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読書と音楽の愉しみ

読書感想文
07 /30 2018


●V・E フランクル著 「夜と霧」を読む
 
 若いころから、いつかは読まねばと気にしつつ幾星霜、ふと気がつけば半世紀も経っていたのであります(笑)。しかし、ぐずぐずして良かったことがある。著者が原稿に手を入れて版をあらため、訳者もチェンジして、巷の評価ではとても読みやすくなったとある。実際、池田香代子の新訳はとても読みやすい。翻訳文にありがちな、まわりくどい、もったいぶった表現がなく、スイスイ読めます。


フランクルは、フロイトやアドラーの指導を受けた精神科医。オーストリア生まれのユダヤ人。1942年、ナチスの強制収容所に入れられ、妻、二人の子供、父母は収容所のガス室等で殺された。本書は三年足らずの収容所体験をいかにも精神科医らしい思考、判断で綴ったもの。明日、殺されるかもしれないという状況でも、人間とはなにか、何が出来、何ができないか、冷静に見ていた。ノートや筆記具なんかないから記憶だけが頼りで、ゆえに、出来事の時系列ははっきりしない。(いっとき、紙くずに速記用語でメモしたこともある、という記述はある)


収容所の劣悪な環境は心身の弱者を自動的に選別した。ガス室に入れなくても勝手に死んでゆく。栄養失調状態で、昔の繁盛山小屋のように、タタミ一畳に二人、三人、というような生活が続けば、次々に死ぬ。ゆうべ言葉を交わした隣の男が、朝、死んでいた。こんな状況で人間らしい感性は麻痺し、感情の起伏さえ失われてゆく。のみならず、死んでまだ体温の残ってる身体から服をはぎとって自分が着る。どうせボロ靴なのに脱がせて交換する。全員がポーカーフェイス。誰も悲しまない。


著者自身、飢えや寒さや疲労のあまり、幻覚を起こしたりするが、まだ、自己と他者を認識できる精神力は残っていた。99%の絶望的状況にあっても「まぎれもない自分」でありたいと思う
。「人間はひとりひとり、このような状況にあってもなお、収容所に入れられた自分がどのような精神的存在になるかについて、なんらかの決断を下せるのだ。典型的な「被収容者」になるか、あるいは収容所にいてもなお人間として踏みとどまり、おのれの尊厳を守る人間になるかは、自分自身が決めることなのだ」この個人の尊厳だけはナチスも奪うことはできない。

 「行動的に生きることや安逸に生きることだけに意味があるのではない。およそ生きることそのものに意味があるとすれば、苦しむことにも意味があるはずだ。苦しむこともまた生きることの一部なら、運命も死ぬことも生きることの一部なのだろう。苦悩と、そして死があってこそ、人間という存在ははじめて完全なものになるのだ」(青色文字は引用文)


ナチス(ドイツ人)に対する怨念の強さ、いかばかりかと思うのですが、1945年の解放時にはこんなことがあった。ただ一人、人間味を失っていなかった収容所長(こっそり、みんなに薬品やたばこを差し入れてくれた)には穏便な扱いをするように連合軍の兵士に頼み、その通りにさせた。普通なら、被収容者全員で掴みかかって殴り、踏み殺してもおかしくない場面である。この場面、全員の意志のように書かれているが、訳者は著者、フランクル個人の計らいだったのではと書いている。


もう一つ、訳者が驚いたと書いていることがある。新版の本文で「ユダヤ人」という言葉は二回しか出てこず、旧版では一度も使われなかったという。これは、ナチス(ドイツ人)=加害者、ユダヤ人=被害者、という図式ではなく、ユダヤ人でなくてもあり得るホロコーストであることを言いたかったのではないか。実際、被収容者のなかには、同性愛者、ジプシー、社会主義者もいた。戦後70年以上経って、現在のイスラエルのありさまを考えると、どう見ても「やられっぱなしのユダヤ人」ではない。被害者感覚ではアラブ人のほうがずっと強い。


