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読書感想文

読書感想文
02 /26 2021
 

佐藤 優「人をつくる読書術」を読む
 本の広告コピーでは「現代の知の巨人」などと称されていて、じっさい、紛う方なきインテリといえば、まずこの人の顔が浮かぶ。年を重ねて最近の風貌はなんとなく西郷隆盛に似てきたような・・。南方系の血筋、人生半ばで挫折を体験している・・ことも似ている。(西郷隆盛は写真嫌い?で、肖像画しかないらしい(不詳)ま、どうでもいい話ですけど。

 なぜ作家になったのか・・生活費を稼ぐためである。外務官僚のときに北方領土問題で逮捕され、500日間、ムショ暮らしをした。とりあえず生活費を稼がねばならない。で、本を書いた。(ムショでの執筆は許される)これがスタートでした。幸い、高い評価を得て作家人生の礎になった。
 この人のすごい読書能力、執筆能力はご存じの方多いと思います。官僚時代からの延長で、執筆は毎日原稿用紙30~40枚分、読書は一日に10~20冊。これを必死のパッチで、ではなく、普通にこなしている。読書は最短で一冊5分、普通に速読で30分。むろん、半分くらいは書評や推薦依頼目当ての献本ではと思いますが、それにしても密度とスピードは常識外れです。

 読書のジャンルもめっぽう広い。政治、経済関係はもちろん、数学、哲学、宗教、歴史から古典文学、現代の小説、エッセイ、漫画まで、ほぼオールラウンドです。わずかの空き時間を見つけてはDVDで映画や芝居も楽しむ。ときには講演会も行う。

 「知の巨人」なるレッテルが出版社のイメージ戦略によるものだとしても単純な誇張やハッタリではありませんね。著者によれば、外務省の官僚、特に外交官は個人差はあれど、知識ぎゅうぎゅう詰め人間が普通で、それが年を重ねて洗練され「教養」として身につく。外国の大使や外交官は日本の外交官の印象を以て「日本国民」の何たるかをイメージするから責任重大です。外国の役人に歌舞伎やオペラの話題を振られてうろたえるようでは外交官失格です。

 著者自身の体験を顧みて、幼児から中学生くらいまでの読書のクオリティが生涯の人格、教養に影響するのではと述べている。佐藤氏の両親は本の押しつけなどはせず、しかし、本人が希望した本は大人向けの高価な本でも買ってくれたそうだ。金持ちではなかったけど、家庭環境には恵まれた子供時代だった。また、母親がキリスト教信者だったことから感化されて育ったが、高校、大学でマルクス「資本論」に出会い、相反する思想のどちらにも惹かれてずいぶん悩んだらしい。大学を同志社の神学部を選んだことで真剣に宗教を学び、悩みまくった末に洗礼を受けた。なんかイメージと合わないような気がするけど、佐藤氏はキリスト教信者である。(2019年 青春出版社発行)

佐藤優

似てません?
佐藤優 佐藤優 


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ウオーキング・観光

ウオーキング・観光
02 /25 2021
 
満開・・・大阪城公園梅林
 昨年と一昨年は夏の猛暑が災いして花が咲かず、見物客をがっかりさせましたが、今年はほぼ順調です。満開のピークは27~28日ごろと思われます。それに、数年ぶりに見物客がほぼ日本人オンリーの状態になりました。外国人は1割未満でせう。コロナのせい? コロナのお陰? う~ん・・。

 今年はメジロの数が多くて、なんだかメジロ撮影会みたいな光景があちこちで見られました。全然人間を怖がらないというか、最短50センチくらいで撮影でき、ガラケーの人は大喜びです。望遠レンズ持ってる人はカッコイイ写真がたくさんとれたと思います。(2月24日)


梅林2021  

梅林


梅林


梅林 


閑人帳

閑人帳
02 /23 2021
 

コニシ(株)元本社を見学
 かねてより内部を見学したいと思っていたビル街の木造建築。内装工事が終わってようやく見学可能になりました。近隣には緒方洪庵の「適塾」や大阪市立愛珠幼稚園など古い木造建築がありますが、コニシはほんの2年前までオフイスとして使っていたのがとてもユニークです。「番頭と丁稚」時代の雰囲気が残る建物でパソコン使うのだから、新入社員は慣れるのに苦労したでせう。

