読書感想文
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●天野太郎著「阪急沿線の不思議と謎」を読む
阪急線で長いあいだ不思議に思っていたことがある。淡路駅には2,3,4,5号線と4本のホームの表示があるのに1号線が無い。無いなら1~4号線にするべき・・と不思議に思っていた。駅員さんに尋ねてもいいけど、あまりにしょーもない質問なので遠慮した。その理由が本書に載っていました。そうだったのか、であります。
そのワケは鉄ちゃん好みの結構マニアックな事柄でした。昭和30年代まで淡路駅には5本のホームがあった。1号ホームは十三~淡路間の短距離の支線のホームだった。それが、千里山方面への北千里線の延伸によって梅田~北千里が直結され、このハンパな支線は廃止された。北千里方面の列車は2号ホームを使うので1号線は廃止されたが、その際、他の番号を変更しなかったため、1号抜きの2~5号線表示になった。表示を変更して混乱を招くより、ほったらかしにしたほうがベター、というわけです。まあ、納得ですね。
これは既に知っていたことですが、この「淡路駅」って淡路という町名からとった名前だけど、淀川べりの街がなんで淡路やねん、と不思議に思う人もいるでせう。由来は菅原道真の時代まで遡ります。道真が陰謀によって太宰府へ流されるとき、京から船で川を下る途中、このあたりで一服するのですが、当時は千里あたりまで海が入り込んでおり、周辺には小さな島がたくさんあった。なので、道真はカン違いしてお付きの者に「ここは淡路か」とたずねた。これが東淀川区淡路町の町名由来です。本当の淡路島とはぜんぜん関係ありませんが千年の歴史を有する古い地名です。
本書ではじめて知ったのは神戸線「夙川」駅の由来。高級住宅地のイメージがあるけど、本来は「宿川」だったらしい。昔は東西交通の要所であったから宿場として賑わい、その中を流れる川も「宿川」だった。宿場町でなくなってどなたかが「夙川」と変えて現代に至るが、なんとなく宿川より高級そうな感じがするのが不思議です。
阪急京都線が東海道新幹線の線路を借用して走っていたことがある・・なんて話もなつかしい。1963年だからもう60年近い昔のできごとです。これ覚えてる人、あの世が近いですぞ。(2015年 実業之日本社発行)