たまには外メシ


●天ぷら「まきの」梅田店

 Tさんの案内で午後4時前に入店。昼どきや夕方は行列ができるので、この時間がベストという。なぜ人気があるのかといえば、もちろんCPが高いから。一番安い「まきの定食」なら990円(税別)で天ぷら八品とご飯、味噌汁付き、そして、何よりのサービスは「揚げたて」を供すること。これを店では「都度揚げ」というが、これの徹底が他店との差別化に成功した。・・と、書けばカンタンですが、システムの完成までにはいろいろ苦労があったと思います。


「海老天定食」(990円)があるのに、なぜ「天丼」がないのか、と後から気づいた。客の回転の速さからいえば天丼のほうがすぐれたメニューなのに、と天丼好きは思うのであります。(そのうち始めるかも) 梅田のほかに、天神橋筋と千日前にも店があり、今後ふえるかもしれない。

https://www.toridoll.com/shop/makino/


まきの 



まきの





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プチ・ケチの研究



●買い物における、こんなプチ・ケチ案

 プチ・ケチとはいささか微細なけちんぼのことを指しますが、先日、スーパーでこんなアイデアを見つけました。レジに並んでいると、前のおばさんが大きな布バッグを素早く計算前のレジかごにかぶせたのです。それがどうした?・・係員はカウントした商品をバッグをかぶせたカゴに入れます。なので、おばさんは、レジかごからマイバッグやレジ袋に入れ直す手間が省ける。レジかごからバッグを取り出すだけでいい。


スーパーのレジ台の先には、客がレジかごから自分のバッグやレジ袋に詰め直すための作業台があります。ということは、客は売り場で商品をえらんでレジかごに入れ、レジ台で係員が商品を別のレジかごに移し、客は再度、レジかごからバッグやレジ袋に入れ直す。こうして買い物が終わるのですが、要するに、三度もかごやバッグに入れなければならない。おばさんは三つの作業のうちの最後の一つを省いたわけです。


もし、客の全員がおばさんのやり方を真似ると、作業台はいらなくなります。買い物作業の合理化が図れるわけです。考えたおばさん、エライ。 実際には、バッグ持参の客は少数派だし、駄目男のように酒とか重い商品はリュックに入れるという使い分けをするので、作業台は必要です。でも、こんなプチ・ケチ案を考え、実践する人がいる。マイバッグにはトートバッグを使う人が多いけど、おばさんのは思いっきりマチが大きいバッグです。もしや、かごのサイズに合わせて自分でつくったのかもしれない。それなら、おばさんはますますエライ。(おばさんのアイデアを生かしたバッグが商品化されているかもしれないが不詳)


かごに持参のバッグをかぶせて、バッグを取り出す
レジバッグ







大阪日暮綴



●大阪市民は「台風」を忘れてしまった

 台風18号の進路予想をみると、大阪目がけてまっしぐら・・のように思えました。実際、予想に近いコースにやってきたのですが、大阪市内では風も吹かず、雨も降らずで、被害は皆無でした。むしろ、周辺で強風や大雨のため交通が乱れたという程度の被害がありました。あの、大層な避難呼びかけの啓蒙はなんだったのか。


大阪の災害史に残る台風は次の三つです。
・室戸台風(昭和9年)
・ジェーン台風(昭和25年)
・第二室戸台風(昭和36年)

もう半世紀ものあいだ、大型、強力な台風に襲われたことがない。ということは、団塊世代の人を含めて、ほとんどの市民は風速30m以上の強風を体験していないことになります。台風被害のありさまはテレビなどでヨソの土地のようすを見るだけです。大阪は台風来襲に関しては、運が良いというか、恵まれている都市といえるでせう。むろん、これは過去の話で、来年以後も安全とはいえない。たまたまラッキーだっただけです。


ジエーン台風の被害
◆死者 - 398名
◆行方不明者 - 141名
◆負傷者 -  26,062名
□住家全壊 - 19,131棟
□住家半壊 - 101,792棟
◆床上浸水 - 93,116棟
◆床下浸水 - 308,960棟


現在、ジエーン台風とそっくりの規模、進路の台風が来たと仮定すれば、上記の被害は、人命、物損とも十分の一以下に抑えられるでせう。インフラの整備、住宅の品質向上などで格段の進歩があったからです。とはいえ、大阪市の場合、水害対策では、一時間雨量50ミリ、一日雨量200ミリ程度を想定した上での対策ですから、昨今のようにものすごい集中豪雨があれば大きな被害が出るかもしれない。市民のほとんどが台風の実体験をしていないのはとても幸運なことですが、それだけに「打たれ弱さ」みたいなマイナス面もあります。


参考情報
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E5%8F%B0%E9%A2%A8


ジエーン台風の高潮で水浸しになった西区九条の風景
ジエーン台風





犬町・猫町情報



●10月例会 ご案内
 
イラスト 梅本三郎

2017-10 表紙

    この夏は 予報士泣かせの 雨が降る。

**********************

■9月21日 食事会 ~担当 辻~
参加申し込みは・・
喜多村 松田 藤家 宮嶋 田中 山本 辻 梅本2さん、小西の
10名 です。15時30分 JR大阪駅中央 みどりの窓口集合

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■ココルーム de JAZZを聴く会
 藤井さんが愛聴している、バッハの曲をジャズにアレンジしたCD
をココルームの再生システムで聴きます。飲食費は各自負担。
◆9月29日(金)午後6時 地下鉄御堂筋線 動物園前駅 東改札口集合。ご希望の方は前日までに小西へお知らせ下さい。