ホロコーストの規模(犠牲者数)においては、スターリンや毛沢東のほうがずっと悪質だと思うが、ドイツのそれは、言い訳はともかく「国民の合意」があったことが最悪である。いや、日本だって、戦時中はマスコミと軍部が一丸となって戦争を煽ったではないか、ナチスと変わらない、という見方もあるけど「民族浄化」なんて恐ろしい発想はなかった。ソ連や中国の大虐殺は、憎き敵国人を殺したのではなく、自国民を殺した。なのに、毛沢東が「建国の英雄」として尊敬の対象になってるのは笑止千万であります。(2002年 みすず書房発行)



夜と霧 







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ウオーキング・観光

ウオーキング・観光
07 /26 2018



●「日本百名山」&「関西百名山」

 新潟のSさんから、自身の百名山登山リストが届きました。A4紙両面に、登山順に記されています。1961年から1997年まで36年間、人生の半分を費やしての長い山行記録です。Sさんも、あらためて一覧表を眺めれば、しみじみ感慨深いものがあるでせう。ごく一部の猛者や果報者を除いた登山者は、体力的、経済的、そして時間的なやりくりに苦労しながらの登山だったと思います。ホント、深田久弥は意地の悪い、そして素晴らしい宿題を残してくれました。


Sさんのリストによると、百名山の第一回目は利尻岳、第百回は宮之浦岳、と北端、南端の山をキリに選んでいます。はじめからそういう計画だったのかもしれません。こういう大イベントでは、映画と同じように、ファーストシーン、ラストシーンの演出が大事です。二つの山とも「は~るばる来たぜ・・」の感動も大きい。ちなみに、百山のなかには筑波山のように1000m以下の低山もあり、Sさんは、なんと都内から自転車で往復しています。ナメられた名山もあったのですね。


百山のうち、半分くらいは単独行です。こういう登り方が普通かも知れません。全部、単独行でもいいけど、なんか世捨て人の感がある。逆に,全部団体登山で登った・・いわゆるパッケージツアーでの登山は少し情けない。これが流行って「百名山登山」のステータスは5割引きになってしまった。安直に参加した人は忸怩たる思いが残ったのではないでせうか。


百名山リスト 


百名山



関西百名山
 日本百名山のブランド価値が高まると、これのローカル版が各地で生まれました。東北百名山とか九州百名山など、全国にあります。関西百名山は1998年に「山と渓谷社」からガイド(下の写真)が発行されてめでたくデビューしました。誰が百山を選んだのか知らないけど、ずいぶんモメたでせうね。特に、90~100の当落ラインの山は,入れろ、落とせ、と攻防が激しかったのではと想像します。それにしても、「関西」と「日本」が重なるのはわずか三山(大峰山、大台ヶ原、伊吹山)で、いささか寂しい。標高サイテーは、兵庫県・高御位山(たかみくらやま)の304mです。


自分は、このうち何山登ったか。記憶を頼りにチェックすると30山でした。30%・・ちんたらハイカーならこんなもんか。ただ、山の分布を見ると、全部登るとなれば、低山メインといえどかなりの時間とエネルギーが要りそうです。一方、百山のうち、11の山にはケーブルやロープウエイ施設があって手抜き、いや、足抜き登山ができます。街のすぐ隣に緑豊かな山があって誰でも「名山」?に登れる。高尾山しかない東京に比べたら、ずいぶん恵まれていると言えるでせう。


百名山 




プチ・ケチの研究

プチ・ケチの研究
07 /25 2018


●機械にも気配り・・室外機の熱対策

 毎日、マイニチ、体温以上の暑さ続きで、人間ばかりか、機械までバテそう。そこで、心やさしい人は、連日フル運転でお疲れのエアコン室外機がバテないよう、写真のような工夫をした。ネットで見つけた情報ですが、バケツに水を入れ、布地を漬けて水を含まし、一方を室外機天板に垂らせる。毛細管現象で水は自動的に補給され、天板の熱を吸収、放散するという理屈です。なるほど、これは良いアイデアですね。天板は太陽光と機械自体が発する熱で、さわれば火傷しそうなくらいカッカしているから、冷却に役立ちます。この冷却で、電気代節約とかでいかほど役立つのか不明ですが、たとえ自己満足でも、高熱状態で放置するよりは気持ちが静まる。もう、機械の人格化であります。

