読書と音楽の愉しみ



●櫻井陽子著「90分でわかる平家物語」(小学館)
  日下 力著「平清盛と平家物語」(青春出版社)を読む

 「方丈記」「枕草子」「徒然草」に続く、古典名作の安直読書、4冊目は「平家物語」です。90分でわかる・・のタイトルに釣られて読みましたが、実際は3時間くらいかかりました。こんな本読んで「平家物語」を読んだなんてエラソーなこと言いませんが、とても要領よくまとめてあって、初心者向け虎の巻としてはスグレモノです。


本書を選んだ理由の一つは、頭の中でグチャグチャになっている平氏の家系(相関図)をリセットしようという意図があったからです。平家物語は読んだことないけど、平家の面々が登場する、能や歌舞伎、文楽はたくさん見ており、いろんな人物が出てくるものの、それらは物語の一部分で登場するだけなので、他の人物との相関がわからない。ま、分からなくても十分楽しめますけど。


平、といえば清盛、と、このキャラクターは誰でも知ってるけど、他の兄弟や息子となるとチンプンカンプンであります。残念ながら、本書を読んだ後もチンプンカンプンに近い(笑)。あと一ヶ月もすれば元のグチャグチャに戻ってしまいそう。
 名前を覚えにくい一番のワケは、文字や読みが似ているからです。清盛以後に出て来るオジサンたちが、宗盛、重盛、教盛、経盛、通盛、知盛、敦盛、資盛、維盛、・・・と モリ沢山。関係も親子、兄弟、孫、等とややこしい。芝居好きな人は、知盛や敦盛の人物像をイメージできるけど、筋書き自体がええ加減に作り直されてるので、人脈云々を言ってもあんまり意味が無い。


名前が覚えにくい、に次いでややこしいのは血筋の複雑さです。いわゆる正室(正妻)だけが生んだ筋なら簡単ですが、複数の側室や愛妾が絡むと図面(相関図)で説明してもらわないと分からない。分かっても覚えられない、というわけで、チンプンカンプンになるのであります。
 さらに、平家と対峙する側の系統も、源頼朝、義朝、為朝、実朝・・と似たような名前のオジサンたちがいて、そのややこしいこと・・。むろん、義経や義仲も登場します。


おなじみの、安徳天皇の入水や俊寛の島流しの話も哀れだけど、今回はじめて知った、平家最後の嫡流、六代御前(平高清)の人生も涙ちびる物語であります。生まれてこの方、27歳で殺されるまで、楽しい日など一日もなかったかと思わせる悲嘆の日々。平家物語を締めくくるための作り話かもしれないが、諸行無常、もののあはれを表すにふさわしいラストシーンになっている。


結局、せっかく読んだのに、かいもく知識が増えなかったのであります。それは頭が悪いから仕方ないとして、一度はライブで「語り」を聞いてみたいと思ったものです。琵琶の伴奏で、できればお寺のような空間で聞いてみたい。
 
 
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ・・」



平家物語






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