たなかよしゆきさんの部屋


● 年収二百万円で極楽生活!?    たなかよしゆき

 わたしのただいまの年収(2012年申告)は二百万円(中身は年金百三十万円、アルバイト七十万円)である。夫婦二人で二百万円ではさぞかしフーフーいって生活しているかというと、然にあらず。優雅にゆったり、堂々と心豊かに暮らしている。(!?無理シイナヤ) どうして、そんなことができるの?というみなさまもおられるだろう。そこで、わたしの極秘(ホンマカイナ)の技を伝授することにしよう。耳の穴をかっぽじって、眉に唾をつけて、どんぐり眼を大きくみひらいてお聞きあれ、ごろうじろ。(箇条書きに短く書きます)


一、金を使わず、頭(大した知恵もなく、頭悩と書きたくなるようなしろものなのだが)と手と足を使え。が基本原則。たとえば仏華ひとつとっても、あり合わせの庭の松、びしゃこ、なんてんと、畑の水仙などの季節の花を組み合わせて手づくり。何でも創意工夫して、手づくりをこころがけよ。


一、歩きや自転車(スーパーカブ)を活用せよ。からだを動かせばいい智恵も浮かんでくるし、飯も酒もうまい。新陳代謝が活発になれば、病気にもなりにくい強い肉体をつくることができる。一駅や二駅くらいは歩け。(現在、わたしは買物運搬用に原付を使っているが、しかし、ふだんは危険がともなうので、歩ける場合はできるだけ歩いている)


一、食事はできるだけ素(粗ではなく、素=シンプル ということ)食を旨とせよ。一汁一菜くらいがちょうどいい。特にわたしは、朝と昼は茶がゆと漬けものくらいで済ませている。夕ご飯は酒を飲むので、その分、ちょっと豪勢か(といっても、たかが知れています)わたしは山で食べる弁当やおにぎり、ラーメンがこの世でいちばん美味と思っているので、美食には関心がない。シンプルな食べ方がいちばんうまいと考えている。酒は楽しい酒であれ。静かな酒であれ。わたしはアルコールに弱いので、一日チュー(焼酎)五勺か一合あれば十分。


一、山や野の新鮮素材を利用せよ。山菜や木の実、草の実、きのこをいただけ。野の花を飾れ。季節感が味わえるし、自然への感謝の念もおこる。


一、お茶は自家製のどくだみティをペットボトルにいれて用意し、できるだけ、買うべからず。弁当を持参せよ。こんなものでも毎日だとバカにならない。資源のムダづかいにもならず、暮らしのかたちがキレイ(エコ)になる。そう、暮らしの姿がキレイな(エコ)ことが何よりも大切なのだ。どくだみティは毎年六月ごろ、妻と摘みに出かけ天日干しにして、一年分を確保します。どくだみ=十薬は健康茶のすぐれもの。まわりの人たちにもすすめています。


一、自分の内部にある自然治癒能力をひき出し、高めよ。わたしは歩くことからさまざまなよい刺激をうけ、いきいきと暮らしています。過労、酷使、ストレスは病気のもと。しっかり働いたあとはしっかり休め。(休みっぱなしも病気のもと)宮沢賢治の詩のように<イツモシズカニワラッテイル>時間をすこしでも多くつくれ。


一、再使用を心がけること。ものにも命がある。いつくしんで使え。リサイクル、リユース、リデュースのなかではリユースがいちばん地球に負荷をかけない。わたしは封筒を裏返して再使用するし、カレンダーも封筒に再利用する。(とてもきれいな封筒になります)コピーの失敗紙をメモ用紙、便箋、ノートなどにも使っています。


一、 山を友とせよ。山では金を使うところがない。山で遊べば、金要らず。ストレスも発散できるし、自然の摂理からいろいろ学べます。


たなかさん エッセイ 

一、ひとに与えよ。さらば与えられん。自分に与えられるものがあるときは大根一本、玉葱一個でも、ひとに与えよ。この世はギブアンドテイク。与えれば必ず与えられる。仏教では無財の七施といい、笑顔を与えよ、座る場所を与えよ、やさしい言葉を与えよともいっている。これが最大の保険制度と考えよ。


一、畑を借りられるのなら、土を耕し、種をまき、野菜くらいは自給せよ。できるだけ無農薬、有機農法で金をかけずにやればいい。家庭の生ゴミは堆肥にもなり、ゴミを減らし、一石二鳥。畑は一種の遊びであるし自然から学ぶ重要な機会ともなる。(台所の排水も庭に散水しています)


一、何よりの無形の財産は友である。よき友をつくれ。よき友はさまざまなものをもたらしてくれる。(ものをくるる友、医者の友、賢き友がいいといったのは兼好法師か)


