閑人帳



●そうだったのか・・行平鍋

 片手鍋がオンボロになったので、バーゲンセールで16センチの行平鍋(雪平鍋)を購入。シナ製で340円ナリ。

在原行平の名前が鍋の名前に
 行平という名前が在原行平に因むことは知っていましたが、なぜ「行平」なのかは知りませんでした。答えは、行平が須磨で暮らしたときに、浅い土鍋で汐を作らせたから、だそうです。製塩用の鍋です。

 行平は平安時代のナンバーワンプレイボーイ、在原業平の兄さん。天皇家の血筋を有する貴族。そんな高貴の人の名が鍋に使われるなんて楽しいですね。しかも1100年も昔の人物です。


なぜアルミ製が多いのか
 土鍋が金属製に変わっても名前は引き継がれ、現在はアルミが主流ではないかと思います。ステンレスやホーローでもかまわないと思うけど、アルミが多いのは、熱伝導が良いのと、軽さが好まれてるからではないか。家庭ではあまり問題ではないはずの軽さと熱伝導の良さは、飲食店などでのプロの作業では、これが大問題になります。かつ丼や親子丼を一日に50,100人分つくると重い鍋を振る気にならないでせう。


なぜ蓋がないのか
 鍋と蓋はセットになってるのが常識なのに、行平鍋に蓋がないのは何故か。蓋をしてコトコト煮るようなメニューは作らないから、が答えではないか。親子丼つくるのに蓋は要りません。手短にチャチャッとこしらえる料理が多いから蓋ナシでええかと。メーカーとユーザーが暗黙の合意を続けてきたのです、たぶん。蓋付きにすると、商品のコンセプトが変わってしまいます。


アルミは有毒であるという説あり
 アルミ鍋を多用するとアルツハイマー症になりやすいという説を読んだことがあります。微量のアルミ成分が脳に悪さをして発症を招くとか。
そういう有毒説が広まらないのはメーカーがスクラムを組んで無害説を流布しているからという情報もあったような。また、人工透析をしている人にも有害らしいが真偽不明です。
 もし、有害説を信じたら、うどん屋、ラーメン店から一流料亭まで、
外食に出かけることが出来なくなります。些細な問題に思えて実は大問題であります。


地名に残る主人公の名前
 話し戻して、行平が有名人なのは鍋のブランドになってるからではなく、百人一首や謡曲「松風」に登場するからです。松風とは須磨あたりに住まう汐汲女の名前で妹が村雨。命名者は行平です。(謡曲作者は世阿弥なので真の命名者は世阿弥か)田舎っぺの姉妹だったのに、松風、村雨と最上級のネーミングで登場することで優美なドラマになる。お亀とか、お仙ではあかんのであります。
 謡曲の地元、神戸市須磨区には、行平町、松風町、村雨町、衣掛町といった町名があるのが楽しい。明治以後の街作りのときに命名されたのかも知れませんが(真偽不明)、発案者の粋な計らいに拍手します。


行平鍋 340円ナリ
行平



在原行平
行平



「松風」の舞台絵。左下が汐汲車。塩をつくるのに、こんなちっちゃい桶で役にたつのか?などと正しい疑問をもってはならない。
行平

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