閑人帳



●小沢一郎に似てきた橋本徹さん

 いろいろ事情があることは分かるけど、ここに来て橋下さんの迷走ぶりが激しい。支持者もうんざりしてしまいそう。政党を作っては壊し、作っては壊し・・は小沢サンの得意技であったけど、今や橋下さんがお株を奪ってしまった。逐一報道するメディアの皆さんも追っかけるのに息切れしそうなくらいめまぐるしい。


つい一週間前、「おおさか維新の会」を起ち上げると決めたとき、大阪以外の地方の議員も包括するということだった。これが軽率発想で、これじゃ、例えば福岡の候補者が選挙運動をするときは「福岡一区から立候補しました、おおさか維新の会の〇〇でございます」となる。こんなのアカンでせう。おっさん、なんのこっちゃねん、と言われかねない。
 こんなシンプルな配慮ミスがわかって急遽「日本維新の会」なる組織をつくり、大阪以外はここに収めることにした。カッコワル~~。


もちろん、これで落着ではなく「維新の党」との醜悪な権力争い、ゼニの分捕り合いは泥沼化して裁判沙汰になってしまった。老舗によくある、本家、分家の争いに似て、もはや政治理念なんかほったらかしで誹謗中傷合戦になりつつある。わざと敵をつくり、突破力、行動力をウリにして混乱を起こし、相手の油断、弱みに乗じて一気に結果を出そうとするから、円満和解の途はなくなった。今や敵役になった松野頼久さん、位負けしてやつれてしまったような・・。


こんなザマでも、一部のコアな維新支持者は離れることがないけど、うんざりしてる人も多いはず。そして、作っては壊し、の混乱はまだまだ続く。傍目には「政治ゴッコ」を楽しんでるようにも見える。もしや、ADHDでは?なんて、余計な想像をしてしまう。



橋下さん 




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読書と音楽の愉しみ



●何度見ても楽しい、日舞で踊る「ボレロ」

 以前にも同じ趣向の番組を紹介したけど、今回はオーケストラの生演奏と主演にバレリーナの吉田都を配してのニューバージョン。吉田は「アマテラス」という役柄で踊ります。日本舞踊は花柳流や藤間流の若手(一部はおじさんも)連中による群舞です。演奏は東京フィルハーモニー。


ふだんは、三味線や琴の伴奏で、摺り足で踊る面々が洋楽のリズムに合わせて踊るのだから、練習の大変さが想像できます。しかし、ダンスは見事なもので、拍手喝采の成果をおさめました。
 日舞をオーケストラの伴奏で踊るというのが企画の趣旨で、他にも数曲が披露されたけど、客席の評価はこの「ボレロ」がダントツで一番。なんべん見ても、聴いても楽しいダシモノです。(10月30日 Eテレ)


おなじみの曲はこちら・・・(デュトワ・N響)
https://www.youtube.com/watch?v=ssIemc6ob5U



序奏部
ボレロ 


ボレロ
 


フィナーレ
ボレロ 






たまには外メシ



●奈良「杉幸園(さんこうえん)」のカレーランチ

 奈良市高畑の「旧志賀直哉邸」の筋向かいにある、民家を改装した店。メニューはカレーランチのみ。(真向かいの家では、予約で和風の食事を供してる)奈良駅から奈良町を通ってここで昼食にし、午後は裏手の原生林を抜けて(通称ささやきの小径)春日大社から奈良公園を抜けて奈良駅へ、というコースは、ウオーキングも食事も楽しめるお勧めコースです。バスもあるので、歩きの省略も可。


客の9割は女性なので、カレーランチといっても写真のような「おばさんウケ」狙いのレシピにならざるを得ないらしい。デザートには「ぜんざい」というチョイスがあって、正直、タマランのであります。カレーのあとにぜんざい・・脳内錯乱しそう。
 しかし、カレー自体はミーハーな外見にしては美味しい。お値段は、サラダ、カレー、デザート、ドリンク、合計で1500円。観光地にしてはリーズナブルな価格です。午後1時を過ぎると、お向かいで食事したオバサン連中がドドドと繰り込み、静かな店が喧噪の場になります。


静かな住宅街の奥にあります。
カレー



玄関
カレー



カレー
カレーランチ



デザート
かれー



帰りに奈良公園を散歩。一部に紅葉も見られます。
カレー






閑人帳



●疑わしきは罰せず。されど・・・。

 東住吉・放火殺人事件は20年を経て、二名の被告人は無罪になることがほぼ確かになった。不当な判決のために20年ものあいだ刑務所に収監されていた。弁護団や支援者のグループも努力の甲斐があったと喜んでいる。マスコミ報道の概要はこのようなものです。
 事件に関係の無い一般市民は20年前の事件の詳細を覚えていないから、二人の疑いが晴れて釈放されることに何ほどの違和感もない。マスコミも20年前の事件ゆえ、当時の詳しいいきさつは報じず、今回の結果だけを大きく伝える。なんだか美談、感動物語ふうの記事さえある。