 創業は1870年(明治3年)近江出身の小西儀助が薬種商をはじめた。近隣には同業者がたくさんいて、近江屋(武田)長兵衛、田辺五兵衛、塩野義三郎などは後に日本のトップ製薬メーカーに成長する。小西も順調に業績を伸ばしたが、洋酒やビールの開発を目指した積極経営が裏目に出て借金まみれになった。その苦境を救ったのが奉公人だった北村伝次郎で、彼の努力でピンチを脱し、その功績で二代目の小西儀助となった。(婿養子になった)

 奉公人の一人に鳥井信次郎もいた。後に洋酒の開発に成功し、サントリーの初代社長になったことはご存じの通り。この縁は今も続いていて、サントリーにとってはコニシは先輩企業に当たり、お互い、礼を尽くした交流が続いてるという。この話は知りませんでした。

 コニシといえば木工用ボンドのメーカーとして知られているが、この商品だけの知名度が高すぎて困っているというのが実情らしい。自分もながらく中小企業だと思っていた。実際は年商1300億円の東証一部上場企業だった。
 
見学は下記のネット予約で可能。一回、10人未満しか受付ないので注意。
        http://www.bond.co.jp/konishishiryoukan/


場所は堺筋と道修町通りの交差点の角。
後ろの黒い高層マンションは元三越百貨店の敷地に建っている。

コニシ

二代目 小西儀助

コニシ 

昔の客間を復元した
コニシ


読書感想文

読書感想文
02 /19 2021
 

アンデシュ・ハンセン「スマホ脳」を読む
 著者はスエーデンの精神科医。スエーデンは生活水準でも国民の教育水準でも常に世界のトップレベルを保つ先進国で知られる。そんな国がスマホの急速な普及とともに国民に不幸をばらまいてるという。 現在、スエーデンでは大人の9人に一人が精神の不調で「抗うつ剤」を使用している。症状は「眠れない」といった軽いものから「孤独に苛まれる」という深刻な心の不調まで多様で、その原因のほとんどが「スマホ依存症」即ち、一日中スマホを手放せない中毒状態に陥ってることに起因する。(著者自身もヘヴィーユーザーみたいだ)

 なぜ、スマホの積極的利用が精神的不調を招くのか。著者の説明では、人間の脳は何千年、何万年もかけて少しずつ進化してきた。「環境に適応することで絶滅を免れる」。毎日、毎日、殺すか、殺されるかの生活。相手は猛獣だったり、人間だったり、天災だったり・・この試練の繰り返しである。半分くらいは10歳までに死に、長くても30歳くらいしか生きられない。この「環境に応じてゆっくり進化する」状態は現在も変わっていない。苦しい経験に学ぶことで少しずつ進歩してきた。おかげで、天災や感染症などの災厄に対しても時間をかけて対処する術を学んだ。

 しかし、近代~現代の科学的進歩はスピードが早すぎて人間の脳がついて行けない。機器がハイテク化しても、脳は原始人以来のDNAを引き継いでおり、変化に対処できないでいる。
 さらにマズイことに、ドーパミンという脳内の快楽誘導物質がスマホ中毒を促す。ほんの20~30分、スマホをオフにするだけでイライラしてくる。ドーパミンが「おい、おもろい情報入ってるぞ、見たいやろ、ONにせんかい」とそそのかす。で、四六時中開けていないと気が済まなくなる。その結果、不眠症や疲労感、食欲不振などが起きて体調を悪くする。

 スマホ中毒は子供にも広がりつつある。その弊害が指摘されてるにもかかわらず、日本では小中学生、一人に一台タブレットをもたせて教育に役立てるというカリキュラムを進めているらしい。マイナスよりプラス効果の方が大きいと判断しての採用だと思うが、本当に有益なのか。最近ではスマホの長時間使用による視力の低下も問題になっている。

 皮肉なことに、スマホなど最先端のツールやアプリを開発した人間が自身はそれらがドラッグとおなじ悪影響があると考えて使用をセーブしていることだ。スティーブ・ジョブスやビル・ゲイツといったトップの開発者が自分の子供には使用させないという。ジョブスは家に帰ればアイパッドなんかそばに置きたくもないシロモノだと言っていた。ビル・ゲイツは子供が14歳になるまでスマホの使用を禁じていた。フェイスブックのあたらしいアプリを開発したJ・ローゼンステインはそのビジネス成果を認めつつ、悪影響の大きさにも気づいて自らは使用を制限した。案の定、SNSの普及は便利さとともに多くの人に不幸をばらまいた。