http://news.livedoor.com/article/detail/15054286/


エアコン


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駄目男宅の室外機熱対策はこんなあんばいです。午後は夕方まで強烈な西日が当たるという環境なので、上面に古い棚板を置いて直射熱を遮り、かつ、天板とのあいだに1センチの空間を設ける。(この方が断熱効果が大きい)また、鋼板のボディや配管にもウレタンフォームを張り付け断熱しています。さらに、高温の排気流が上へ逃げやすくするため、板(昔の風呂蓋です)を斜めに立てかけて風向板にしています。ま、これも気休めかもしれないが、おかげで?トラブルなしのスムーズな運転を続けています。先日、エアコンの電気代節約法を書きましたが、要するに、大きな負荷をかけないこと=フル運転しないことが肝要です。

エアコン 





読書と音楽の愉しみ

読書感想文
07 /24 2018



● 映画「羊と鋼の森」鑑賞

羊と

 主人公はピアノの調律師をめざす若者。その成長の物語であります。こんな地味な話でお客さんくるんかい? 誰しもマユにツバするでせう。世の9割以上の人はクラシック音楽に興味がない。なのに、さらに重箱の隅をほじくるような「調律」のことなんか、100人に一人くらいしか興味がないでせう。企画したプロデューサー氏は客入りのことが気になって眠れなかったのではないか。


上映最終日に行くと、案の定、お客さんは十数人。そのほとんどが女性で、オジンは自分だけでした。ま、しゃーないか。この映画は、2016年度の「本屋大賞」を受賞した同名作品の映画化、作者は宮下奈都。本のほうはよく売れて100万部突破のヒット作となった。全国で地味に活動されてる調律師のみなさんには大きな励みになったと思います。


もともと小説でも映画でも表現が難しい「音」の話ゆえ、絵づくり(音づくり)はデリケートにならざるを得ない。そこで救いになるのが、この映画には悪役が一人もいないこと。原作もそうでしたが、悪役が登場して話の起伏が大きくなると「調律」なんかぶっ飛んでしまいます。あくまで、地味に、しずしずと話を進めなければならない。そんな話の背景になったのが、北海道・旭川とその周辺の美しい森林風景です。この映像美は原作では表現しにくいので上手くはまった。コンサートホールでのシーンでも、外観を写さなかったのは〇だと思います。あくまでも、カントリーシーンの中の地味な物語です。出演は、山崎賢登、鈴木亮平、三浦友和など。エンディングで辻井伸行がピアノを弾いている。


貧乏性、駄目男はやっぱりカネのことが気になって、帰宅して売上げ(興行収入)を調べました。約4億4千万円。ま、これなら赤字にはならない。健闘といえます。察するに、原作を読んだ人の三人か四人に一人が映画も鑑賞したといえます。自分がそうであったように、原作を読んだ者は「こんな地味な話をどうして映像化するのか」が気になるのです。その期待を裏切らなかった出来栄えといえるでせう。


あとで知った事ですが、この映画は天皇、皇后両陛下がご覧になった。上映の半月くらい前に六本木の映画館で鑑賞され、監督はお褒めの言葉を頂いたという。コレが効いた。ン万人分の売上げアップに貢献したはずです。本来なら、カンヌで金賞をとった「万引家族」をご案内するべきところ、家族そろって万引きに励むという話ではねえ・・。で、タナボタで「羊と・・」にチャンスがきた、と想像します。あるいは、もしや、皇后陛下が原作を読まれて鑑賞をご希望されたのかもしれない。(上映終了)


羊と 



皇后陛下の右が主演の山崎賢登。
羊と




閑人帳

閑人帳
07 /20 2018



●天の配剤 ~太陽光発電の酷い現場~

 山間部での太陽光発電事業は自然の景観を汚し、土砂災害の危険を招くと半年くらい前に書きましたが、今般の西日本豪雨でもトラブルが起きています。下の大きな写真は姫路市林田町の土砂崩れ現場で、現場下には国道29号が通じているから、もう少し規模が大きければ通行止めなど、影響は避けられない。また、この状況から元通りに復旧するには大変な費用がかかり、そのモトをとるのは難しいから,結局、当地での発電事業は廃止になりそうです。(事業は廃止しても、土砂崩れの復旧は必要で、費用負担は事業者と地主の争いになるかも)