ネット上に大阪地方裁判所が発した「再審通知書」の全文があるので読んで見た。今回の結果を招いた、有罪→無罪を判断した理由書である。全56頁、とても時間がかかるけど、興味ある人は読んで見て下さい。4頁と8頁には、新聞、テレビでは全く報道していない重大な事案が記されている。これを読めば、被疑者(男)は、たとえ放火事件が無罪であっても、鬼畜と言われても仕方の無い人物であることが分かる。


大阪地裁 再審開始決定書(平成24年)削除の場合あり。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/346/082346_hanrei.pdf


放火殺人 





閑人帳



●鳥越ゆり子絵画展 ご案内

11月17日(火)~23日(月・祝)
ギャラリー「いちかわ」にて (11時~18時 )
京都河原町通り 高島屋の南5分、東側
電話 075-351-7267

ゆり子

ゆり子 






ウオーキング・観光



●「さかい利晶の杜」を見学

 ミュージアム巡りが好きなのに、開館から半年以上経ってようやく訪ねたのは展示内容に期待していないから。千利休と与謝野晶子がメインだから「利晶」でありますが、予想通り、展示物は複製品がほとんどで、鑑賞価値のある文化財はありません。ゆえに、館内の写真撮影は一部を除いてOKです。でも、展示自体はコンパクトに分かりやすくレイアウトされていて、二人の大先達の業績を知るには十分です。


それにしても、文化、観光振興にぜんぜんチカラを入れてこなかった堺市が粗末な施策を反省?し、ようやく積極的になったという感じです。
 堺市の文化無策は広大な埋め立て地にコンビナートを建設したときから続き、いわば、カネカネキンコ的な工業都市に甘んじて、街作りや歴史、文化の発掘振興には知らん顔した時代が何十年も続いた。堺出身の文化人がかいもくいないのも寂しい。与謝野晶子以後、どんな人が名を馳せたのか、なんだか心許ない。


ともあれ、ようやく観光の拠点が出来ました。ここと仁徳御陵(大仙公園)を結ぶループバスもできたので、観光振興に貢献すると思います。願わくば、仁徳陵を見下ろす展望タワーが出来ればいいけど、宮内庁から「あかん」と言われそう。(観光効果大だと思いますが)


関空を往来する外国人観光客もたくさん訪れてほしい。と、書いて、いや、外国人に対して、ウリが利休と晶子じゃ無理かなあと、たちまち弱気になったりします。むしろ、阪神難波線を生かして、阪神間の人を誘致するほうが良いかもしれない。あと、チンチン電車とのタイアップを積極的にやったらどうか。(既にやってたらゴメンナサイです。不詳)


「さかい利晶の杜」HP
http://www.sakai-rishonomori.com/ 


外観。手前はスターバックス。
さかい


玄関ロビー
堺 


江戸時代の日本、東アジア地図。北海道はしっかり認知されてなかった。

堺 


与謝野晶子が愛用した鏡台
堺


晶子の生家、駿河屋の帳場を再現
堺 


千利休の屋敷跡(ミュージアムの東隣)
堺






読書と音楽の愉しみ



●朝井まかて著「すかたん」を読む

 先月の某日、中央図書館へ行くと、たまたま朝井氏の講演会があったので聴講しました。終了後に著書の頒布があり、サイン会もするというので、つい列に並んで買ったのがこの本。著者は大阪出身の作家、昨年「恋歌」で直木賞を受賞しています。50代半ばのスリムなおばさんです。


内容は時代小説。知里という江戸育ちの女性が縁あって大阪で暮らし、天満の青物市場の大店で女中奉公するうちに主の若旦那に見そめられ・・という、何と言うことのない筋書きであります。
 基本的には恋愛モノなのですが、青物店が舞台だから、食べ物の話がいっぱい出てくる。種類だけでなく、レシピ(江戸時代の)や味わい方まで、それはもうぎょうさん登場するのであります。さらに、ヒロインは、あの「田辺大根」の再発見者という設定になっていて、これは小説ならではのオマケでありませう。


登場する土地が、天満、船場、難波、天王寺、田辺あたりで、これらの描写をええ加減にすると、駄目男のようなイケズにすぐ「それ、ちゃうやろ」といちゃもんつけられるから、距離感や徒歩時間まで無難に書いています。というか、著者は地図好きでもあるらしい。でも、自分の知ってる町が舞台の物語というだけで親近感が湧くものです。もし、これが江戸の町で、かつ、旧地名で説明されたら皆目興味が持てないでせう。