 自制心のない人間はスマホ中毒から脱却できず、最先端のテクノロジーを駆使して社会の下層階級を目指してるようなものだ。パチンコ中毒人間がようやく減少してきたと喜んだら次は「スマホ中毒」が大量発生した。パチンコと違い、子供から年寄りまで年齢制限がないぶん、悪影響の度合いが大きい。しかし、そんな問題知ったこっちゃないと、任天堂やカプコンといったゲームメーカーは次々と新しいソフトを開発して「愚者の楽園」づくりに力を注いでいる。批判に押されて自己規制をはじめたパチンコ業界より悪質なビジネスかもしれない。スマホ中毒人間はパチンコ中毒人の悪口を言う資格はない。(2020年 新潮社発行)


スマホ脳 


アートシーン 

アートシーン
02 /17 2021
 

原田慶太楼の「新世界」を聴く ~Eテレ・クラシック音楽館~
 カタブツN響にしては珍しい・・まだ実績のない若い指揮者を登用して「新世界」を演奏した。コンマスが「まろ」なので軽い扱いではないのだろうと判断した。ご本人は絶好のチャンスとものすごく意気込んだことでせう。ルックスも悪くない(政治家の石破茂氏に似ているという評判だけど、石破センセよりハンサムです)ので人気高まるかもと予想します。

 クラシック音楽ファンでなくても十分耳タコの名曲をどう振るか。演奏前のインタビューで「私のアイデア(解釈)であたらしい新世界をお聴かせします」と語っていたので、パソコン使いながら背中で聴いた。スローなところは丁寧すぎるくらいゆっくりと、フォルテはビシッと決めて、楽譜のオタマジャクシ、全部耳に届けますよ、という感じのメリハリのきいた演奏で好感がもてる。でも、それだけなら彼でなくてもできる表現だ。

 ??・・むむむ、これが新アイデアかい?と思ったのは、第一楽章と第二楽章のあいだ、休みナシで演奏したこと。(ふつうは10秒前後の空白をつくる)この「楽章間スキマナシ演奏」のアイデアを第三楽章と第四楽章の間でも用いた。休んだのは二~三楽章の間だけだった。これって、たしかに新案ですね。
 コーダ(終曲)をどうカッコよく表現するか、あれこれ考えて選んだのは「思いっきり、伸ばす」だった。彼にしたら「どない? こんなに丁寧に演奏しましたよ」のメッセージだったろう。(昔はフォルテで短く収める演奏が多かった)その効果ありで、音が消えてから拍手が起きるまでの無音時間、この曲の演奏では最長だったかもしれない。「まろ」さんの指導よろしく、オケは新米指揮者に本当に真摯につきあったこと、視聴者にも伝わりました。幸福感に満ちた演奏でした。

 話変わって、N響の男性奏者のネクタイがすべてシルバーだったのはなぜか。偶然でこんなことはあり得ない。かつ、シルバーであっても柄はバラバラだから楽団の支給物ではなく、メンバーの私物にちがいない。ならば、指揮者の要望で?かけ出しの指揮者がそんな厚かましい要求はできないはずですけどねえ。

 そこでdameo は想像した。指揮者、原田はコンマスの「まろ」にもみ手しながら「あ、あの、誠に勝手なお願いです。視覚的に統一感を出すために、ネクタイのデザインを揃えたいのですが、センセからお伝えいただけないでせうか、モジモジ」 「まろ」はぎょろりと目をむいて「お前、新米のくせにエラソーなこと言うやないか。ネクタイの色をそろえても演奏が上手くなるはずないやろ、アホちゃうか・・。そやけど、ま、今はN響もコロナでヒマこいてることやし、きいたるわ。おい、者ども、本番ではシルバーのネクタイするんやで。なぬ、もってへん?100均で売ってるがな」で落着。原田ファンクラブの皆様、真相を調べてくれませんか。

 先般の読書感想文で紹介した佐渡裕と同じ「アカデミックな音楽教育をうけていない指揮者」のニューフェイス登場であります。佐渡に追いつき、追い越せの情熱秘めて精進してくださいまし。(Eテレ 2月14日)


石破茂に似てるって?・・原田慶太楼(36歳)
原田慶太楼

閑人帳

閑人帳
02 /15 2021
 


結露  



じわり・・浸透するMMT(現代貨幣理論)
 数年前から主にネット世論で話題にされてきたMMT(Modern Monetary Theory)はほとんどの国民が知らない間に事実上経済政策に取り込まれているのではないか。世界に冠たる「借金大国」である日本が未だ財政破綻に至らないのはMMT理論の「意図せざる実践」のお陰?かもしれないと考えます。

 で、そのMMTって、何のこっちゃねん、でありますが、これを一言で説明するのはとても難しい。というか、そもそもdameo自身、ほとんど理解できていない(笑)。なのに、じわり浸透するMMTやなんて勝手に言って委員会?であります。

