閑人帳



●「ペコロス」映画の監督が認知症を患っていた

 12月7日の「閑人帳」で紹介した映画「ペコロスの母に会いに行く」の監督、森崎東氏が,実は認知症患者だったというショッキングなドキュメンタリーを「ETV特集」(12月21日夜)で観た。
 映画のテーマ自体が認知症の母と息子の物語でありますが、監督自身も初期の認知症患者で、映画の制作はスタッフの気遣いや援助で進められた。森崎氏は85歳、渥美清の寅さんシリーズの脚本などにも関わり、自身の監督作品もこれで25作になるベテランでありますが、その実績を以てしても病気は避けられない。認知症はアルツハイマーでなく脳血管性の症状らしい。


映画の冒頭で女学生が唱歌「早春賦」を歌う場面がある。~春は名のみの風の寒さや~ではじまる素敵な歌ですが、これが監督のアイデアで挿入されたという。ラストシーンにも出てきて、赤木春恵がつぶやくようにぼそぼそ歌う場面は、オールドタイマーには郷愁感満タンになる場面。でも、漫画の原作を読んだ人は違和感を覚えるかもしれない。この辺、さじ加減が難しい。


認知症の症状は撮影開始まえから自覚しており、撮影中も進んだようだ。記憶の整合性が無くなってきて、スタッフに諭されて気がつくという場面がある。しかし、情熱は衰えないから撮影はまずまず順調に進んだ。TVでは表現されないが、実際の現場では、スタッフの理解と協力があっても小さなトラブルは日常的にあったと思われる。
 「一所懸命に考えたり、思い出そうと集中すると、頭が痺れてくるような感じになる」という切実な言葉。毎日、病状の進行にあらがってるようすが想像されて痛々しい。


映画「ペコロス~」は世間でそこそこ話題になったが、配給元がマイナーで上映館を確保できず、動員力ではB級に甘んじた。(赤字かもしれない)しかし、DVD化で全国の福祉関連施設で上映するという手段があるし、スポンサー経由のPRもあるだろうから、出会う機会はけっこうあるかもしれない。


■森崎東オフィシャルサイト
http://hadasi.jp/

■認知症の基礎知識(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/dementia/a02.html


ペコロスの母に会いに行く
ペコロス


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