読み終わって、ひとつ「!?」が湧きましたね。この作品、もしや、テレビの「連ドラ」採用を狙ってるのではないかと。中身からしてNHKの朝の連ドラです。大阪放送局の制作にはとてもなじみやすい内容であること、しかし、ヒロインは江戸育ちなので東京の視聴率も稼げます。 そう考えると、著者の下心は相当なもんだ、きっとドラマ化狙いだと勝手に合点してしまうのでありました。嗚呼、それなのに・・ 駄目男は今までNHKの連ドラなんぞ一度も見たことがない。なのに、よくもこんなことが言えたもんだ。マッタク。( 2014年5月 講談社発行) 


すかたん




閑人帳

●劇場の舞台裏風景を見学

 本格的な仕込みのできる舞台の裏側って、どんな風景? 興味があったけど、観客の出入りは御法度の空間です。しかし、待てば海路の日和ありで、10月24日、西宮の兵庫芸術文化センターは開館10周年を記念して「オープンデイ」とし、誰でも見学できる、粋なサービスを提供しました。


3ホールのうち、見学したのは阪急ホール(中ホール)。定員800名の標準的な演劇ホールです。演出家やスタッフから大まかな説明があり、幕やバトンの使い方、照明の工夫などの説明がありました。
 舞台裏風景は、見学に備えて整理整頓されてましたが、それでも「雑然」とした風景は写真の通りです。上演時は多くの大道具、小道具が持ち込まれるため、また、当然、舞台裏は照明を落としているので、出演者は道具類にぶつかったり、つまづいたりする危険があります。


歌舞伎でよく使われる浅葱幕(あさぎまく)の仕組みについての説明もあり、メカは単純で、長いバーに5センチ?ほどのピンを等間隔で生やし、幕を引っかけておく。このバーを半回転すると一気に落ちます。なるほど。この浅葱幕のアイデアって日本独特のものかも知れないが、劇的な場面転換には効果大です。

浅葱幕が落ちる瞬間(国立劇場)
舞台 


演出家やスタッフが言うに、舞台裏の仕事は、今でも基本はアナログ感覚、そして、かなりきつい肉体労働だそうです。電動モーターで操作できないところは全て手作業、かつ、スピードと機敏さが必要な作業です。そして、チームワークに徹しないと勤まらない。全てのスタッフが「好きでやってる」のでせうが、難儀な演出や気ぜわしい日程では相当きつい仕事もありそうです。サラリーマン精神ではアウトですね。


歌舞伎やオペラのチケット代は非日常的感覚の高額で、普及を阻む要因になってますが、あの晴れやかな舞台の陰で、どれだけ多くの人が地道に切磋琢磨しながら公演を支えているかを知ると、あんまり文句言えないナ、という気にもなります。芝居に限らず、文化を育て、維持するには金も手間もかかります。


「不思議の国のアリス」の寸劇で舞台の仕掛けを説明します。
舞台


舞台裏の空間は、観客が見る舞台空間の数倍の容積があります。
舞台


精一杯片付けてもこんな感じ。
舞台裏


奈落は位置が固定されてる劇場が多いけど、当劇場の舞台は鉄骨のフレームに90×180センチのパネルをはめ込んでるだけなので、どこにでも奈落を設けることができる。底まで270センチ。
舞台


物好きな見物客が大勢いました。
舞台


音楽ライブに使う客席後方のミキサー卓。このホールのスピーカー出力は合計3000Wくらいという。ラジカセなら3W,家庭用オーディオで30Wくらいなので、ケタ違いに大きい。
舞台 


ロビーではミニコンサートのサービスがありました。
舞台 





閑人帳



●これが英国流「おもてなし」?

 下の写真を見たとき、これも悪意に満ちた捏造、またはパロディかと勘ぐってしまった。本当にこんな場面があったのだろうか。国賓として英国を訪問した習近平の晴れがましい演説シーンでありますが・・。


エリザベス女王と金ぴかの馬車に同乗したりと最高のもてなしを受けたのに、演説では隣のアンドリュー王子が「おっさん、はよ終わらんかい」な失礼極まる仕草、左端のアラブのおじさんは居眠りしている。こんなの、日本ではあり得ないシーンでせう。わずか27分のスピーチだから、話の中身がしょーもないものでも我慢するのが礼儀であります。金ピカパレードとの落差がひどすぎる。これじゃ、もてなしの精神ゼロではありませんか。


今回の訪問を機に、英国と中国は総額7兆円に及ぶビジネスをまとめた。中国製の原発もつくるというのだから、英国人よ、気は確かか?と問いたくなるくらいです。よほど売り込みが上手かったのでせう。 当然、反発も強い。中国と仲よしなのは政権と経済界だけで、議会や一般国民はアンチ中国派のほうが多いような気がする。人権問題では中国の姿勢に共感する人なんかゼロに近いでせう。