 MMTが国民に知れ渡らないのは、これに関してほとんどの政治家が語らないことと、マスコミもほとんどニュースにしないためですが、敢えて言うなら、政治家もマスコミも実はしっかり理解していないので公言しにくい。そういう側面もあります。いや、もっと大事なことを忘れてました。実は、経済界、経済学においても是と非が分かれていて、答えが出せないでいる。なのに、dameo がエラソーにMMTの是非を言えるわけがない。

 私たちが経済の常識としてわきまえてることは、たとえばこういうことです。「安定した生活を続けるには収入と支出のバランスがとれていることが大事」この発想で国家の経済を考えると、国家の経済も収入と支出のバランスがとれていることが大事」である・・となります。しかし、先日のニュースではこんな「国の借金」が報じられていました。(時事通信)

国民一人当たり983万円の借金
 国債と借入金、政府短期証券の残高を合計したいわゆる「国の借金」が2020年12月末時点で1212兆4680億円となり、初めて1200兆円を突破した。財務省が10日、発表した。同年8月1日時点の日本人の人口(1億2333万人)を基に単純計算すると、国民1人当たりの借金は約983万円に上る。(時事通信)
 
一時給付金、10万円は有り難いが・・
 素直に有り難いと受領した人も「国の税金で賄われたお金だから、いずれは消費税アップとか増税というかたちで返済を迫られる。そう思うと手放しで喜べない」

 この二つの記事と意見に「その通りや」と同感できる人はMMTをかじってみてはいかがでせうか。国家経済において収入と支出の良好なバランス(プライマリーバランス)にこだわる限り、1200兆円の借金の返済や10万円給付金の出処と負担をマジメに考えると、自分の今後の暮らし、日本国家の将来は絶望的でありませう。のんきにブログなんぞ書いてる場合ではありません。

 ここではwikipedia のみ紹介しておきますが、MTTで検索するとたくさんの情報が得られます。理解のキモになるフレーズは「自国通貨建てであれば政府債務がどれだけ増加しても、政府は通貨発行で当該債務の償還が可能なため債務不履行(デフォルト)には陥らない」でせう。そしてMMTの目下の仇敵は財務省です。

 この考えに同調する人と、反対する人、あまり目立たないけど、双方が侃々諤々言い争っているのが現状です。そして、この理論の壮大な実験を行っているのが現在の日本です。

 TVのワイドショーで取り上げればよいではないかと思いますが、キャスターほかスタッフがしっかり理解するには難しすぎるし、まず、視聴者にウケないこと確実です。NHKのEテレで解説したらどうか。これも賛否のバランスをとった解説はとても難しい。(自分が知らないだけで、テーマに取り上げた番組がすでにあったかもしれない)なんにせよ、国の財布の中身はどうなっているのか、借金1200兆円の日本って超貧乏国なのか・・MMTにちょっと触れてみませんか。

参考情報

読書感想文

読書感想文
02 /12 2021
 


やぶつばき 


校長先生のつくった「名言」
  ~山本紹之介「言葉の散歩道」第二集より~

 自家製「名言」つくりましてん、どない? と元神戸の中学校校長さんが自作名言集をつくって本にしています。こういう趣味もあるんですねえ。言うまでもなく、名言はえらい学者や政治家だけがつくるものでなし、誰でもつくれます。普通はせいぜい「迷言」しかつくれませんけど。ここでは dameo が選んだ先生の傑作(?)をいくつか紹介しませう。


かわいそうだ
と言いながら何もしない人は
かわいそうだと言うべきでない


貧困と貧困感とは違う
問題はむしろ
貧困感である


あなたともあろう人が
と言われてみたい


生が充実していればいるほど
瞬間処理ができるようになる


クソもいろいろ
クソタレ
アホクソ
ヤケクソ
ボロクソ
ハナクソ
ヘタクソ
は だめ
ナニクソ
は よい


型を否定する人は
型を否定するという
自分の型にとらわれている


元気で
病気
いたしております
大元気で
病気
いたしております


千円の本を
二回読めば一回あたり五百円に
十回読めば百円になり
知恵は十倍以上になる
本は安い


 一所懸命に考えてつくるというより、何かの拍子にふとひらめく、思いつく、といった発想が多いのではないでせうか。そういうことは誰でも経験するとして、そこでメモする、後にカタチを整える、という作業で「名言」または名言らしきものが生まれるのでせう。自称「名言」づくりは俳句や川柳の好きな人に向いてるかも知れません。