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■藤原京跡コスモス畑から飛鳥へ(担当 小西・申込み不要)
「太子快道」を一部アレンジした平坦コース。約8キロ。
◆10月17日(火) 雨天の場合18日(水)
◆集合 10時30分 近鉄大阪線八木駅 改札口
◆コース 八木駅~今井町チラ見~藤原京跡 昼食(T)~飛鳥川沿い~甘樫丘下休憩所(T)~たんぼ~川原バス停~飛鳥駅(元気人は飛鳥駅まで歩きませう(10,5キロ)
◆参考ダイヤ 鶴橋駅9:55分発 急行青山行き
八木駅着 10:26分
◆弁当持参要 ◆申込み不要

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■くちまめ 10月例会 ~担当 藤家~
10/12(木)山本山(324M)へ
集 合:北陸本線河毛駅 9:30
持ち物:弁当、飲水、雨具、杖

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■10月度例会案内  ~担当 南~
 「川中邸屋敷林へ」 約4Km 平坦路
河内街道を散策し、大阪緑の百選「川中邸 屋敷林」を訪ねる。川中邸は江戸時代、大和川付け替えに生涯をささげた河内平野の開拓者、中甚塀兵衛の生地で屋敷林は「大阪みどりの百選」に選定されている。

◆日時 10月26日(木) 雨天中止
◆集合 近鉄けいはんな線 荒本駅11時
◆コース 荒本駅~日吉神社~長者橋~緩衝緑地公園(昼食)~川中邸屋敷林~吉田駅 
◆参考ダイヤ 東梅田10時23分発 (市営谷町線) 谷町4丁目乗り換え10時40分発(市営中央線) 荒本駅着10時57分
(注)弁当持参、市営中央線と近鉄けいはんな線は相互乗り入れです。
◆申込み要・・参加される方は10月23日までに南まで申し込んで下さい。                                                                              ~以上~
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藤原京跡コスモス畑
コスモス畑  




閑人帳


●パチンコ業界 前途に暗雲・・・

売上げジリ貧、規制強化で苦境に
 レジャービジネスで売上げ額が断トツのトップを維持しているパチンコ業界がジリ貧に陥っている。依存症が社会問題になり、パチンコファン=アホ、無能、の認識が固定してしまった。喫煙者が白い目で見られるのと同じである。梅田や難波の大型店でもガラ空きの店を見かける。人の心理は妙なもので、満員なら無理にでも席を探して割り込みたいと思うし、空いていたら「負けそう」とネガティブな判断をしてしまう。これではいかんと店は大音響で店内の活気を演出するが、だんだん「無駄な抵抗」になりつつある。


さらに、来年から出玉規制が厳しくなる。おまけにパチンコ台を「封鎖型」に変えよ、という案もあるそうだ。封鎖とは店側が台の調整を出来ない状態、すなわち釘の調整ができないタイプに変えさせられることで、以前には考えられなかったきつい規制であります。10年くらい前までは、政治家と警察とパチンコ業界は岩盤の如くしっかり癒着していたのに、ひび割れができはじめた。業界は警察官僚の天下り先というのは常識だった。それは、内実では今でも大して変わらないかもしれないが、常識は崩れつつある。暴力団の排除が進んで警察が関わる場面がほぼなくなったことが影響している。


東証一部上場の夢、叶わず
 業界のトップ、マルハンの会長、韓昌祐氏の悲願だった「東証一部上場」はついに叶えられなかった。財界の「しょせん、ギャンブルやろ」という認識を変えることができなかった。そして、最高は2兆円を超えた売上げも下降線をたどり、昨年は1兆6000億円台まで落ちた。貧乏人から巻き上げる金には限度があることにようやく気がついたのか。


2016年のフォーブス日本長者番付によると、韓昌祐氏の保有資産額は4,520億円(日本第9位)ちなみに、第1位はユニクロの会長、柳井正氏。この資産形成に協力したのは、安月給取り、職人、主婦、アルバイター、そして生活保護受給者。みんなせっせと貢いだのであります。しかし、韓昌祐氏が彼らの暮らしに思いを馳せることはない。ま、上場出来なかったことくらい、ガマンしてくんなまし。


あの高橋尚子さんがパチンコ中毒に
 パチンコファンは貧乏人ばかり、かと思いきゃ、例外もある。シドニー五輪のマラソン優勝者、高橋尚子さんがなぜかパチンコにはまってしまって依存症状態らしい。昼前から10時間以上、閉店時間になっても台にしがみついてるというから、趣味やヒマつぶしの域を超えている。いまだに結婚しないのはコレが障害か、と下のネタ元情報が書いている。バレないように、店へいくときはカツラで変装していくというから、昨日今日の道楽ではないでせう。しかし、べつに悪いことをしているわけではないから誰も止められない。45歳の分別はどこへ行ってしまったのか。高橋さんは数少ない「国民栄誉賞」受賞者であります。そんな、尊敬とあこがれの眼で見られる立派な人がパチンコ中毒・・・。韓昌祐氏に言わせれば、ほら、「国民的レジャー」ですがな、であります。 

http://news.livedoor.com/article/detail/13618911/
http://dailynewsonline.jp/article/1173411/