先に訪問した米国では、冷ややかな扱いをうけ、しょんぼり帰国した。国連での演説でもホールはガラ空きだった。そして、満を持して乗り込んだ英国でこのザマ、であります。北京での軍事パレードでの憂鬱な顔つきをそのまま引きずってるように、傍目には見える。もし、この演説シーンをビデオで見たらうつ病になってしまいそう。


世界でナンバー2の権力者なのに、これほど人望の無いトップは珍しい。隣国のインドのモディ首相の世評と比べても明快に負けている。権力の大きさは100点でも、人間的魅力は0点。この不人気は自己責任ですからね。


韓国の「東亜日報」がイヤミたらたらの記事を書いている。読めば、キンペーさんに同情したくなるほどの嫌われようだ。議会の演説で一度も拍手をしなかったなんて、イヤミを通り越して侮辱ではありませんか。

韓国「東亜日報」記事
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2015102251328


キンペイ


キンペイ 






犬町・猫町情報


private

            11月号表紙 by ぽんさん


11月号表紙 


        天高く馬も肥ゆるし 私(モグラ)も肥ゆる



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●11月例会 ご案内  

天野街道から狭山池へ

◆11月3日(火)文化の日 (雨天中止) 
午前10時30分 南海高野線千代田駅集合

2008年4月例会で実施されたコースです。堺市と大阪狭山市の市境、ニュータウンのすぐ近くだとは思えない、静かな道は健在です。歩行距離約10キロ、きつい坂はありません。

*昼食の場所が狭くて他の団体さんと一緒になると座るところがなくなりますので、昼食時間をずらすため出発時間を少し遅くしました。

*天野街道の終点岩室観音院近くに金剛駅行のバス停があります(1時間に2本あり)
 (藤家、石田、小林)

ウオーキング・観光



●スリル満点!  Z.A.Nさんの「自撮り 妙義山登山」

 毎日のように「快道ウオーキング」を訪問頂いている、Z.A.Nさんの痛快登山記録をご覧下さい。自撮り、というのが新鮮で、ヘルメットに付けたカメラで周辺の景色を、さらに背中に付けた長いポール上のカメラで本人の動きを撮影しています。(写真参照)ということは、本人は手でカメラを構える場面がナシでの撮影になります。このため、両手はハシゴや鎖を使う場面でフルに使える。岩登りで自撮りするにはこれしか方法がないだろうと納得してしまう「自撮り登山テク」です。


撮影場所は、妙義山でも一番険しいと言われる「鷹返し」という岩場。ビデオを見ると、まるで自分も岩登りしてるみたいなリアルさがあって楽しいけれど、ご本人は常にカメラアングルを意識しての登りになる。意図通りに撮れてなければ登り直しです。(6回も登り直した!)
 帰宅してからの編集作業も大変でせう。しかし、苦労の甲斐あってとても楽しい作品になりました。バックの音楽も誂えたように良くマッチしています。

地球をバックにした宇宙遊泳の場面の趣がある動画
ぜひ、フルサイズでご覧下さい。
http://asitakangaeru.blog.fc2.com/blog-entry-256.html


2台のカメラを使い、こういう仕掛けで撮影した。
妙義 


このポールの先にカメラをつけて真下を撮影すると上の写真になる。
妙技


妙義山(フリー画像から引用)
妙義


こんなハードワークの連続(同)
妙義山




ウオーキング・観光



●評判通り面白い・・小林市の移住CM

 ヨソ者には分かりにくい方言を逆手にとった宮崎県小林市の移住CMが150万超のアクセスで人気を得ています。フランス人が登場して小林市の美しい自然の映像をバックに宣伝するのですが、日本人向けのCMなのに、なんでフランス語でしゃべるのかと誰しも訝る。
 実は、ご当地の方言なのでした。ホンマか?・・で、視聴者はついもう一度見直す(聴き直す)ことになり、よってアクセスカウントが増えるのであります。このアイデアを思いついた人、エライ!

宮崎県小林市 移住促進PRムービー "ンダモシタン小林"
https://www.youtube.com/watch?v=jrAS3MDxCeA


小林市生駒高原のコスモス畑
小林市 






閑人帳



●B級骨董マニアの悲哀 ~開運なんでも鑑定団~

 骨董品鑑定の基本のキは「一流品で目を養うこと」であります。これは美術や音楽、文学などアートの鑑賞全般にも言えると思います。

 10月20日の「なんでも鑑定団」に出演した、自称骨董ファンのおじさんの悲劇は、これを怠ったから起きた。60代のオジサンは骨董収集歴20年という、自称「目利き」ですが、高価なものを買うゆとりがないので、収集は「5万円以内」のものに限るとして購入していた。


