。内側に超小型の投影装置を仕込んだのか。炎はプツンと切れるのでは無く、だんだん弱火になって消えるのだから、凝り性ですねえ。拍手!

 最後の立ち回りでは、黒衣の操作する模型のネズミが床に投射される映像のネズミにするりとすり変わる場面もある。ローテクからハイテクへ、時代の変化を見せたかった?。
 この公演、東京・新国立劇場では2週間もやったのに関西では2日、3公演だけ。人口や所得の違いがあるにしても、なんか恨めしや~。(7月1日 兵庫県立芸術文化センター 中ホール)


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