読書と音楽の愉しみ



●橋山禮次郎著「リニア新幹線」 ~巨大プロジェクトの真実~ を読む

 東京~大阪を一時間で結ぶリニア新幹線。このプロジェクト実施にあなたは賛成ですか、反対ですか、と問われたら、どう答えますか。明快に、賛成、反対を答えられる人は少ないのではないかと思います。


本書は建設反対論を述べたものですが、駄目男はこの本を読む前から反対論者です。推定9兆円を投じる大プロジェクトであるが、経済合理性、安全性、利便性、快適性、すべてにおいてアウトだと思っています。
 著者はこれらの懸念について,現在知りうる限りの情報を駆使して「だから反対」を唱えています。ただ、専門的な記述が多いので、ここで簡単にまとめるのは難しい。


建設の賛成、反対を問われて答えにくいのは、私たちがリニア新幹線に関する知識をほとんで持ち合わせていないからです。JR東海や国が情報を出し渋ってる?かもしれず、また、マスコミも知らん顔をしている。
 仮に「これがリニア新幹線だ」みたいなドキュメント番組をつくったとしたら、その素晴らしさよりは問題点のほうがずっと大きくクローズアップされる可能性があります。国民に夢でなく、大きな不安を与えかねない。


で、どんな列車なのか。すでに結論がでている概要は
■時速500キロで東京~大阪を1時間で結ぶ。
■全線の7割はトンネル走行となる。
■運転は遠隔操作による無人運転。
■運転時に強力な電磁波が生じる。(健康被害の懸念あり)
■事故が生じた場合の対処、また、予防は、経験が無いゆえに「想定」 しかできない。想定外の事故には実際上、対処できない。
■運転に必要な電力は現新幹線の3~5倍。
■料金は現新幹線より1割程度高い想定。(あり得ない、絵に描いた餅)
■2013年9月、JR東海の山田社長は記者会見で「リニア新幹線は絶対にペイしない。在来新幹線の収入でなんとか建設費を賄う」と公言した。


長さ100キロのトンネルを走行中に大地震が起きて、全電源が喪失したら・・どうして救出するのか? あまり心配性ではない人でもゾッとするのではありませんか。福島の原発事故は「想定外」だったというが、もはや「想定外」は言い訳にならない。あの事故で、日本人全部が「想定外」のなんたるかを学習してしまったのです。


反原発、脱原発を唱える人が「リニア新幹線建設賛成」は言えない。試算では、リニアを毎時10列車運転すると、原発3基ぶんくらいの電力を消費する。節電志向が進む社会で、こんな電力がぶ飲みシステムが許されるのか。


リニアが全通する2045年時点で、日本の人口は24%(3000万人)くらい減少しているという推算がある。また、現東海道新幹線の平均乗車率は60%程度であり、リニアが満員盛況になることはあり得ない。仮に、リニアが盛況であれば、在来東海道新幹線は乗客ガタ減りで大赤字になり、リニアの赤字を補填することは不可能になる。
 皮肉なことに、リニアの乗客が少ないからといって運転本数を減らすことは御法度である。5分毎の運転を30分に1本にしてはリニアの存在理由が無くなる。


著者は、リニア計画を中止して現在の新幹線網の改善、リニューアル推進を提唱している。このほうが遙かに安上がりで安全性も高い。トンネルの中を時速500キロでぶっ飛ばすより、時速250キロで富士山眺めながら弁当食べるほうが「ええじゃないか」と思いますが。もっとも、駄目男がリニア新幹線に乗る可能性は、余命からいってゼロに近い。(2014年3月 集英社発行)


リニア新幹線の基本情報
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A

JR東海のリニア広報HP
http://linear.jr-central.co.jp/



本・リニア

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