 巻末の著者略歴によると、1922年生まれ、高校卒業後三年間会社勤めをしたあと中学校教師になる。特に障害児教育、長欠、非行問題に取り組む。また、教育委員としては同和教育にも取り組んだ。最後に神戸市立魚崎中学校、湊川中学校校長を勤めて退職。以後も教育相談、指導、啓発活動を続けた。(1992年(株)JDC発行)

読書感想文

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02 /11 2021
 

佐渡 裕「僕はいかにして指揮者になったのか」

いっぺん、演奏会に来いひんか?
 ・・なんちゃって、若ぶってるけど、1961年生まれだから、もう還暦ではありませんか。「ボク」は昔のこと、今やオッサンのさなか、そして、あっという間にじいさんになりますぞ。でも、じいさんになっても「巨匠」のイメージは似合わないなあ・・。
 このタイトルで生真面目タイプの指揮者が著せばイヤミ、キザ満点の本になってブーイングものですが、佐渡さんが書けば許される、オモロイ、という本になります。余計な話ですが、小見出しの「演奏会に来いひんか」は京都弁(彼は右京区生まれ)です。大阪弁では「演奏会にけえへんか」神戸弁では「演奏会にこーへんか」となります。人の出入りの激しい大都市なのに、この「きいひん」「けえへん」「こーへん」の使い分けは今でもしっかり残ってるのがおもしろい。

 で、本書は音楽の本にしては珍しく関西弁で書かれている。(正しくは関西弁まじり)のみならず、指揮者にして佐渡の師匠、レナード・バーンスタインも関西弁でしゃべるのだ。最晩年になっても酒と煙草をやめられなかったバーンスタインは弟子の佐渡に言う。「オレが死んだら早すぎるよな。でも、煙草はやめられへんし、酒もやめられへん。でも、ユタカ、オレと今から禁煙せえへんか」(216頁)てな具合。

幸運七分に不運三分?
 指揮者に限らないが、アーティストの出世物語は努力の成果だけでなく、運の良さも大きく関わる。佐渡裕の出世物語は本書を読む限りではコツコツ努力の成果より運の良さが大きくプラスになってるように思える。その大半が幸運な人との出会いである。小澤征爾やバーンスタインとの出会いもどこかラッキーに恵まれている。出世途上において実力以上に評価されていたのではと勘ぐりたくなるくらいだ。そのベースに「人に好かれやすい」性格があると思う。アカデミックな教育を受けなかったぶん、エラソーな態度をする資質もつくれなかった。

 佐渡が指揮する演奏会にはオペラを含めて五、六回しか行ったことがないので批評めいたことは書けないけど、一番の功績は関西でオペラ公演を定着させたことでせう。オペラファンなんてかいもくいない関西で10日間の公演を企画、成功させたのは指揮者、佐渡裕ではなく、プロデューサー佐渡の腕前。こんな大胆な企画ができる人は他にいない。のみならず、初心者のためにホールでレクチャー講演までサービスする。その心意気はまさに「いっぺん、演奏会に来いひんか」であります。

 他に、佐渡の企画で素敵だと思ったのは、子供たちで編成する「スーパーキッズ オーケストラ」の演奏会だった。弦楽アンサンブルだけど、安物のバイオリンばかりなのに実に美しい音色とメリハリの効いた音づくりだった。小中学生でも、丁寧に、かつ厳しく訓練すればこんなに魅力的な演奏ができるのかと感心した。

 年末の名物行事になっている「一万人の第九」の指揮も長く務めている。アーティスト+ディレクター的センスが求められる催事だから、はまり役かもしれない。(平成22年 新潮社発行(文庫版)


佐渡


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読書感想文

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02 /07 2021
 

滝 一平「少年とバイオリン」を読む
 戦後数年経ってまだ日本中が貧しかったころに起きた感動物語。いや、物語ではなく実話だけど、著者は微妙に脚色して「物語」にした。さらに、原稿として紙に書かず、朗読録音テープとして残したために広まることはなく、そのまま忘れさられてしまった。

 主人公は二人、博多駅構内で靴磨きで日銭を稼ぐ貧しい少年と世界的に有名なバイオリニスト、ユーディ・メニューイン。少年はある日、楽器店のウインドウにメニューインのコンサート開催のポスターを目にする。絶対行きたいが、そんなお金は無い。それで仕事の時間を長くして必死に貯金をはじめる。チケット発売日までになんとか500円を貯めて購入できた。食うや食わずの靴みがき少年がバイオリンコンサートに行く、当時の世情からみれば、それだけでも事件に近い。