太陽光発電会社のオーナーは、ソフトバンクを筆頭に「欲のカタマリ」みたいな人物ばかり、とは駄目男の偏見でありますが、各地でのトラブルをみるとたいていは当たっています。トラブルが起きると、地元民と会社の争いだけでなく、土地を提供した(貸した、売った)地元の地主も悪者扱いされ、一層、住民感情が悪化します。土砂崩れは、金に目がくらんだ事業者への天の配剤でせう。


これが「環境にやさしい自然エネルギー発電事業」の実態です。そして、これは他人事ではありません。これらのトラブルを含めた発電事業を応援するために、国民から強制的に徴収しているのが「再エネ促進賦課金」です。(年間5000~10000円程度)自宅のソーラー発電のおかげで毎月の電気代がタダに近づいた、と喜んでる人を、ソーラーなし貧乏人が金銭的に応援しています。うちら、アホちゃうか?と気づく人、増えてほしい。


太陽光パネルの設置が土砂崩れの原因になる、ということに気づかないのだろうか。
ソーラー




鬼怒川の氾濫で水没した発電事業地

ソーラー 



濁流でぐちゃぐちゃになった太陽光パネル(宮崎県)
ソーラー 


引用元
http://deliciousicecoffee.jp/blog-entry-7149.html





プチ・ケチの研究

プチ・ケチの研究
07 /19 2018



●エアコンの電気代節約

 連日の猛暑で関電の電力需給が逼迫しています。他社から融通してもらって供給率が毎日95%前後ですから、どこかの火力発電所がトラブルで止まったら大ピンチになります。もし、原発が再稼働していなかったら、計算上、停電もありうる。なので、個人が節約に努めるのもケチンボ以上の意味があります。


室温は28度維持をめどにしています。(床上1,5mでの温度)35度以上の猛暑では夜間も運転しっぱなしです。ケチって29~30度に設定したら寝汗がひどくて寝られないから夜も28度です。但し、個人差があるから30度でOKの人もいるでせう。


すでに「常識」でありますが・・・
・運転は、風量、風速は「自動」モードが節電になる。
・除湿モードは電力を食う。
・部屋によりますが、上下左右の風向はこまかく設定する。
・短時間(30分以内とか)の外出時は電源オフにしない。
・扇風機を活用する。
・フィルターはこまめに掃除する。
・窓での遮熱も考える(遮光カーテン、遮熱シートなど)
・室外機を直射日光にさらさないようにする。
・毎月の電気代レシートで消費量をチェックする。

こんなこまかいケチ工夫でも積もれば効果があること、経験でわかっています。あれこれ考えること自体がアタマの体操にもなります。


和室からDKへ冷気を無駄なく送り込む工夫。扇風機を使うとともに、押し入れの開き戸を半開きにして風向板の役目をさせる。室内機の上下、左右の風向も細かく設定する。

エアコン節約






閑人帳

閑人帳
07 /15 2018



●無関心が被害を大きくした?
    
  ~ ハザードマップを頭に入れておこう ~

 大きな水害に見舞われた岡山県真備町での報道取材で「ハザードマップなんか見たことがない」と答える住民がいた。実はかなりの割合で「見たことがない」「見たが気にしなかった」人がいたのではと思います。当地はのどかな田園地帯で過去に大災害を経験したこともないから、我が家が天井まで水浸しになるなんて想像したことがない。そんな住民が多数だった。1970年代に一度、川の氾濫があったけど、被害が一部で床下浸水程度だったら忘れてしまうのも仕方ない。


しかし、もし、住民のほとんどがハザードマップを見ていて、地図に明示された浸水被害エリアを記憶していたら、何より犠牲者数が大巾に減らせたのではと想像します。危険を察知し、早く避難できた。被害の大きさを想像できる、できないで避難行動が大きく左右されます。これを悔やんでる人、多いでせう。家族を亡くしてから「たら、れば」を言っても遅い。むろん、早く危険を察知して助かった人もおられるから、ハザードマップの認識度が生死を分けたかもしれない。ハザードマップがしっかりアタマに入っていたら、役所の避難情報に頼らず、自分で避難の判断が出来たかも、と思うと、一層、無念さが募ります。