一、手紙は最大の心の愉しみ。せっせと手紙を書け。心が豊かになり、自分史にもなる。


一、衣料はおさがりで十分。現代日本は不要な衣類で溢れかえっている。交換して使えば、十分間に合う。わたしの服は百%近くもらいもの。かなり沢山もらって、たいそうな衣装持ちとなって処分に困っているくらいである。
このセーターはだれだれさんにもらったもの、このズボンはだれだれさんにもらったものと記憶していると、まるで愛情を着ているようで豊かなきもちになる。


一、旅には金を使え。ハレとケをうまく使い分けよ。ケでは節約、シンプルライフを心がけ、ハレでは大いに使え。溜めるばかりが能ではない(なかなか溜まりませんが)ただのケチになってはつまらない。(わたしは青春18きっぷを使って旅をすることが多いです)また、お金に余裕があるときは、災害支援金やユニセフに募金しろ。金はうまく回せば、みんながしあわせになれる。(うまく回さないからふしあわせがおこるともいえます)


一、頭寒足熱。下半身をあたため、頭部は冷やしておけ。エアコンはできるだけゆるく設定しろ。ちょっとぐらい我慢して切っておけ。


一、本や雑誌は図書館で読め。(ブックオフの百五円コーナーもけっこう充実していて重宝していますが、家中が本だらけになる難があります)リクエストすれば他館から取り寄せることもできます)


一、できるだけ外食にたよらず、自炊をこころがけよ。自分で調理したものは安全でうまく、安上がり。(でも、たまには外食もいいものです)


一、虚飾と見栄を廃せよ。質実剛健を旨とせよ。


一、苦しい時こそ、自分の内部の何かが問われている時。自分の内部世界を改造するチャンス。変身の絶好機。何かを変えれば、もっと楽に、もっと自由に生きられる。


一、すべては宇宙の采配。最大限の自己努力をしたあとは、すべて宇宙の摂理にまかせておけばうまくいくと信じています。すべての出来事には深い意味がある。


一、<現在>という時間と経験をゆったりとうけとり味わうこと。樹を見、鳥の声を聴き、さわやかな風に吹かれることにお金は要らない。すべては学びのもと。苦しみを根元からのり越えるところに人生の醍醐味があると考えよ。


一、生きてりゃ最高、他に何が要るの? はわたしの人生のスローガン。四国をお遍路して学んだこと。この瞬間、この世界を生きていることがいちばん素晴らしいこと。他のことはそれに比べれば取るに足りない。こんな素晴らしいチャンスに恵まれたことにいつも深い感謝の意をささげたいとおもってます。


 以上、ちょっと偉そうなことを書いてしまい、恐縮ですが、わたしの信念なのでお許しを願う。また、信念といっても、わたしはルーズ(弛緩や逸脱)を愛好しているので、いい加減なところもある。まあ、ぼちぼち(でもしっかりと)やりまひょ。自分なりの方法と工夫で年収二百万円生活ができればいいネ。愉快に明るく心豊かにやるのが絶体条件です。ムリは禁物。世の中にはゼロ円生活をやって、しあわせなひともいます。下は坂口恭平とホームレス禅僧(?)の代々木公園での対話です。


<「おにぎり二個、ですか?」
「そう、人間ってのは余計に食べすぎなんだよ。だから病気になっちゃうわけ。本当はおにぎり二個で十分なんだよ。私の場合は、おにぎり二個で、二日持っちゃうからね。しかも、そのおかげで、健康になっちゃったから。こんなによいことはないよ」
 彼はもらった食事を、代々木公園に集まってくる鳥たちに分けてあげている。(中略)彼は満面の笑顔で語ってくれた。
「本当に幸せだよ。ここには鳥たち生き物もたくさんいるし、植物たちもたくさん育っているからね。それを眺めているだけで、心が落ち着いて気持ちよくなる(中略)この完全無職ゼロ円生活には束縛がない。代わりに完全な自由があるの。この生活を送ることは、自分の使命だと思ってやってます」 二年前からゼロ円で暮らしているという。>


 もし、これを読んで心が軽くなるようだったら、<人間、どんな状態になっても、ぜったい生きていけるよ>という境地になることができるでしょう。(『ゼロから始める 都市型採集狩猟生活 坂口恭平著』)より。


 しかし、上には上がいるね。わたしなんかまだまだです。

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■坂口恭平氏のプロフィール

1978年熊本県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。在学中より現代建築の在り方に疑問を持ち、都市に存在している、専門家ではない人々によって建てられた無名の建築物、庭の調査を行う。卒業論文として発表した路上生活者の家の調査が、2004年に「0円ハウス」という写真集としてリトルモアから出版される。(略)

 2008年1月に、隅田川沿いに暮らす都市生活者の達人の生態を描いた「TOKYO 0円ハウス 0円生活」を出版、さらに小説「隅田川のエジソン」も4月に出版された。

■引用元
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2008/news810z.htm


■坂口恭平氏のHP(0円ハウスの動画あり)
http://www.0yenhouse.com/house.html  

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