しかし、定年後のあるとき、知り合いの骨董店主から「高価な名品をよりどり一つ百万円でお分けする」と持ちかけられた。このセールス文句からして怪しいのに、店に出かけて「名品」を見たおじさんは、その品々にぞっこん惚れ込んでしまった。そして、中国、朝鮮の古い陶磁器4点を400万円で購入した。その資金は虎の子の退職金で、本来は400万くらいの、上等のマイカーを買うつもりでいた。


おじさんは、文化財級の名品を安く買ったと自己満足し、自慢半分で「鑑定団」番組に出演を申し込んだ。そして、おなじみ、中島誠之助氏が鑑定した結果・・4点で4千円だった。ガチョーン!(ふる~)おじさんがどれだけ傷ついたか、顔に表れていた。自慢するつもりで出演したのに、大恥をかいた。頭、真っ白になったでせう。


趣味の世界だから、ひとつ5万円内の予算でコレクションするというポリシーは悪くない。しかし、この世界に浸っていては「高価で一流品」に接する場面が少ない。おじさんにとっては、一流品であるかどうかより、買えるかどうかが判断基準になってしまっていたのだろう。これでは肝心の審美眼は育たない。だから「唐三彩」というブランドで見せられるだけでコロリと騙されてしまう。出品された4点は、テレビ画面で見ただけでもインチキとわかる代物だったが、おじさんには一級の文化財に見えてしまった。悔しさ、恥ずかしさ、いかばかりか。もし、親戚や友人に出演することを伝えていたら・・汗が噴き出しそう。会場にいた奥さんの落胆ぶりも気の毒なくらいだった。


怪しげな壺を10万円で買うより、その金で美術展めぐりしたほうが余程楽しい、と自分は考えるけど、そんな言い分は収集家には説得力を持たない。一流品を鑑賞するより、二流品を所有するほうが好きだと言われたら、単なる好みの違いなので、他人はとやかく言うべきではない。


そもそも彼らの「見る目の無さ」がこの番組の人気を下支えしている。一流の目を養え、なんてマッタク余計なお節介であります。達人、目利きばかり登場したら視聴率はガタ落ちになること必定であります。


鑑定団



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●宍粟市の湧き水と温泉  ~F~

 おなじみFさんの名水めぐり、今回は兵庫県宍粟市の探訪記です。

旅の雑誌をパラパラ捲っていたら偶然「一ノ宮町の名水7選」目に留まり3人で出かけてみることにしました。宍粟市は兵庫県の中西部、大阪から約120km、西は岡山県、北は氷ノ山から鳥取県に接しています。海抜は500~1,000m、市域の大部分を山林が占めていることから、林業が主産業になっています。


自宅を午前7時出発。宝塚の渋滞も無く山崎で中国道をおり国道29号線を北上します。周囲の山は杉、杉、杉。伐採後の丸太積んだ車が対向車線に多くあれが崩れ落ちたらとヒヤヒヤしながら9時に一ノ宮町「伊和神社」向かいの「道の駅播磨いちのみや」に到着。


特産品を物色しながら地元のおっちゃんとの話で「フォレストステーション波賀」を紹介されました。標高約800mフォレストステーション波賀にある「東山名水」は、ラドンの含有量が高く東山温泉にも使われています。コインステーションで20リットル100円、隣に東山名水を使った喫茶で美味しいコーヒータイム。 メイプルプラザ内ラドン温泉露天風呂で山の自然を楽しみ、昼食となりました。


フォレストステーション波賀はキャンプ場や宿泊施設を備えています。標高約800mから1,000既に黄葉が始まっていました。立ち寄り湯「まほろばの湯」は一宮町三方町家原に有ります。2億年以上前、海水が閉じ込められてできた珍しい山間の食塩泉。お湯は「等張性」といって、塩分濃度がほぼ体液の浸透圧に等しい全国でも珍しい温泉だそうです。美人の湯なので女人2に任せ私は家原遺跡公園内を散策。昔の農家、家具や農具が陳列されています。


 思わぬ道草で時間が足りなくなり後2箇所を回ることにしました。福知渓谷にある「文殊の水」は氏神早玉神社の知恵を授ける神、文殊菩薩が祭ってあることから文殊の水と名付けられ、慈悲、知恵、健康に御利益があると言われています。福知の文殊菩薩は天禄元年、天橋立からお迎えして福知の氏神、早玉神社にお祭りしてあります。文殊の水は山の斜面より湧き出た地下水です。人気の高い水汲み場で、先客が4~5人居られました。

「延命水」は『伊和の行者のこもり堂』の境内にあり、御手洗いの水としても使われる霊水で、伊和三山の一つ白倉山の霊山の中腹から湧出しています。不純物がなくミネラル分を多く含み、「寿命が延びる水」として多くの方に重宝がられています延命水の隣には「行者の水」が有りどちらも同じ水質。

最初に立ち寄った「道の駅播磨いちのみや」で特産品を入手し、帰路に。覚悟していた通り宝塚手前20kmくらいから渋滞に巻き込まれ予定の帰着時刻をオーバーしましたが、メニュー一杯の充実した一日でした。

 入手したお酒の蔵元下村酒造は「手造りに秀でる技はなし」の家訓を守り少量生産であり中々手に入り難いお酒です。今回の「奥播磨 播秋生」は、まったりと甘く骨太の感じがします。


波賀フォレストステーション
名水


ランチタイム
名水 


まほろばの湯
名水


文殊の水
名水


延命水
名水


下村酒造手作り「奥播磨 播秋生」
名水 



ウオーキング・観光



●旅行以上、移住未満・・「試住」はいかが?