翻って自分の街のことをいえば、大阪市住吉区で発行されてるハザードマップは、南海トラフ地震による建物の倒壊危険度、津波による浸水エリア、そして、水害では、大和川の氾濫による浸水エリアの三つです。マップを細かく見て判断できることは、津波による浸水はナシ。大和川氾濫では辛うじて浸水を免れるか、浸水しても50センチくらい、というレベル。地震による被害は震度6くらいですが、上町断層直下型地震では7もありで、これなら、断層の真上に建っている耐震性能が低い、古い賃貸住宅は倒壊=死亡の確度が大きくなります。


ハザードマップは、作って、配って、オワリではなく、住民がリスクをしっかり認識して初めて役に立つ。極端にいえば、明日、生きてる保証などないのであります。過酷な災害が想定される土地に住みながら、健康で長生きを願ってサプリメントなんか呑んでる人の気が知れない。


岡山県倉敷市真備町の水害ハザードマップの略図。ほぼ推定通りの浸水被害が発生した。
ハザードマップ 





読書と音楽の愉しみ

読書感想文
07 /15 2018



●川口マーン恵美著
    「そしてドイツは理想を見失った」を読む

 たまには少しカタイ本も読む。著者は本来ピアニストとしてドイツ暮らしをしていたのに、なぜか政治に興味をもち、というかドイツ人の思想や民族性への関心が高く、それも共感ではなく,批判的な見地で語るのが得意のようであります。本書も基本はメルケル政権に対する疑問や批判でスジを通している。ドイツの政界はゴタゴタしていると言う点では日本以上の混迷ぶりで、本書を読む限り、政権運営でドイツから学ぶべきことはあまりなさそうであります。むしろ、メルケルおばさんの苦労ぶりに少し同情の気持ちも湧きます。


ドイツ政府が抱える難儀な問題四つ
・難民問題
・EU内部のゴタゴタ
・エネルギー問題
・貧富の格差問題 言論統制の問題


三年前、各地からドイツを目指して大量の難民が押し寄せたときのメルケルの対応ぶりは高く評価された。困った人たちは全部受け入れるという超寛容な、人道主義の鑑みたいな態度だった。しかし、そんなの長く続くはずがない。ドイツは長年、外国人労働者を大量に受け入れてきたが、初期はともかく、現在求めている外国人の人材は知的レベルの高いエンジニア等であり、家政婦や工場労働者レベルの人材ではない。そういうレベルの難民が押し寄せても、もう受け入れる余地はなくなっている。


かくして、難民受け入れ反対派が国民の支持を得て議席を増やしてくる。日本に於ける「安倍一強」みたいに強かったメルケル政権も次第に力を失い、不本意な妥協を余儀なくされる。国内だけでなく、周辺国もドイツの難民策に対して露骨に異論を唱えだした。この間までドイツの幇間みたいだったフランスはマクロン大統領が登場して「うちの政策で対応する」と言いだし、地味で従順なオーストリアには31歳、世界最年少のクルツ首相が難民に厳しい政策を掲げて当選した。今後、メルケルの舵取りは難しくなる一方だ。


EUの成立を人類の理想の一つが実現したと手放しで賞賛する世間知らずがたくさんいるけど、発足以来、ドイツが一人勝ちしている状態では「みんな平等で仲よし」であるはずがない。日本に置き換えれば、ドイツが東京都、フランスが埼玉県、ベルギー、オランダが千葉県・・みたいな感じで、上下の格差がハッキリしている。この格差はEUが亡くなるまで消えない。のみならず、EUの発展ぶりを見て「後出し」で新たに加わったポーランドやチェコ、ハンガリーなどは、はっきり言ってEUの「ええとこ取り」が目当てで、美味しいところは取り込むが、面倒な義務は負いたくないという態度が見え見え。難民問題についても、はじめに損得勘定ありきが政府のスタンスになっている。こんな国を仲間として説得しなければならないのだから、メルケルおばさんも苦労します。