パチンコ売上げ







プチ・ケチの研究


●もう少し気遣いすれば・・・

 水道蛇口のシャワーノズル、シャワーとストレートの両使いタイプで100円というのは安い。ホームセンターでは300円くらいで売っている商品。で、購入して使ったところ、残念、シャワー使用時の水ハネが強くてシンクまわりや衣服にも飛び散る。これを避けるには水量をうんと絞る必要がある。・・・というわけで、欠陥商品に近い。(がまんすれば使えますが)


原因はおそらくノズルの穴の形状にありそう。本当に微妙なちがいで水ハネが起きる。しかし、ユーザーでは対処のしようがない。もちろん、試作時にテストして量産OKとなったはずですが、試作時と量産品とで穴の形状、すなわち金型の形状に微妙な違いがあったのかもしれない。(製造は中国)。この欠陥さえなければ「安くて良い品」であること間違いないので惜しい。そもそも、この業界の業者は扱い商品の数がものすごく多いので、量産品での品質確認なんかやってられない、というのが実情かもしれませんね。

発売元は新潟県燕市の「エコー金属」
http://www.echo-k.co.jp/search/details.html


ノズル



穴は円形のほうが良かったのでは・・・
ノズル 





読書と音楽の愉しみ



●百田尚樹著「今こそ韓国に謝ろう」を読む

 久しぶりに会ったIさんからお借りした本。あわて者は、あの百田サンが変節したのか、と早とちりしてしまいそうですが、そんなアホなことはありません。内容は過去に何十冊も発行された「嫌韓本」と同類ですが、普通に嫌韓をうたったタイトルでは売れないから、一策としてこんなひねくれた書名にしたのでせう。中身でなく、タイトルで売上げアップ・・もし、たくさん売れたのなら営業サイドの作戦勝ちです。


通読して残念に思ったのは未知の新情報がひとつもなかったこと。全部、すでに知っている事柄ばかりでした。しかし、著者は新ネタの発掘、広報を意図して書いたわけではないから仕方ないか。三跪九叩頭の礼(さんききゅうこうとうのれい)やトンスルなんて今やなつかしい言葉であります。全編、韓国に謝るフリして、実は韓国をバカにする話が並ぶ。唯一、本気でハンセーするのは戦前の日本政府(現地では総督部)が愚昧な韓国人に余計なお節介をし過ぎたことでせう。これは駄目男も同感です。


むろん、日本政府に言わせれば、朝鮮半島を支配しなければロシアが進出し、日本と間近で対峙する。双方とも日露戦争の記憶まだ醒めやらず、という時代だったから、日本は焦りまくって半島の日本化をすすめた。ただ、軍事的支配だけでなく、学校の建設とか民度のレベルアップをはかるインフラにものすごい金を注ぎ込んだ。こんな、欧米列強国が植民地において絶対やらない施策をドカドカやって、結局、自分の首を絞める結果になるのだから空しい。


まずは人材を育てよ、政策に異論はないけど、大学設置に置いては、東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学の次に「京城帝国大学」「台北帝国大学」が設置され、大阪大学、名古屋大学は後回しにされた。そんなアホな! 怒るで!・・であります。京城帝国大学は現在のソウル大学のさきがけ、韓国トップの大学でありますが、韓国人には感謝の気持ちなどさらさらない。


かように、日本による壮大なお節介がベースになって、戦後の韓国はなんとか先進国の仲間入りをした。足らざるところはパクリと捏造でごまかした。百田サンのいうように、日本は韓国との付き合いで後悔と反省の山を築いた。そこにつけ込んで韓国は「慰安婦」や「徴用工」問題でさらに反省と謝罪を求めている。言うまでも無く、慰安婦問題に火を付けたのが朝日新聞であります。


以前にも書いたが、韓国は、北朝鮮とともに世界で最も忌み嫌われている国家であります。近ごろは友好的であった中国にも嫌われている。このため、「現代」中国工場では車が売れずに地元下請け企業への支払いが滞っているとか、中国国内の「ロッテ」系列スーパーが中国政府の嫌がらせもあって続々廃業しはじめた、というニュースもある。ヘタしたら、20年前のIMFショックが再来しますぞ。(2017年 飛鳥新社発行)



百田本 



閑人帳



●「バベルの塔」展 鑑賞 ~国立国際美術館~

 ここまで描くか、とバベルの塔の描写の細密ぶりに感心して、館を出たあとで「レオナルド・ダ・ヴィンチならバベルの塔をどう描くか」という妄想が生じました。年齢ではダ・ヴィンチが半世紀くらい先輩ですが、彼は理系の学問をおさめているので、さらに現実的=技術的に凝った絵にしたかもしれない。もっとも、バベルの塔の設計思想が「天に届くタワー」であれば、そんなアホな、と取り合わなかったかも。


今年の2月ごろ、同じ館で「クラーナハ展」を見て、宗教問題でいろいろモメてるさなかに、何気にイチビリやイヤミをまぶした絵を描いてた職業画家がいたことを知りました。しかし、ブリューゲルに比べたら、クラーナハなんてガキの使いレベルであります。口には出さねど「キリストの教え? それがどないしてん」なへそまがりであった。(駄目男の想像です)

神さまのことはあっちに置いといて、ブリューゲルは幻の大建築を徹底したリアリズムで設計、施工した。工事現場のようすをこれほど細かく、かつ、技術的裏付けをもって描いた絵画は他にないのではないか。重い石材を揚げるためのクレーンや四寸丸太を使った足場など、理にかなった描写をしている。寝泊まり出来そうな小屋もある。しかし、だんだん高くなっていって・・最初に困るのは水の確保かもしれませんね。


