大阪日暮綴



●与謝野晶子の”きもの賛歌” 立派な資料に

 高島屋百貨店は、戦前~戦後にわたって「百選会」という和装の新商品、デザイン開発を担う部門をもち、アーティストや文化人が集うサロンにもなっていた。その顧問に与謝野晶子が加わり、新しい商品が出ると、その魅力を歌に詠むという広告的な仕事も引き受けていた。ゆえに、純粋な詩歌の創作に非ずということで、彼女の「作品」としては顧みられずにいた。


しかし、このまま埋もれさせてしまうのは惜しいと昔の資料からコツコツと商品と詩を探し出し、分類、整理して編集、このほど「与謝野晶子と百選会~作品と資料~」という立派な資料集が完成した。
 この作品の発掘と資料づくりを提唱したのが高校の同級生Oさん。入社以来、呉服部に勤めていたことから、与謝野晶子の未発表の詩に興味をもち、いつかは世間に知ってもらいたいと望んでいたところ、会社の理解とバックアップもあって陽の目をみた。望みうる最高のハッピーエンドになった。与謝野晶子の知られざる詩を発掘した、と巷間話題になり、新聞等で報道したので、ご存じの方がおられるかもしれない。


新商品の色柄を見て、たぶん、即興的に読んだ詩が数百。プロとはいえ、よくもこんなにスラスラと詠めたものだと感心します。見た瞬間の印象は誰にも生ずるとしても、即座に五・七・五・・で表現するのは・・・。 もっとも、連歌の集いでは、このような即興を娯楽にするのだから、大難儀ではないのかも知れないが、駄目男なら、着尺の前に三日座っていても、な~んも浮かばないでありませう。


戦前にデザインしたいくつかの作品は複製がつくられた。その一つが写真の「流線美式天象」。昭和10年(1935年)に出品されたもので、今から80年前の柄とは思えない斬新なデザインです。 これが更に印象深いのは、後に小磯良平がこれを使って「日本髪の娘」を描いてること。美術ファンなら、この絵、見たことあると思い出すかも知れない。資料には、小磯画伯は「百選会」の顧客だったので、案内状を見てこの柄が気に入り、注文した、とあります。


全ての商品が留め柄になったとは思えないので、与謝野晶子の褒め詩つきの着物を着た人が何千人もいたはずです。しかし、本人はおそらく気づいていない。「百選会」モノを受け継いでる人は、一部ながら資料集で色柄を検索できるので、お宝発掘を楽しんではいかが。


「流線美式天象」  この柄は次のように歌われた。

流線の秋袷見よこころよく さへぎるもののあらざる調子

百選会

上の着物を使った、小磯良平作「日本髪の娘」
百選会



「与謝野晶子と百選会」展 ご案内 ~入場無料~
6月30日まで(水曜・日曜休館) 高島屋資料館(日本橋三丁目)
百選会





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