ドイツは、少なくとも日本よりは成熟した民主主義の国というのも常識?になっているが、本当か。シモジモの民まで議論好きという点は学びたいが、ドイツ人らしい「理想を掲げ、実現に向かって邁進する」国民性はときに理想と現実のアンビヴァレンツに悩むことにもなる。そのサンプルが原発廃止、自然エネルギー推進政策の矛盾であります。
 これに関しては過去に書いたので省略するが、福島原発事故をうけて、ドイツ国内の原発は即時廃止せよの過激な世論が生まれたあと、案の定、期限付きで廃止というゆるい施策を余儀なくされ、未だに議論が続く。自然エネルギー発電には,バックアップ用に石油か石炭による同量の発電が必要だが、これが環境汚染のモトになるという因果な事態が解決できない。あちら立てれば、こちらが立たず、であります。ただ、日本に比べてドイツが有利な点は、電力不足が起きたら周辺諸国から簡単に買えるということ。島国の日本でこれは出来ない。


格差問題や言論問題に関しては日本と同じような悩みを抱えている。しかし、問題の複雑さという点では多民族を抱えるドイツのほうが深刻であります。何度も書いてきたけど、単民族、島国という日本の国勢はドイツだけでなく、EU諸国民にとって羨望の的でありませう。
 おしまいに、見習いたいことが一つ、ドイツでは得票率が5%以下の政党には議席を与えないというルールがある。これは塵芥的野党を掃除するために日本にも取り入れてほしい。(2018年 KADOKAWA 発行)


ドイツは・・








読書と音楽の愉しみ

読書感想文
07 /12 2018


●あの飛田新地と背中合わせにあるドッキリ空間

 西成のジャズシーンで使われる会場は変遷のうえ、二箇所に絞られてきました。小汚い喫茶店、又は大汚い酒場とさよならして選ばれたのがいずれも元銀行のオフイスというのが面白い。なんの因果で銀行やねん、と怪しむが、お堅い銀行も身売りして生々流転の挙げ句に、西成ならではの変身を遂げた。昔日の銀行の姿を覚えてる人が見たら絶句すると思いますよ。


今回、はじめて訪ねた「永信防災会館」は名の通り、災害時の避難及び救護活動の拠点で、飲料水20トンや非常食などを備蓄している。ロケーションはあの飛田新地と背中合わせで、近辺には鉄筋コンクリート造りの建物がないから、大地震や大水害のときは、元銀行(永和信用金庫)のここは貴重な拠点になります。・・と、それは納得できるけど、このインテリアは、な、なんですか。なんでこれが防災拠点やねん、と誰しもが突っ込みたくなるでせう。改装に際しては地元住民の意見も聞き、大阪市や西成区役所も深く関わったはずなのに、その結果がこれ?。


と、ひどいミスマッチぶりに異議を唱えながら、ジャズライブ会場としては上等すぎるハコであります。太子の[Donna  Lee]より10倍快適で飛田にいることも忘れてしまいそう。なんでこれが防災拠点やねん、という正しい疑惑も酒を呑んでるうちに忘れてしまい、プレイヤーの熱演に拍手を送るのでありました。ジャズファンはぜひお運びを。(ライブは現在、月2回あります)

西成ジャズ スケジュール表
http://nishinarijazz.blog133.fc2.com/blog-entry-200.html

永信防災会館の案内
https://www.plus1-nishinari.net/map

チャージは投げ銭制
永信

永信 








読書と音楽の愉しみ

読書感想文
07 /08 2018


●文藝春秋7月号
 石井妙子著「小池百合子 虚飾の履歴書」を読む

 小池百合子の正体について、マスコミは今までしっかり調べて来なかったのか、いまいちよく分からない。本人が語る履歴をほとんど鵜呑みにしてきたきらいがある。そこで、あらためて履歴を洗い直してみた、というのが本稿であります。今回はカイロ暮らしでアパートの同居者だった中川さん(仮名)への聞き取りが記事の中心になっている。


読んでみると、タイトルの通り、小池知事の若い頃の履歴はウソだらけだと断じている。巷間一番はなやかに語られている「難関のカイロ大学を主席で卒業」はなかった。当時も今も、アラビア語は挨拶くらいの片言しか話せない。卒論なんて、とんでもない。日本の大学で2,3年、予備的にアラビア語を学んできた人とっても、会話も作文もとても難しくて、カイロ大学になんとか入学はできても、よほど努力しないと挫折してしまう。