ところで、塔の内部はどないなってるのか。よせばいいのに気になってしようがなく、想像で内部の設計をバラしてしまった人がいる。漫画家の大友克洋氏であります。ゼニにもならんのに苦労して設計をした。その作品がロビーに展示してあるので、ぜひご覧あれ。
(同展は10月15日まで)


大友克洋氏が勝手に想像したバベルの塔の正面内部
バベル  




バベル 






読書と音楽の愉しみ



●宮本輝著「泥の河」「蛍川」を読む

 読みたいと思いつつ、さぼっていたこの本を古本屋のよりどり百円箱で見つけた。角川文庫で平成9年に70刷だから地味なベストセラーであります。芥川賞受賞の「蛍川」と太宰治賞受賞の「泥の河」両作品が一冊で読めるのだから「お買い得」本でもある。


両作品とも主人公は少年。多感な彼らが味わう肉親や友人の死を通じて味わう切なさ、しみじみ感がウリでせう。著者30歳時の作品だけど、若書きといえるような未熟さはなく、練度の高い文章で読者を惹きつける。近年の芥川賞作品にみる、いかにも文学してますふうのキザな表現がないだけでも心地よい。 どちらの作品がより感銘深いかと問われたら「泥の河」です。舞台が中之島の西端(安治川の起点)という地理的親密感があるためですが、いまや流行らない古典的しみじみ感と読後の余韻においても勝っている。


著者は現在芥川賞の審査委員を担っている。先日紹介した今期の受賞作「影裏」の審査では、これを推さなかった。賞を取るための小細工に嫌悪感をもっている。文章が上手い云々以前の問題でアウトにしたようですが、本書の二作品を読めば、レベルの違いは納得できる。しかし、それは駄目男の「昔はヨカッタ」ふう懐古趣味のせいかもしれない。それは認めるとしても、毎日数時間もスマホをいじってる人たちが決して味わえない、文学作品を読むヨロコビを100円の投資で享受できたのであります。スマホを捨てよ 本を読もう。(昭和55年 角川書店発行)


ほたる河
 



読書と音楽の愉しみ



●8歳時の空襲体験を描いた本があった

 9月8日に書いたNスペ「本土空襲・全記録」記事に関連して、Tさんから、知人の竹村健一氏が漫画本「大阪大空襲の夜」(昭和61年刊行)を発行しているということを知り、図書館で探したら幸い見つかりました。何十人、何百人にも読まれて十分にくたびれていますが、内容は漫画と文で体験をリアルに表現した力作です。


竹村氏は昭和12年生まれなので、被災したときは8歳、駄目男より2年年長です。この2年差で記憶の質量は駄目男と大きく違い、体験が絵に描けるほど具体的で現場感覚があります。だから、本にしようと企画されたと思います。被災したのが西成区の花園町界わいで、猛火に追われていつのまにか阿倍野墓地に逃げ込んでいたという記述なんか、その行程がなんとなく想像できます。駄目男の被災地から2キロくらいの場所です。


もし、この本を戦後生まれの人が読んだ場合、空襲の恐ろしさをどれほど想像できるだろうか。ほとんどの人は火事で自宅が焼けた経験すらないのに、そこに空からバクダンが落ちてくるという酷い場面はなかなか想像しにくいと思います。TVや映画の空襲シーンを思い出して「あんなことだったのか」と参考にするくらいでせう。 空襲を体験した人の多くが自分の子供にもあまり詳しく伝えていないのは、年月が経って当時と現在の時代の空気感が変わりすぎ、今さら相手に理解、共感されにくいという思いがあるからです。実際に肉親を亡くした人は、リアルに話すこと自体がとても辛い。


戦時中の体験レポートには「警戒警報」「空襲警報」発令という言葉がしょっちゅう出て来ます。北朝鮮の脅かしに対応するショボイ策の一つ「Jアラート」は昔で言えば空襲警報に相当し、戦前生まれはその記憶と重なるけど、戦後うまれの人には「危険情報」という実感が全く湧かないでせう。だからといって政府や役所がくどくど説明するのも煩わしい。被害を経験してはじめて理解できる・・・例えば、北朝鮮が日本上空を通過するミサイルを撃った。政府は「Jアラート」で国民に警告した。ところが、ミサイルのトラブルでコントロールを失い、軌道を外れて本体が燃えながら日本のどこかの街に落下、何百人の死傷者が出た、とする。それで初めて「Jアラート」って、そういう意味だったのかと知ることになります。


そんなドジはあり得ないと日本人は妙に北朝鮮のミサイル技術に信頼感をもっている(笑)。脅迫者である北朝鮮が撃つ殺戮兵器は予定軌道を正しく飛行すると信じている。実際は発射で失敗経験がたくさんあることも知っているのに、日本上空を飛ぶミサイルに限って失敗はないと信じているのです。だから警戒心も起きない。実際のところ、総理大臣はじめ、防衛省の現役人物も戦時中を知らないし、一般国民の9割以上は空襲下で逃げ回った経験が無いから、ムシしたい気持ちは分かりますが。


「大阪大空襲の夜」表紙
竹村 


鉄の蓋の直撃を間一髪免れた
竹村


上の絵に描かれている円盤形の物体は集束型焼夷弾の先端部(写真の右前部分)爆撃機から落下後、垂直の姿勢にするため、重りの役目も果たしている。この中に38発の焼夷弾が梱包されていて、空中でバラける。全長約1,5m
竹村本


