読書と音楽の愉しみ



●最近の演奏会から

佐渡裕のブルックナー「4番」を聴く

 兵庫芸セン・オケが創立されて10年、機は熟したりと定期演奏会で企画したのがこの演奏会。佐渡裕はブルックナー初体験、従って定演の聴衆の多くも初体験になる。型どおり「4番」からスタートして、今後経験を積んでゆく。世に「佐渡裕のブルックナー」が浸透するまでずいぶん年月がかかる。


4番ではホルン奏者の上手下手が演奏の「品質」を決めかねないのでハラハラするが、今回は無難にこなして合格。気になったのは、ティンパニの音がえらくくぐもった鈍い音に聞こえたことで、これはホールの特性かも知れない。全体にゆっくり目のテンポで、破綻はないが個性も感じない音作り、初演だから仕方ないか。第二楽章なんか朝比奈サンのスローテンポを思い出したくらいだけど、まずは慎重に、無難に、なのでせう。


自分の経験に照らしても、ブルックナーの4番、5番、7番、8番、9番の5曲を聴きこなすのに10年くらいかかったように思う。そんなの、CDを何回も聴けばええじゃないかと言われそうだが、聴きこなしって、そんなもんじゃないんですね。ここんところが、ジャズやポピュラーとは全然違う。キザな言い方をすれば、ウイスキーを樽で寝かせるような「熟成」が要る。違った指揮者、オケの演奏を聴くたびにビミョーな差異を聞き分けて栄養分を取り込んでゆく。長年にわたる聴きこなしは人間的成熟とあいまって、趣味道楽の域を超えた精神的ビタミンの役目を果たす。(言葉では説明が難しい)


ブルックナーの曲を普及させるためには、オケや指揮者の技量も大切だけど、聴衆の成熟が伴わなければファンは増えない。これがまた難しい。今回の演奏会ではじめてブルックナーを経験した聴衆の何割かは拒絶反応を示したはずだし、さりとて彼らを説得する術はない。朝比奈=大フィルコンビの時代と違って、聴衆の高齢化が進んでることも大きなハンディになる。60歳過ぎて、はじめてブルックナーを聴いて、ぞっこん惚れ込んだ・・はほとんど期待できない。


で、たったいま思いついたのでありますが、作曲家の生涯を描いた30分ほどの伝記DVDをつくったらどうか。図書館などで気軽に借りられたら興味をもってくれるかもしれない。映像のバックに曲のさわりの部分をカッコヨク流す。予習としては安直で、ミーハーっぽいけど、まずは曲と人物像を覚えてもらうのが肝要であります。(9月12日)


ブルックナー「交響曲第4番」の動画(第一楽章)
http://www.youtube.com/watch?v=2EFoDEgzs40





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