しかし、ご本人は卒業証書をもっているといい、カイロ大学に問い合わせると、確かに証書は発行したという。(証書のコピーを見せてほしいという著者の要望は叶わなかった)真相は如何・・。
 どうやら、コネを使ってニセの卒業証書を取得したらしい。モラル的に途上国であるエジプトでは普通にある「いんちき入学、いんちき卒業」ではないかと著者は書く。それは、中川さんが語る小池氏の生活態度、人間関係からも察しがつく。功成り名遂げた現在の小池氏からは想像外のハチャメチャの生活態度だった。しかし、一方で、彼女はモテた。しょっちゅう日本人男性が二人のアパートへ来て、彼らを要領よくもてなした。それだけでもアラビア語の学習時間なんかとれないくらいだった。


読み終わって駄目男が推理するに、彼女はソフトな「サイコパス」ではないかと。純度の高いサイコパス=反社会的人物なら東京都知事など務まらないが、世渡りの練度が高いぶん「こなれたサイコパス」はありうる。選挙で大衆の喝采を浴びるサイコパスもいた、ということです。


あらためてサイコパスの人物像を書くと・・・
・平気でウソをつく。
・良心の呵責で悩むことがない。
・リスクを負い、突破できる強さがある。
・表面的にはとても魅力がある振る舞いができる。
・心を許せる友人がいない。

都知事選挙や新政党起ち上げなどで、大成功、大失敗を経験し、ふつうなら心が折れてしまいそうな場面が何度もあったのに、少なくとも表向きはポーカーフェイスで凌いできた。必死の努力というより、天与の才能ではないかと思ってしまう。東京都職員16万人のリーダーであれば、義理人情に揺らぐ心の持ち主であるより、ソフトなサイコパスであったほうが職務遂行に向いている・・のかも知れない。


小池百合子 







たまには外メシ

たまには外メシ
07 /06 2018



●たまには外メシ 天芝「ロバート」のランチ

 天王寺公園は大阪市営から「近鉄」の運営に変わって、ずいぶん賑わいが増しました。近鉄にとっては「ゼニ儲け」のための公園に変身させたのだから、あれこれサービスに努めます。飲食店は4店で、そのなかで一番大きいのが「ロバート」です。他の店と同様、メニューは若者、ファミリー向けで、ジジババ好みのものはない。
 で、若鶏唐揚げの黒酢あんかけ、というのを頼んだら、案の定、ボリュウムありすぎで完食できない。しかし、夜なら酒肴として手軽な単品もありそう。(バーベキューは昼夜できる) 全体に、どんなコンセプトで店作りしたのか分かりにくい店でした。

店の案内はこちら・・・
https://retty.me/area/PRE27/ARE97/SUB9701/100001244928/


店の外観
roba-to 


唐揚げの黒酢あんかけ 1280円

roba^to


芝生ひろばとハルカス
roba-to 








閑人帳

閑人帳
07 /02 2018



●雑談ネタ「都道府県 魅力度ランキング」

 10年くらい前から、ある団体が調査している何ほどの深刻さもない調査結果で、まあ、FIFAのワールドカップランキングみたいなものですか。野次馬的見地からいうと、興味があるのは魅力ナシとされた下位ランクの県です。はじめて知りましたが、最低は茨城県、しかも5年連続で最低をキープしているという。


なんで茨城県がビリなのか、よく分からないけど、勝手に推察すれば、産業や観光などでとにかく地味だからではないか。しかし、地味=駄目ではないから、茨城県民は納得いかないでせう。地味という点では、青森や秋田も似たようなものですが、この両県には「ねぷた」や「竿灯祭」という全国ブランドのお祭りがある。しかし、茨城にはない。これだけでも魅力度は減点されます。 

 ふつう、魅力のあるなしは
・住んでみたいと思うか、思わないか。
・旅行したくなる地域か、そうでないか。
で判断するでせう。気候も大事な要素だと思うけど、冬はめちゃ寒い北海道がランク1位だから、案ずるほどの影響はなさそうです。