生きてる人がいない広大な阿倍野墓地が大きな被害を受けなかったのは、なんとも皮肉。
竹村


自宅が焼けるところを茫然と眺めるしかなかった。
竹村


焼夷弾で黒焦げになった親子の遺体(「日本の空襲<近畿編>より)
竹村







たまには外メシ



●「魔王」タダ飲みの夜

 西成「ココルーム」の客はおおむね駄目男のような〇ビ人間でありますが、ときに〇金の客も来るらしい。某夜、おそがけに行くと、DVDで「カルメン」をやっていた。カルメン=アグネス・バルツア、ドン・ホセ=ホセ・カレーラス。指揮=J・レヴァイン。もうナツメロの類いでありますが、音はとてもいい。


カウンターの目の前に「魔王」が置いてある。ラベルの上に「T様」の名がある。店長、佐竹さんによるとTさんの差し入れだという。夜遅く来て、なんだかとても上機嫌で、なんのつもりかこの「魔王」を置いて帰った。ということは仕入原価タダの酒ともいえる。駄目男が店長なら、黙って一杯千円で「大サービス」ともったいぶって売ったかもしれないが、佐竹店長は「常連さんには無料で」とリップサービス付きでご馳走してくれた。小さい氷一個浮かべて飲めば、芋のエレガントな香り十分で・・というのもヘンな言い方ですが、吟醸酒が焼酎にスライドしたような美味しさであります。(これもヘンな言い方)

何かで「ココルーム」という店名を知って店の前まで来て・・しかし、逡巡した挙げ句、よう入らんかったという人がまだいるらしい。西成(釜ケ﨑)という環境とクラシック音楽酒場という業容がどうにも結びつかなくて、お客さん自身のアタマがカオス(混沌)状況になるのか。実際は店自体が「年中カオス」であります(笑)。新規客は、まず、これに耐えなければならない。タテ、ヨコ、折り目正しい人生を歩んできた人には向いていない。毒を食らわば皿までも・・こういう人向きですね。


魔王






閑人帳


●Nスペ「本土空襲・全記録」を見て

 8月12日のこの番組、80歳以上で、戦時中の空襲の記憶がある方が見ておられたら「そうだったのか」と70年ぶりに合点したかもしれない。合点といってもいささか腹の立つ合点でありますが。
 戦争末期、米軍は全国66都市でのべ2000回の空襲を行い、民間人に多数の死者を出した。そのことはすでに知られているが、爆撃による殺戮だけでなく、戦闘機による銃撃(機銃掃射)でも多くの民間人が殺された。米軍にとっては戦果とは言いがたい殺人なのに、なぜ執拗に無抵抗な民間人を殺したのか。


米国の資料の一つにその意図が記されている。targets of opportunity 字幕には「臨機目標」と訳された言葉が出たが、普通にいえば「都合のよいように標的を決める」なにを標的にするかはパイロットの自由裁量とするという意味だ。まったくええ加減なことでありますが、こういう指示があり、それを実行したという。ひどい話だ。


1945年も7月になると、日本の防空戦力はガタガタになり、無抵抗状態に陥った。それまではB29などの爆撃機は戦闘機群の護衛によって安全に爆撃をしていたが、日本の迎撃がなくなると戦闘機は護衛という仕事が不要になってしまった。敵を全部やっつけたので、親分は子分のガードがなくても自由にかっ歩できる、という状態だ。これじゃ子分である戦闘機は失業状態だ。 


そこで取った苦肉の策が前記の「臨機目標」である。もうB29の護衛はしなくてよい。君たちは自分で目標を探して仕事をして来なさい。要するに、フリーハンドになった。帰投時間さえ守れば、どこで何を攻撃するかはあんたの自由、であります。しかし、その一方で軍は意地悪もした。機銃の引き金と連動するカメラ「ガンカメラ」を装備したのだ。つまり、誰某はいつ、どんな仕事をしたか記録に残ってしまう。嗚呼、なんとイヤミな仕打ちでありませう。パイロットの技量とやる気が試された。


番組の映像では様々の機銃掃射場面が映された。都市部だけでなく、のどかな田園や海浜で歩行者を狙う場面が出てくる。ローカル線の汽車も襲う。田舎では戦闘機一機の襲撃では空襲警報なんか鳴らないから、住民はびっくり仰天である。都会ではもちろん効率よく殺せた。振り向けば背中の赤ちゃんの首がなかった、というレポートは機銃掃射による殺戮であった。


旭区の「千人塚」のある河川敷では爆撃から避難した市民千数百人が戦闘機の機銃掃射で亡くなった。橋の下に逃げ込んでも、川沿いに超低空で射撃すれば橋はガードにならなかった。爆弾は空から落ちてくるが、機銃の弾丸はほぼ水平で飛んでくるからだ。このように、爆撃機の護衛という本来の任務をはなれて戦闘行動できる余裕があったことになる。


あまりに犠牲者が多すぎて氏名確認もできず、その場に穴を掘って埋め、爆撃で壊れた家財を燃やして荼毘に付した。焼くのに三日かかった。いま、城北公園北側の河川敷には千人以上の人骨が埋まっていることを知る市民がどれほどいるだろうか。(千人塚は堤防の上に移されている)
 空襲による死者のほとんどは爆弾と焼夷弾によるものだが、数千人は機銃掃射で亡くなった可能性がある。爆弾と違い、のどかな農村、漁村でも犠牲者がでている。遺族はその運の悪さをどれほど嘆いたことだろう。