 先日、このブログで「京町家deわんぱく」(わんぱく=one泊)という記事を書きました。民家をレンタルして泊まることですが、このアイデアを時間的に拡大したのが「試住」です。


いろいろなタイプの試住が考えられるけど、気に入った旅行先で長期に滞在する場合、ホテルではえらく費用がかさむので、衣類など、少しだけ身の回りの品物を携え、民家を借りて仮住まいします。一日いくら、と家賃的感覚で費用を払って暮らすのです。これなら、ホテル暮らしや別荘を構えるのに比べ、うんと安い費用で滞在できます。最低、半月くらいが適当かと思いますが、真夏の2ヶ月を涼しい土地で暮らすという、避暑生活も可能です。民家にはキッチンや家電、少しの収納家具が用意されています。


「移住」となると、人生の一大事ですから、ものすごく真剣な対処が必要になりますが「試住」ならうんとイージーに考えられます。受け入れる自治体だって「無人の民宿」感覚で提供すればよいので、観光振興の一つとして企画できます。一日3000~4000円くらいの家賃ならウケるのではないか。


京都にもこのようなレンタルハウスがあるのでは、とネットで探してみたけど、上手く探せなかった。都会で格安で提供するのは難しい事情もあるでせう。しかし、需要はあるので、今後、提供者がでてくるのではないか。お正月は京都暮らし・・なんて、粋だと思いますよ。 先日は、どこかのTV局で北海道の「試住」を紹介してました。


京都の「エコハウス」一日4100円。
http://www.eonet.ne.jp/~kyoto-ecohouse/

全室が長期滞在用に設計された、ニセコのホテル(コンドミニアム)での半月、一ヶ月のステイプラン
http://oneniseko.com/room-rate/long-stay

自然満喫、ニセコぐらしのイメージ
niseko 


niseko




犬町・猫町情報



private

◆お知らせ・・・・・

11月例会は、11月3日(祝日)に実施します。行き先は泉北方面の予定です。プランは近日中にお知らせします。


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●10月例会レポート

秋色の「山辺の道」を歩く  ~担当 Tマサさん~

 絶好の行楽日和りに恵まれ、例会としては7年ぶりに「山辺の道」の一部を歩きました。実りの季節とあって道ばたには野菜や果物を売る店も多く、皆さん、リュックを満タンにして歩きました。昼食は、三輪そうめんの大手メーカー「山本」直営の「三輪茶屋」で。平日なので混雑はなく、ゆっくりと食することができました。(10月16日 JR柳本駅~JR桜井駅7km)


10月例会 山辺の道 


崇神天皇陵~景行天皇陵付近の野道風景
10月


10月 


10月 


「山本」のショールーム
10月


ランチメニュー「古都」 にゅうめん、柿の葉寿司、デザートで1080円。
10月


道中で買ったもの。ピーマン大小約20個、100円、柿3個100円、大粒の枝豆 約500g 280円 ナリ。
10月





閑人帳



●「魔王」のおすそ分け

 Fさんからペットボトル入りの「魔王」を頂戴しました。有り難うございます。自分の甲斐性では決して買えない、高価な焼酎であります。ちょこっと口にしたところ、なんだか「黒霧島」に似てるような・・。こちらはだれでも買える銘柄です。
 晩メシのとき、ロックで飲み比べてみた。正直、味の違いを言葉にするのは難しい。魔王のほうがやや洗練されてると言うか、香りが優れているというか。これが都会人、女性の嗜好に合ったから人気が出たのかもしれない。正直言って、ブラインドテストで両方飲んだら、間違いそうな気がする。ま、自称「下戸」がこんなこと書いても信用されないでせうが。


「魔王」は高価かつ入手難だから、マルビ人間には縁遠いというのが世間の通説であります。本当に高価なのか? 調べてみました。
 定価なら意外に安いのです。1,8L瓶で3,240円。720ml瓶なら1,730円。日本酒の原酒や吟醸酒なら普通の値段といえるでせう。


