閑人帳



●住太夫、聴き納め  ~4月25日・国立文楽劇場公演~

 来月の東京公演で引退する竹本住太夫、大阪最後の舞台は「菅原伝授手習鑑」夜の部。午後4時から9時まで5時間の長丁場、昼夜通しでは10時間かかります。公演日の20日くらい前に難なく切符が買えたので、当日券もありかと思って行ったら大混雑、売り切れご免でした。


明らかに文楽初心者と思える人もいて、いつもと違う雰囲気でしたが、満員御礼はめでたいことです。今年は国立文楽劇場開館三十周年という節目でもあり、キャストもオールスターで盛り上がってる感じ、住太夫にとっても幸せな舞台となりました。


住太夫が語るのは「桜丸切腹の段」三味線は野澤錦糸。寺入の段とともに泣かせどころがある場面です。多くの文楽ファンが感じてると思いますが、愁嘆場での情感たっぷり感ではダントツに上手い。

極めつけは、白太夫(桜丸の父親)が桜丸の嫁、八重に桜丸の切腹を告げるところ、床本をコピーすると

「定めと諦めて腹切刀渡す親、思ひ切っておりや泣かぬ。そなたも泣きやんな、ヤア」
「アア、アイ」
「泣くない」
「アア、アイ」
「泣きやんない」
「ア、アイ」
「泣くない」
「アイ」
  (以下略)

泣くな、と言いながら、観客をオイオイ泣かせてしまうのであります。美声でなく、ガラガラ声で爺と嫁を語り分けるテクニックは修練と年期の賜、彼がなんで人間国宝なのかナットクできます。


不条理とご都合主義てんこ盛りの、ええ加減な物語なのに、なお現代人を魅了するのは、理屈抜きで心の琴線に訴えるワザのなせるところです。ま、鈍感、橋下徹サンには別世界の話でありますが。(同公演は4月27日に終了)


三十周年を祝して新しく調達された緞帳。計ン億円のはず。
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