NHKスペシャル 「本土空襲・全記録」から
Nスペ空襲



Nスペ



nスペ 


<臨機目標>海岸で銃撃されて逃げ惑う人。(ガンカメラの撮影)
機銃掃射 



機銃掃射が笑い話のネタになった
 敗戦間際の米軍の機銃掃射にはそんなウラがあったのか。番組の情報が正しければ、一応は納得できます。パイロットの多くがチームワークをせず、単独行動だったこともそれを裏付けることになる。上官の指示をいちいち聞かなくていいだけでもどんなに楽ちんか。


敗戦まで一ヶ月を切った7月下旬、6月の空襲で家を無くした駄目男家族は東住吉区田辺の親類の家に身を寄せていた。ある日の昼頃、母親に連れられて近くの理髪店に行く。店は今の南港通りに面していた。(当時は十三間通りといった)バリカンを入れてしばらくすると爆音が聞こえた。戦闘機が近くを飛んでいる。やがてそのエンジン音が低音から高音に変わる。急降下するときの音だ。店のおばちゃんはバリカンの手を止め、椅子から降ろして店奥へ移った。


直線道路の東から西へ、路上に人影や車があれば銃撃しようとしたのか、急降下して地表すれすれを通過する。一瞬、機体の影が路面を走った。しかし、何事もなく、すぐ静寂が戻る。そのすぐあと、駄目男は店の外へ出た。そのときの光景が頭にこびりついている。真っ青な空、真上からカッと照りつける太陽。銀色に輝く路面。そして全くの無音、人影のない街・・。阿鼻叫喚の大混乱が記憶に残るのではなく、何も起きない、静止画のような街の風景が6歳のアタマに刷り込まれた。


そのまま、店の内外をウロウロしたらしい。頭は虎刈りのままである。その、散髪中を忘れて虎刈りのままうろつく様がよほど可笑しかったらしい。母とおばちゃんがゲラゲラ笑い転げていた。帰宅してそれを祖母に話して、またゲラゲラ笑う。この、本人には全然面白くないことが3~4年は笑い話のネタに使われた。駄目男が思い出せる機銃掃射に関わるシーンはこの「よしもと新喜劇」みたいな一件だけであります。


当時の理髪店が残っていた!
 もう72年も昔のことだ。理髪店は無くなってると思い込んでいた。しかし、気になるので現地へ行って確かめることにした。場所は東住吉区役所の南100m、南港通り交差点の北東側。無いと思っていた店があった。「理容 永橋」しかし、火曜日なのに営業していない。廃業・・?いや、店があっただけで嬉しい。自分の6歳時の記憶が間違ってなかったのだから。(あとで電話帳調べたら名簿に無く、廃業したらしい)


というわけで、大阪の空襲の話は以前にも書いたけど、昭和20年、敗戦間際のばらばらの記憶をせめて時系列だけでも整理して、再度、ボケかけた頭にインプットしておきたい。べつに難儀なことではなく、資料と記憶を照合するだけで済む。空襲とか、戦時中の記憶がある人は、常識では昭和15年生まれ、終戦時で5歳が限界でせう。


無いと思っていた理髪店が残っていた(但し廃業)
理髪店


現在の南港通り。戦闘機が向こう(東)から急降下してきた。
理髪店





閑人帳


●そうだったのか、民進党ヨタヨタ船出の真相

 幹部人事で発足間際に幹事長候補の山尾しおり氏を降ろしたのは前原代表の人を見る目の無さの表われ・・と世間の誰もが思った。ほんと、ふらふらして頼りない。ところが、真相は別だった。山尾氏のスキャンダルが発覚したから幹事長を降ろしたというのが本当の理由だった。


またもや週刊誌の餌食になってしまった。保育園落ちた、日本死ね、のブログの言葉を引用して安倍首相をぎゅうぎゅう追い詰めた山尾センセ。それが不倫ばれて一転地獄行きに。相手の男も分かっていて弁護士だそう。蓮舫元代表は、国会で何をやっても見事ブーメランになって自分にはねかえってきたが、山尾センセも似たようなものだ。今の心境は「不倫バレた。民進党死ね」でありませう。今回は、不運な前原サンにちょびっと同情します。7日発売の週刊誌に載るらしい





読書と音楽の愉しみ



●第157回芥川賞作品 沼田真佑著「影裏」を読む

 十名の選考委員が侃々諤々、激しい議論をして選んだこの作品は、著者の第一作品だった。何年も落選を繰り返しているプロ作家、セミプロ作家を尻目に一作目でパンパカパ~ン、受賞であります。(賞金百万円)


例によって、月刊「文藝春秋」を購入、解体して作品部分のみホチキスで閉じ、テープで化粧。もう慣れた作業であります。単行本で買えば千円もするが、こちらは各委員の選評やインタビュー記事も載っていて断然お買い得であります。 前回(156回)受賞作「しんせかい」は「しょーもな」の一言でおしまいの駄作でありましたが、それに比べたらマシであります。まあ、作品の中身より、今どき、自分は純文学で身を立てるのだ、と真摯に取り組んでる人がいることに感心してしまいます。