では、実売価格は?というと、1,8L瓶で1万円~となります。定価の3倍以上です。このプレミアムは何ゆえか。むろん、供給に対して需要が多すぎるからです。魔王の地元の販売店は、他府県のユーザーにも定価で販売しています。この定価販売が過大な需要を生む。即ち、ブローカーが転売目的で多数注文する。もともと生産量が少ないから、メーカーは出荷できず、納品は一年後なんてのが普通らしい。ゆえに希少価値が益々高まって、高価でも売れる。酒場にすれば、高価で仕入れたのだから当然、客にも高く売る。で、マルビ客は飲みたくても飲めない酒になります。


特別に高品質だから高いというわけではないのです。さらに、人気が高いから、メーカーが儲かるというのでもない。あくまでも需要と供給の問題です。すでに焼酎ブームが下り坂の現在、需要に合わせて設備投資をしないメーカーの姿勢は賢明だと思います。
 同じ事はウイスキーでも起きていて、「竹鶴」の17年、21年は在庫払底状態で、仕入れられない店が増えています。無ければよけい欲しくなるのが人情ですが、他にも美味しい酒はいっぱいある。無視すれば良いのです。・・と、自称「下戸」が書くのもなんだかなあ・・。


参考情報
http://ee26.com/maoh.html


魔王と黒霧島
魔王




大阪日暮綴



●川島恵美子 作品展

 川島先生、御年90歳になって、さすがに大作を手がけることはなくなり、今回の作品展は過去の海外の風景画が中心になっています。
 訪問客の多くは老人ですが、たまたま居合わせた、先生の友人のお婆さんは93歳 、なんと、西宮市名塩の旧村落から、港区朝潮橋の会場まで一人でお出になりました。さらに一人暮らしというから、どんだけシッカリしてるねん、と感心します。(近所に娘さん家族が住んでるので安心とか)。寝たきり、介護、認知症、といった言葉が全く似合わない明るい振る舞いにこちらがタジタジでありました。


リスクの大きい一人暮らしを続けてるのは、寝たきりや要介護になって、家族や国に負担をかけたくないゆえの意地っ張りであって、善意や福祉制度に甘えたくないと。むろん、淋しさや不安を我慢しての意地っ張りではないので、毎日、楽しく暮らしてるそうです。エライ!。

 ニュースによれば、80歳超の老人が1000万人を越えたそうで、大人の10人に一人が80歳という時代になりました。(10月15日)


亜拉神山(ヤラ山)2点
中国・四川省の奥地にそびえる山(5820m)地元に多いチベット人の聖地。
川島 


川島


手前が90歳の川島恵美子さん、隣が93歳のSさん。
川島





閑人帳



●芥川賞「火花」又吉直樹さんの印税収入3億円

 Eテレ「オイコノミア」は世間万事を「経済学」の視点で考える番組であるらしい(不詳)。今回は、番組のMCで作家、又吉直樹氏と西加奈子(直木賞作家)経済学者、大竹文雄センセの登場で出版とカネ(経済学)の関係についての話でした。


冒頭は「火花」が大ヒットして、又吉センセはなんぼ儲かるのかという話。定価1290円。これが8月末時点で239万部出た。売上げは約30億円。作家の収入になる印税は10%なので、又吉さんは3億円の収入・・ドヒャーであります。現在はさらに部数が伸びてると思われるので、税金を払っても手取りで3億になるでせう。(原稿料は別)芥川賞の賞金、百万円なんかもうハナクソほどのボリュウムしかありません。


西さんは、又吉さんのお人好しな性格を心配して「早いこと、不動産購入とかして財産を守ったほうがええよ」みたいなご注進を述べていましたが、その通りかも知れない。芸能界に身を置いていたら、あの手この手の「たかり」は普通に起きる。・・にしても、預金通帳に「億」の金額が記されてるって、どんな気分?。


NHK 


ジリ貧を続ける出版業界と書店数
NHK


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●ドナルド・キーン氏の卓見

 NHKスペシャル
「私が愛する日本人へ ~ドナルド・キーン 文豪との70年~」を見て

 一年ほど前、苦労して、キーン氏の「百代の過客」(はくたいのかかく)を読んだ。それだけで親近感を覚えてこの番組を観た。キーン先生、ただ今93歳、まだ日本文学研究の現役であります。センセ、なんぼ長生きしたら気が済みますねん。楽々100歳まで生きそうな気がします。


戦時中の兵役体験のなかで、情報収集の仕事から日本人に興味をもち、日本人、日本文化探求にのめりこんでしまった。いまや日本文化に詳しいどころではない。日本の一流文学者を凌ぐような文学通であります。
 若いときから真摯な態度で研究に取り組んできた成果の一つとして、スエーデンのノーベル賞選考委員会から「文学賞候補推薦に値する作家はいるか」の問い合わせがあった。キーン氏は塾考のうえ、三人を推薦した。