 演奏会は素晴らしかった。少年は家に戻って母親に感激ぶりをしゃべりまくった。母親は「よかったねえ」と相づちを打つしかない。そして夜が更けたころ、見知らぬ男性が訪ねてきた。少年に「明日の朝、博多駅のホームに来て下さい」と。用件を言わずに帰ってしまった。
 明くる朝、博多駅のホームへ行くと昨夜の男(実は通訳)が見つかり、そばに、あのメニューイン本人がいた。彼は演奏会後、少年のことを聞いてお礼と励ましの言葉を伝えるために少年に来てもらったのだった。のみならず、離日前にバイオリンを購入して少年にプレゼントした。

 とても分かりやすい実話にして感動物語です。少年とメニューインはその後、再会したことも分かっている。しかし、どういうわけか、ここで情報はプツンと途絶えてしまった。メニューインはずっと活動を続けたが、少年の消息はいくら調べてもわからない。著者、滝 一平はこの実話に少年と同じくらい感動し、なんとか世間に広めたいと思ったが、当人は信州の山村暮らしという環境もあって自分で著作者になれず、テープに吹き込むという表現で残した。近在の人はこの朗読作品を聴いてみんな涙を流したという。

 ようやく、この感動物語は遺す価値があるという篤志家があらわれ、本書の発行になった。ここまでに60年の歳月を要した。売れないのを承知で企画、編集された皆さんの情熱と努力に敬意を表します。何十年か前、大人気イラストレーターだった宇野亜喜良氏の挿絵も素晴らしい。

巻末にメニューインの素敵な言葉が載っている。

           昼間、町を掃除する人々が、
   夜には四重奏を演奏する世界にしたい
   

(2011年 ヤマハ ミュージックメディア 発行)

 
宇野亜喜良の挿絵
バイオリン 

バイオリン



バイオリン


閑人帳

閑人帳
02 /05 2021
 

◆ 白内障手術レポート (その3)

術前・術後 どう変わったか
 「視力はイマイチでも良いからメガネなしで暮らしたい」こんな勝手な望みを伝えての手術。直後の検査では視力が左右で逆転していました。手術前は左が乱視がきつくて0,3、右が乱視少なくて0,5でしたが、それが左が乱視減って0,4、右が乱視きつくなって0,3。新聞は左目の方が読みやすいと逆になりました。視力は向上せず、が現在の結果です。新聞文字読みでピントの合う距離は、以前は20cmくらいでしたが、40cmくらいになりました。(この先、多少の変化があるかも)

驚いたのは色の見え方。以前は、パソコンのスクリーンがなんとなく黄色っぽく見えていて、これは8年使ってるパソコンの経年劣化だと思っていました。それは間違いで「眼の劣化」のせいでした。 左目手術後は、左、右、両方の眼で見比べることができるから、このちがいは確認できます。LED電球の色は、より白っぽく見えます。青空の青さがやや濃くなったように見えます。近所の植物園で見ていたきれいな花々の色彩も今まではかなり「濁り」まじりの色でみていたわけです。それにしても「乱視を矯正せずに遠・近同じように見える」手術ってどんなワザをつかうのか・・想像できない。(注)すべての病院でこのような中途ハンパな手術をしてくれるかどうか、不明です。

一日に点眼32回・・術後のケアがたいへん
 手術後は一週間くらい目薬さして・・それで完結、と安易に想像していましたが、大ハズレでした。一回目の手術後、退院前に薬のケースを渡され、看護士さんは「この4種の目薬を、一日4回指して下さい。点眼は5分以上あけてして下さい。この○○という薬はよく振ってから指すこと」となにげに説明し、はいはいと生返事して帰ったのですが、なかなか面倒なことだと解りました。
 
 4種類の目薬を朝・昼・夕・就寝前 の4回さします。4種類の薬を続けてさすと混ざり合って効果がないので5分以上あけてさす。これが片目の場合で一日計16回。両眼の手術が終わると二倍の32回になります。なんか、一日中目薬さしてる感じです。「センセ、これ、いつまでやるんですか」「まあ、2ヶ月。まずい症状あれば3ヶ月」 あの手術時間の短さにくらべ、なんとヒマがかかるのか、とボヤキたくなります。

ケアをこんなに大層?にする一番の理由は細菌の感染を防ぐためだそうです。眼の働きが安定する前に細菌が入ると重篤な症状に至ることもあるらしい。点眼のときは手洗いはむろん、テーブルや薬の容器などもバイキンがつかないよう清潔に保ちます。(状態が安定するにつれ、薬の種類は順次減っていきます)