話は主人公の私と職場で知り合った同年配の男「日浅」とのなんだかよく分からない関係を綴ったものであります。ストーリーの面白さより、文章の上手さで点を稼いでると思うのは駄目男の偏見でありませうか。たとえば、こんな具合・・・・

 後手に日浅に水筒を渡すと、喉を縦にして美味そうに飲んだ。眠たげな瞼のあいだをいっそう細めて、手の甲で日浅は唇をぬぐい、眉に溜まった汗の滴は指先でつまんでそのへんに捨てた。ゆうべの酒がまだ皮膚の下にのこっているのか、磨きたての銃身のように首もとが油光に輝いている。

 どないです。はじめて書いた小説なのに、このこなれた表現力。こんな巧みな情景描写に、特に女性の審査員は好感をもったらしい。ツボがわかってらっしゃるという感じ。芥川賞候補作らしいキザな言い回しも散りばめてある。題名も十分キザであります。たくさん読んでると、傾向と対策がそこはかとなく感じられます。しかし、ご本人が述べているように、次の作品で苦労するのではないか。生真面目そうな人柄ゆえ、悩みも深いでせう。同じ芥川受賞作家でも、又吉直樹氏や羽田圭介氏とはぜんぜん性格が違うみたいです。(2017年 文藝春秋発行)


駄目男謹製 廉価版「影裏」の表紙 

芥川賞2017





大阪日暮綴



●♪ 夕空晴れて 秋風吹き・・・

 無粋な都会の風景のなかで、唯一田舎と同じシーンが見られるのが空の風景。 夕空はれて 秋風吹き 月かげ落ちて 鈴虫なく おもえば遠し 故郷の空 あゝ 我が父母 いかにおわす ・・・ 歌の原産地はスコットランドだそうですが、夕空の光景は変わらない。(9月1日)


夕焼け空






閑人帳


●ひどいウソ記事がまかり通る

 北朝鮮発のミサイルを迎撃するために現在保有する手段はSM3とPAC3の二つ、これだけじゃ不十分だから、発射直後のミサイルを撃ち落とすために巡航ミサイル(トマホーク)を加えることを政府は考えている。こういう趣旨の文とその説明イラストが掲載された記事をみて驚いた。8月30日 毎日新聞の署名記事である。何が驚きかといえば、記者さんは巡航ミサイルの何たるかを知らないからである。芸能部の記者ならいざ知らず、政治部記者が知らないなんて・・。


巡航ミサイルはロケットではない。ジェットエンジンで推進し、GPSに誘導されて目標に向かう。よって、時速は飛行機並み、音速以下の900kmくらいで飛行する。このこと、軍事知識に疎い駄目男でも知ってましたよ。こんな鈍足ミサイルでどうして発射直後の相手ミサイルを迎撃できるのか。オイオイ、しっかりしてくれ。


相手がミサイルを発射する前に先制攻撃として巡航ミサイルで基地を破壊する。これならその通りで正しい。だが、発射されたミサイルは迎撃できない。この違いが分かってないのですね。イラストを描いた人もおかしいと思わなかった。それは仕方ないとして、記事をチェックしたデスクは気づかなかったのか。知らんかったでは通りませんよ。


読者からも「ご注進、まちごーてるで!」と指摘があったと思うけど・・。あまりに恥ずかしいミスなので黙殺しているのかもしれない。いや、ネットに掲載されてから三日たつのに削除しないのはもう開き直りか。以下、記事全文とイラストの写真を参考までに。


巡航ミサイルで発射直後のミサイルを撃ち落とすと説明する間違ったイラスト。
トマホーク


以下引用(青色文字)・・・・

「敵基地攻撃能力」保有すべきか 「やられる前に」乱暴すぎない? 「百発百中」なんて無理    毎日新聞2017年8月30日 東京夕刊
https://mainichi.jp/articles/20170830/dde/012/010/011000c


 度重なる北朝鮮の弾道ミサイル発射に「何とかしなくては」と思うのは当然だが、一足飛びに「やられる前に--」という議論は乱暴過ぎないか。他国のミサイル発射基地などを攻撃する「敵基地攻撃能力」を日本は保有すべきなのか。【小林祥晃】
 
 
 「発射前にミサイルを無力化することが最も確実なミサイル防衛だ」。自民党の安全保障調査会などが今年3月、敵基地攻撃能力の保有を政府に求める提言書をまとめた。検討チーム座長として議論をリードした小野寺五典氏が8月の内閣改造で防衛相となり、今後の動向が注目される。

 敵基地攻撃とは何か。簡単に言うと、相手が攻撃の構えを見せた時、先に相手をたたくという考え方だ。初めて国会で議論されたのは、朝鮮戦争勃発から6年後の1956年。当時の鳩山一郎首相が「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」とした上で、「他に手段がない」場合に限り、敵基地攻撃は「自衛の範囲内」との政府統一見解を示した。この見解は別表のように政府答弁で言及されてきた。
 イラストのように、日本のミサイル防衛は敵国の弾道ミサイルをイージス艦搭載の「SM3」、地上に配備した「PAC3」の2段構えで迎撃する仕組みだ。これに加え、発射直後の上昇中のミサイルを撃ち落とせるよう「3段構え」にするのが今回の議論の狙いだ。「敵基地攻撃」とはいうものの、打ち上げ前に発射台ごとたたけば国際法が禁じる先制攻撃になる。表の石破茂氏の答弁のように「発射の兆候」をつかめば「自衛のため」と言えるが、近年は数時間かけて液体燃料を注入するミサイルは減り、時間をかけずに発射できる固体燃料ミサイルが増えた。そこで明確に「反撃」と言えるよう上昇中でもたたくことを目指すのが、積極派の主張だ。

