読書と音楽の愉しみ



●大久保潤 他著「沖縄の不都合な真実」を読む

 沖縄の政治、経済の実情について、私たちはまともな知識を持ち合わせていない。積極的に知ろうともしないし、メディアも伝えない。全国の都府県の中で沖縄だけは未だに未知、不可解な土地のままである。
 観光旅行では決して見えない沖縄の現況を解説する本書は、日経新聞の二人の記者が著した。朝日や毎日の記者が書いた本なら色眼鏡越しに読まねばならないが、日経の記者が書いた点で反日色は薄い。いささか堅苦しい内容ですが、ウラ事情がよく分かります。


しかし、あれこれややこしい問題が多すぎてまとめるのが大変です。なので、一番大事な沖縄の支配構造についてのみ書いてみます。


◆沖縄県政を牛耳る面々
 沖縄には他府県に見られない支配構造(権力機構)が出来上がっています。・・と書けば、誰しも「左翼」連中と想像するでせう。ちがひます。沖縄の政治経済を牛耳っている面々は、地方公務員、教員及びその労組、琉球大学OB、及び学者、地元メディア(琉球新報と沖縄タイムス)そして地元の建設業者です。そして彼らの頂点に市長や知事がいる。これに外れた一般県民は選挙権を除けば力のないハズレの民です。こんな差別構造を有する都府県が他にあるでせうか。本書が一番問題にしているのがこの支配構造=沖縄ナショナリズムです。


いや、共産党や社民党も基地問題では積極的に活動しているではないか、と思うかも知れません。実際、上記の労組は左翼政党を支持しています。
しかし、それは政府と対峙するときのタテマエであって左翼のイデオロギーを信奉しているからではない。本音は利権と金です。
 本来、利権や金で動く政治を批判するべき共産党や社民党がモロ利権団体に呑み込まれてしまっている。基地反対運動では「革新」の旗を振るけれど、実体は利権、金まみれの保守団体というわけです。


基地問題を巡るゴタゴタ、特に普天間基地の移設に関しては曲折を経ながら解決の道が見えていた。それをひっくり返してしまったのは、あのバカ殿、鳩山由紀夫首相の「少なくとも県外」発言でした。民主党政権では何の解決策も生めなかった上に、安部政権の辺野古移設案は徹底的に反対しているのはご存じの通り。肝心の普天間基地住民の安全については知らん顔しています。
 私たちは報道によって辺野古地区の住民の大半が新基地建設に反対しているのではと思っていますが、実際は、住民の大半は容認派です。


沖縄の実情がわかりにくいのは、行政、企業に加えてメディアまでが支配者側に組み込まれているからです。また、内地の大手メディアも琉球新報や沖縄タイムスのいい加減な情報を批判する姿勢がない。触らぬ神に祟り無し、の扱いです。


◆誰も反対しない「那覇空港第二滑走路」建設
 辺野古の建設工事では、作業船がコンクリートブロックを一つ沈めただけで知事が差し止めを命じるなどの露骨な反対運動を展開しています。貴重な珊瑚礁を壊してはならぬ、という理由です。
 しかし、実はもっと大規模な自然破壊工事が着々と進んでいる。それがタイトルの空港工事です。現在の滑走路に並行して長さ3000mに及ぶ埋め立てをする工事で、その大半が珊瑚礁の海です。(写真参照)辺野古よりずっと規模が大きい。当然、美しい珊瑚礁を壊すな、と大反対運動が起きるはずなのに、そんなニュースは聞いたことがない。


総工費約2000億円。この大半が地元業者の売上げになるのなら反対なんてとんでもない。珊瑚礁が消える。希少生物が滅ぶ。知ったこっちゃない・・でありませう。本来、自然を壊すな、とアピールするべき地元メディアも見て見ぬ振り。朝日や毎日も自然破壊問題を報じたことないのではないか。


◆驚きの言論封殺も
 沖縄の支配組織がいかに強力であるか。端的に現れたのが「自費出版拒否問題」です。日頃、支配側に対してアンチな意見をブログで発信していた文筆家、又吉康隆氏が掲載した意見をまとめて出版しようと地元の出版社に見積もり依頼したところ、断られたというのです。
 なぜか。その原稿の趣旨が「普天間は辺野古移設以外の選択肢はない」だから。日頃、自費出版はぜひ当社で、と宣伝している出版社が、この内容では受けられないと。支配側の意に背く表現はたとえ自費出版でも断る・・。唖然とする言論封じです。


美しい自然に恵まれた沖縄で、かくも汚い政治が行われていることを知るべきでせう。
(2015年1月 新潮社発行)


那覇空港 第二滑走路工事 緑の部分が珊瑚礁
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