 以上がT病院で受けた白内障手術のあらましです。病院によって設備や技術が異なり、ケアの処方も一様ではないと思うので、あくまでT病院での手術例、参考情報として読んで下さい。白内障の治療は今でもどんどん新しい技術が開発されているらしく、さらに安全、快適な手術になると思います。20年前に手術した人の経験談はもう参考にならないかもしれません。無知な患者のレポートなので間違ったこと書いてるかもしれません。

質問等あれば画面下の【拍手ボタン】を押してコメント欄に書いて下さい。
内容は非公開です。返信要の場合はメールアドレスを書いて下さい

参考情報
http://www.f.kpu-m.ac.jp/k/jkpum/pdf/122/122-8/tanekinen08.pdf


4種類の目薬を、朝、昼、夕、就寝前 4回さします。
白内障

閑人帳

閑人帳
02 /04 2021
 


◆白内障手術レポート (その2)

手術はたったの10分で終了
 どんなマシンで手術するのか、興味ありましたが、ストレッチャーで手術室へ運び込まれるので天井しか見えない。定位置についたとき大型の顕微鏡みたいな機械がチラと眼に入ったが、すぐシートで顔面を覆われてしまい、わからずじまい。あとで看護士さんに尋ねると顔を覆うタイプの顕微鏡をのぞきながら作業するという。なるほど。

 麻酔は準備中に点眼で2~3回、手術中に注射で1~2回、チクリ感覚はあるけど痛いというほどでもない。一番驚いたのは、大型顕微鏡みたいな機械から発せられる強烈な光で、大目を開けて太陽を直視してるような感じです。わ、凄いな、と思ってると、閉じないようにクリップで強制的に開けられてる眼球にジョジョジョ~と殺菌、洗浄?の液体が注がれて、わ、目玉が溺れそう、とヘンな錯覚を起こしてしまう。麻酔は局部麻酔だから目玉以外は普通に感覚があり、話もできます。(しませんでしたけど)もし、麻酔効果が広範囲で長時間なら日帰り手術は難しいかもしれず、麻酔技術の進歩が白内障手術の普及に大きく貢献していると思われます。

 一回目は緊張して意識がワヤワヤでしたが、二回目の手術はやや落ち着いて受けたので音を聴きながら「これは古いレンズを粉砕して吸い出してる作業」とか「新しいレンズを挿入している作業」とか、感覚的にわかります。(パンフで手術の内容、順序を覚えておくと、時系列で現在の作業を推定できる)二回目は先生が「これで手術は終わりました」と告げたとき「ありがとうございました」と声を出す余裕がありました。・・と思っていたのに、看護士さんに「どうしたの、血圧180まで上がってるよ」と逆の状況を言われ、落ち着いてた、はウソでありました(汗)。

(注)直径10ミリのアクリル製人工レンズを角膜の3ミリの切り口からどうして入れることができるのか。不思議に思ってましたが、答えは「折りたたんで入れる」でした。中へ入れると樹脂の弾性で自動的にもとの形に復元するそうです。これらを秒単位ですばやく正確に作業するには経験の蓄積が大事です。眼科に限らないけど、手術実施件数が多い病院ほど高い評価を得ているのは、それだけ技術の蓄積があるからでせう。

 手術は、準備(60分)~手術(10~20分)~安静・ケアの説明・会計(40分)の合計で2時間程度で終わります。普通の白内障手術は「日帰り」が常識で、入院は重い疾患がある人に限られてるみたいです。手術費用は年齢と収入額によって大きな差があります。65歳以上の人で年金生活者なら、両眼で8千円~3万円程度です。術後のケアにかかる費用はかかりつけの医院での支払いになります。(1回500円~1000円ていど。のべ10回くらい?)

 気をつけたいことがあります。病院からの帰りは当然片目になります。視野が狭まり、遠近感が乏しくなって歩行には注意がいります。コケたら、失明とか大惨事になります。ゆえに、遠方の病院を選ぶと往来のリスクが大きい。足が弱ってる人は付き添いが必要です。また、手術した眼には看護士さんが美的配慮ナシで眼帯をテープでベチャリと貼り付けるため、そのまま電車にのると、みんな席をゆずってくれそうなくらいハデな顔面になります。気になる人は顔隠し用の帽子と大型のマスクを忘れないように。(つづく)


こんな感じの機器で手術する


白内障 


手術の順序
白内障 


 


閑人帳

閑人帳
02 /03 2021
 

◆白内障手術レポート (その1)

