閑人帳



●映画「ゼロ グラビティ」鑑賞

 この映画を観た人、100人中99人は、宇宙なんぞに絶対行きたくない。タダでもイヤ、とキッパリ言うと思いますね。(一人はタダなら行くと)
 私たちが今まで知らされてきた宇宙の光景は、眼下に見下ろす地球の美しさや満点に浮かぶ星の輝き・・といった素晴らしい空間のイメージばかりでした。それは事実だとしても宇宙空間の一面でしかない。


この映画はそんな甘い想像をぶっ飛ばして、全91分間、恐怖だけ味わせてくれる、オソロシイ作品です。意図的に破壊した人工衛星のパーツが時速32000キロで宇宙船に衝突、大破した。船内の乗組員は即死、宇宙船は操縦不能、地球との通信途絶・・たまたま船外活動していた二人は暗黒の空間においてけぼりに・・えらいこっちゃ~、であります。


カメラワークが上手いなあと思ったのは、二人の飛行士の行動を映しながら、観客をあたかも三人目の飛行士と錯覚させるようなフレームにしていることです。船体や飛散するパーツが観客に当たりそうになる。3Dだから、その辺は巧妙にデザインされていて、自分も宇宙に放り出されたような恐怖感に襲われる。


それにしても、特撮やCGの達者なこと、感心します。これはハリウッドでしか作れないのではないか。殆どが船内、船外を遊泳する場面ですが、一体、どうして撮影したのか、くやしいけどワカラン。メカの作り込みの懲りようも尋常ではない。インチキ技術の寄せ集めで、よくもこれだけリアリティを出せたもんだと感心します。


・・と、褒めながら、アラ探しもしておりまして、例えば、宇宙ゴミが猛スピードで宇宙船に衝突、破壊する場面、真空の宇宙では音がしないはずなのに、ガガーンと衝突音が入る。この音を入れるか、入れないか、もめたかも知れないが、無音ではマズイとなったのでせうね。
 後半になるとご都合主義が盛りだくさんで、だんだんシラけて来ます。二人とも死んでしまうのはハリウッド作品らしくないので、一人を生還させるためにテキトーな運びになるのが残念ですが、まあ、ええか。


昔々、「2001年宇宙の旅」という傑作を観たのを思い出しました。そう、この映画でも人間が宇宙へ放り出される「事件」があった。その原因が高度に発達したコンピュータが人間みたいな感情をもち、人間の言うことにムカついて・・殺人に至る。記憶違いでなければこんなエピソードだったと思います。


この映画の何がスゴイかと言えば、その「先見の明」です。公開された1968年といえば今から45年も前、日本では、ようやく電卓が普及した時代で、アップルもウインドウズもなかったはず。(あった?)計算機はIBM独占の時代だったかも。そんな時代にコンピュータが発達しすぎたらこうなる、と予言していた。未だに傑作と言われる由縁です。


音楽に、リヒャルト・シュトラウスの「ツアラトストラ かく語りき」を使ったのも尋常で無い発想。さらに、ラストシーンが見事にちんぷんかんぷんで、な、なんやねん、この結末は、と憮然たる思いで館を出たものです。嗚呼、なつかしい。(1月17日 アポロシネマ)


ゼロ グラビティ
ゼログラビティ


CM動画
http://www.youtube.com/watch?v=q6_g2dCfhfw&list=PLizFMbnOjAaXqTL_EKmLQLhNCydq6NDzA


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