 しかし、ジャーナリストの前田哲男さんは「『敵基地攻撃能力を持てば守れる』と考えるのは間違い」と話す。敵基地攻撃能力としてイージス艦に巡航ミサイル「トマホーク」などが導入されると推測した上で「ミサイルの撃墜は、ピストルの弾をピストルで撃ち落とすようなもの。百発百中は期待しがたい」と指摘する。

 「北朝鮮の軍事施設は衛星写真で丸見え」と考えがちだが、それも違うという。「弾道ミサイルの多くは移動式発射台から打ち上げられ、発射直前まで山間部や地下などに隠れることができる。潜水艦から打ち上げられたらお手上げです」。7月28日にはこれまで発射実績のない内陸部から深夜に打ち上げられ「日米の監視警戒システムが即座に対応できなかった」と分析する。地図に示した通り、発射地点は分散しており、事前に把握するのは容易ではない。

 防衛庁(現防衛省)官房長や内閣官房副長官補を歴任した柳沢協二さんも、敵基地攻撃能力の現実性に疑問を呈する。柳沢さんは日本が攻撃すれば、相手は残りのミサイルでさらに攻撃を仕掛けてくるとみる。「そうなれば戦争状態です。当然、何発かは国内に落ちる」

 その1発が核弾頭を搭載していたり、都市部に落ちたりすれば、多数の死傷者が出る。「つまり、敵基地攻撃能力の保有だけでは本当の安心にはなりません。抑止力を持つことで相手の恐怖心を高めたら、相手はそれを上回る力を持とうとするかもしれない。相手の受け止め方次第の、あやふやな『抑止力』に、国の命運を任せていいのか」

 憲法9条との関係はどうか。一橋大名誉教授の浦田一郎さん(憲法学)によると、56年に政府が統一見解を示した当時、自衛隊の海外派兵はできないというのが憲法解釈上の大前提だった。「例外」が他に自衛の手段がない場合の「敵基地攻撃」だ。当時の見解はそのまま妥当なのか。

 浦田さんが問題にするのは、集団的自衛権との関係だ。政府は2015年、安全保障法制を巡る国会論議で「自衛の範囲内」という見解は、集団的自衛権の行使にも当てはまるとした。つまり、米国などが攻撃されるケースでも、敵基地攻撃が可能になる。「これでは『必要最小限度の実力』という専守防衛の理念まで崩れていく恐れがあります」。また、積極派が引き合いに出す「座して自滅を待つのか」という論理について「北朝鮮問題の背景にある核軍縮や核不拡散の課題から、このフレーズが目をそらさせてしまう」と嘆く。

 では、現実的にどう対応すべきか。政治と自衛隊に詳しい山口大名誉教授の纐纈(こうけつ)厚さん(政治学)は「北朝鮮から見れば、圧倒的な軍事力で朝鮮半島の緊張を高めているのは米国です。在韓米軍や在日米軍の戦力を段階的に軽減すれば『脅威』は確実に弱まるのに、その議論が全くない」。

 纐纈さんは理想論を語っているのではない。「私の住む山口県の米軍岩国基地には海兵隊が展開しており、朝鮮半島有事では最初の出撃地となる。だから北朝鮮の最初の攻撃対象でもある。もし戦争となれば、現実的な恐怖です」

 敵基地攻撃能力の保有に向けて突き進めばどうなるのか。纐纈さんは「北朝鮮だけでなく、ロシアや中国、アジア諸国も警戒する。敵を増やし、緊張が高まって喜ぶのは米国の軍需産業です」。

 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は今月15日、「朝鮮半島での軍事行動は(米国でなく)韓国だけが決めることができる。政府は全てをかけて戦争だけは避ける」と演説した。

 前田さんは「日米安保条約にも事前協議制度があり、米国が日本から軍事行動を行う際は、日本政府の承認を得る必要があります。日本も戦争に歯止めをかけられるのです。安倍晋三首相に望むのは脅威をあおることではなく、こうした仕組みを国民に伝え、冷静な世論を喚起することです」。柳沢さんも「『日本として北朝鮮への先制攻撃はさせない』といったメッセージを出すことはできる」と提案する。

 やられる前に--。政治家がそんな発想から抜け出さない限り、平和はつくり出せない。


敵基地攻撃能力を巡る主な政府答弁

※肩書はいずれも当時

1956年 「誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられない」(鳩山一郎首相答弁を防衛庁長官が代読)

59年 「他に全然方法がないと認められる限り(中略)基地をたたくということは、法理的には自衛の範囲に含まれており、また可能である」(伊能繁次郎防衛庁長官)

99年 「我が国に現実に被害が発生していない時点にあっても、我が国として自衛権を発動し敵基地を攻撃することは法理的には可能」(野呂田芳成防衛庁長官)

2003年 「(ミサイルに)燃料を注入し始めて準備行為を始めた(中略)ような場合は(攻撃の)着手にあたる。法理上そのようなこと(基地を攻撃できること)になる」(石破茂防衛庁長官)

12年 「自衛隊の装備の在り方としては、敵基地攻撃を目的とした装備体系の保有は考えていない」(野田佳彦首相)


この間違い記事を見つけたきっかけは和田正宗氏の投稿文
http://blogos.com/article/243288/
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