 老化による視力の低下は仕方ないとメガネで補正しますが、原因が白内障ならば手術で回復という方法もあります。dameo の場合、乱視が混ざった近視で視力は左が0,3右が0,5。おまけに一年くらい前から左目はモノが15度くらい右へ傾いて見えるという症状があらわれ、近所の医院でも、大学病院でも「治らない」と言われました。やむなく諦めましたが、時間がたつとあまり不便や不安を感じなくなりました。

 しかし、最近はブログの原稿を書くと、一行に一箇所は間違えるうえ、眼の疲労で長くても30分くらいしか作業できない。なので、近くの医院の医師に相談し、白内障手術を受けることにしました。以下はその体験記です。3回に分けて掲載しますので関心ある方はご覧下さい。

病院を選ぶ
(1)徒歩圏にある「手術のできる病院」を選ぶ。これがあれば最高です。手術も通院も徒歩で済む。時間、費用の節約効果も大きい。
(2)徒歩圏にある眼科医院で診察をうけ、手術は別の病院でうける。(3)知り合いや経験者に勧められて遠方の「手術のできる病院」で診察、手術を受ける。親切は有り難いけど、不便や負担も大きくなります。

dameo は(2)の例で、自宅近くのK医院で診察、検査を受け、紹介されたT病院で手術。術後のケアはK医院で行うので通院はラクです。この手術は術後のケアが大事なので「いつでも、かかりつけの医師に相談できる」環境をつくっておくことが大切だと思っています。T病院に限らず、紹介状のある客に比べて、一見客はやや不利な扱いを受けるのは病院の受け入れ態勢からして仕方ないかもしれません。(紹介状があると患者の基本情報が伝わるので、診察、検査が円滑に進みます)

レンズを選ぶ
 T病院では検査に二日、手術に二日を要します。手術は左右で二週間の間隔をおいてします。日帰り手術でも合計4日を要します。検査は視力検査を除いては初体験のものばかりで、何を調べてるのかよく解らないまま終了し、最後に希望のレンズを選びます。遠方中心のレンズ、近くが見えやすいレンズ、どちらかを選びます。メガネがいらない遠近すべてがシャープに見える多焦点レンズもありますが、費用の大半は自己負担なので両眼で70~100万円前後かかるという話です。(今後、一部保険の適用と業界の競争で費用はだんだん安くなると思われます)
 
 dameo の選択は、遠、近、ではありませんでした。死ぬまでメガネはかけたくない。視力アップより「メガネなし」で暮らせるレベルでよい、というものでした。(お金があれば多焦点レンズを選びます)
 このことはK医院の先生にも相談しました。わがまま言うな、と怒られるかと思ってましたが、「できんことないけどなあ・・」の返事です。一回目の手術当日、準備中に検査担当の看護士が来て「先生(手術する医師)と相談の結果、前例があるので、乱視の矯正はしないという条件で希望に沿う手術をする」との説明。なんのこっちゃねん?と思いましたが説明されてもどうせ理解できないし、ま、ええか、と納得?して手術室へ。(つづく)


閑人帳

閑人帳
02 /01 2021
 

節分「厄除け祈祷」もオンラインで・・嗚呼

 「厄除け観音」として大阪市内で一番集客力の大きい「あびこ観音」がコロナの災いのせいで参拝自粛を呼びかけています。こんなときこそ「厄除け観音」さんの地力発揮してコロナ禍を追い払うべきなのに、あっさり白旗挙げてしまってる感じです。で、お寺へは来ないで、祈祷もオンラインで申し込んで下さいと。なんだかなあ。
 
 ネットで祈祷を申し込むと、約一ヶ月後に「祈祷札」が郵送される。費用にはランクがあって高いのは1万円。こんな素っ気ないやりとりで有り難みを感じるだろうか。お寺まで歩いて行って線香の匂い、烟りの立ちこめる境内に参拝し、順番待って祈祷してもらう。これで祈りや感謝の気持ちが湧き、来年もまた来ようと元気をもらって帰る。・・というのが「お参り」です。厄除け観音さん、コロナ厄に完敗・・は今年きりにしてくださいよ、たのんます。(今年は交通規制もありません)


NK子さんから時節に合った素敵なイラストをいただきました。
節分鬼



 dameo

■10年続けた<快道ウオーキング>を改題しました。
■《手づくり本》の研究は、大事なことは紙に記録しようという、アナログ爺のレジスタンスです。お問い合わせは【拍手ボタン】押してコメント欄からどうぞ。内容は非公開です。
■下記のカテゴリーが趣味をあらわしています。
■ニックネームはdameo(丸出駄目男)です。
■1939年大阪生まれ