他のビリに近い県を見ると・・・
徳島県、佐賀県、埼玉県、栃木県、群馬県、があります。やはり、住みたくない、旅行したくない、のイメージが強い県ではないでせうか。時流である、インバウンドにおいても評価は低いのではないか。日本人だけでなく外国人にとってもあまり魅力のない県に思えます。


「出身県でわかる人の性格」(岩中祥史著)という本を読むと、関東で住みたいのは東京と神奈川が人気を独占しており、他の、埼玉や山梨、茨城は後進国扱いです。本当は東京都民になりたかったけど、甲斐性がなくて,やむを得ず埼玉や千葉に住んでいる。ゆえに郷土愛なんか育たなくて当たり前。特に埼玉は何十年か前、「ダ埼玉」なる面白い自虐?ネーミングが流行り、これをネタにした漫画本までできた。


東京との文化的格差が大きすぎる。一例を挙げれば、駄目男が前から不可解に思ってるのは、千葉の浦安にあるディズニーランドがなんで「東京ディズニーランド」なのか、であります。いんちき、フェイクブランドでありませう。なのに、千葉県民や浦安市民がこれに異議を唱えたという話は聞かない。浦安市民の多くは東京都からこぼれ落ちてきた人たちだから、抗議どころか、歓迎しているかも、と想像します。もし本当ならば、井上章一「京都ぎらい」の中身とまったく同じではありませんか。千葉県民なのに「千葉ディズニーランド」なんてカッコ悪いからアカン、と言いかねない。


関西で、大阪、京都、神戸、奈良、の名を挙げれば、それぞれの都市の特色、個性の違いをイメージします。しかし、関東で、東京、神奈川、埼玉、千葉、山梨・・の名を挙げれば、誰だって文化的格差をイメージするでせう。関西のように「横並び」の感覚ではなく、上下の格差としてとらえられる。実際、東京と山梨が横並びと考える人はいない。


閑話休題:クラシック音楽ファンとして各県の魅力度を語るとしたら、県民の文化水準をはかる指標として、音楽専用ホールの有無をあげたい。で、ええ加減に調べてみたら、人口700万の埼玉県、人口600万人の千葉県に、本格的なコンサートホールはありませんでした。やっぱり田舎やと納得できます。但し、埼玉や千葉に住む勤め人の多くは東京へ通勤しており、仕事が終わってコンサート会場に行くときは、ホールは東京にあった方が便利なので、なにも地元につくらなくてもよい、という考えもあります。(大阪、兵庫、京都、滋賀、にはクラシック音楽専用ホールがあります)なんにせよ、東京、神奈川とそれ以外の県との落差が大きすぎます。文化的に東京と横並びなんて、夢の又夢であります。


・・と、書いていて思い出しました。茨城県水戸市には水戸芸術館という総合文化施設があり、磯崎新設計の本格的コンサートホールをそなえているばかりか、水戸室内管弦楽団というオケまである。その総合監督が小澤征爾というから、レベルの高さが分かります。魅力度ランキングでビリの茨城が文化水準に限っては、埼玉や千葉よりずっと上なのです。
ほかに、金沢や山形にも立派なホールと専属のオケがあります。埼玉県は近年、魅力の無さを逆手にとって夏場に「日本一暑い町」と自虐精神満点のキャンペーンをうったりしている。ガス抜きとしては面白いアイデアだと思います。。


都道府県 魅力度ランキング表

水戸ホール

水戸芸術館の案内
https://www.arttowermito.or.jp/hall/hall01_mco.html

コンサートホール 定員680名 残響1,6秒
水戸ホール 


出身県でわかる・・ 


●これぞ雑談ネタ・・埼玉と千葉の3位争い

 関西の風土では考えられない、上下意識の強い関東。とりわけ、埼玉と千葉のライバル意識はなかなかのもので、両者ともしょーもない意地の張り合いをしています。むろん、ユーモアを含めてのライバル争いですが、勝ったところで3位ですからね。ごくろうさんです。他にもたくさんのサイトがあります。ちなみに、魅力度ランキングでは、千葉県19位、埼玉県44位となっています。

埼玉と千葉の終わりなき戦い
https://matome.naver.jp/odai/2133463115775680001



 dameo

■10年続けた<快道ウオーキング>を改題しました。
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