1・谷崎潤一郎  2・川端康成  3・三島由紀夫 の順。

1960年代の文壇を俯瞰しての判断としては、すごく真っ当だと思います。日本国民としては誰も文句を言えない。卓見というしかない。人選だけでなく、ランキングでも大方の人は納得できると思います。三人の作品をしっかり読み込み、本人との交流もあり、しかし、各人に対して何の義理もない。こんな中立的立場で三人を評価できる日本の文学者、文壇関係者はいたでせうか。


で、第一候補は谷崎潤一郎でありました。しかし、キーン氏の推薦後、保留期間があったのが不運だった。1965年、谷崎は亡くなってしまう。そして、1968年、川端康成が選ばれた。むろん、キーン氏が推薦したから選ばれた、というのではないにしても、相応の影響力はあったと思います。当時、キーン氏はまだ40歳代の若手研究者だったことを考えると、やはりエライ先生であります。


この番組、ナビゲーターとして俳優の渡辺謙が出、キーン氏と対談する場面もあったが、なんで人気俳優が出るのか。作る側は「視聴率稼ぎのため」という明快な理由があるにせよ、そもそもミーハー番組に仕立てる必要があるのか。二人の対話はあらかじめ用意されたセリフで、NHK得意の予定調和的な流れになり、見る方がシラケそうになる。キーン氏にはもっと自由にしゃべらせて、Eテレで放送したほうが中身の濃い番組になったと思います。(10月10日放送)


NHK

NHK





犬町・猫町情報



●京町家 de わんぱく  ~レポート(3)~

9日は、疎水べりの庭園「無鄰菴」を見物、白川沿いを歩いて祗園の「琢磨」で昼食。午後は近代美術館へ戻って「琳派のイメージ展」を鑑賞しました。(他の皆さんは重森三玲美術館へ)


 今年は「琳派400年」とやらで、本場の京都では、近代美術館、国立博物館、細見美術館などで記念展が開催されています。宗達、光悦、光琳などを祖にする斬新な発想の作品の価値をあらためて見直す機会になります。宗達の「風神雷神図」や光琳の「杜若屏風図」などは、現在に至るまで、模写やリデザインが試みられており、いかに魅力あるテーマ、表現だったかが分かります。関連展示作品のなかでは、川合玉堂の「紅梅図」が一番のお気に入りでした。他に、明治~昭和にかけて活躍した神坂雪佳の絵やクラフト作品が多く、印象に残りました。


無鄰菴
わん9



祗園「琢磨」
わん9


ランチメニューの一部
わん9 

わん9 

わん9


「琢磨」を白川対岸から見ると和風木造建物にしか見えないが、実は無骨な鉄筋コンクリート造り。川に面した部分だけ和風の造作で化粧している。
わん9 


国立近代美術館 4階ロビーからの眺め
わんぱく9



尾形光琳「杜若屏風図」の一部(根津美術館所蔵)
わんぱく9






犬町・猫町情報



●京町家 de わんぱく  ~レポート(2)~

日本写真印刷(株)印刷歴史館見学

 8日の昼過ぎに訪ねたのは「日本写真印刷(株)」という大手の印刷業者。阪急四条大宮の西1キロほどにある、一部上場企業です。Yさんに予約して頂いて、本社の歴史資料館などで印刷の歴史や当社が現在手がけている製品のあらましを説明してもらいました。


玄関と歴史館全景。当初は紡績会社の事務所だった。(1906年築)
にっしゃ 


美術館のような雰囲気がある。
にっしゃ 


歴史館内部は撮影禁止なので、以下の写真は同社の文化振興財団のHPから引用しています。
http://www.ameet.jp/digital-archives/digital-archives_20140911/#page_tabs=5


世界最古の量産印刷物は日本でつくられた。奈良時代、孝謙天皇が作らせた経典の一部「無垢浄光陀羅尼経」で、木版、又は銅版で100万部制作。タワー型の容器(木製)に収めた。
にっしゃ 


グーテンベルグ印刷機の復元品。原板を紙に均等な圧力で押しつけるメカは、ぶどう汁絞り機械を
参考にしている。
にっしゃ 


グーテンベルグ印刷機による最初の印刷物はラテン語の聖書だった。180部印刷されたが、現在は48冊が世界各国で保存。日本では慶応大学の図書館に一部ある。競売で買った価格は7億8000万円。
にっしゃ 


現在でも使える、ハイデルベルグ社の印刷機。まるで鉄の塊みたいな機械。
にっしゃ 



印刷というと書籍やポスターを思い浮かべますが、当社やDNP、凸版印刷と言った大手は、売上げの過半をハイテク製品で賄っています。当社でいえば、集積回路の基板やケータイの筐体、車のパーツなどが主力です。乗用車のダッシュボードやフロントグリルの一部など、金型製作から請け負っており、もう「印刷会社」のイメージからはみだしている。逆に言えば、紙の印刷だけではメシが食えないということです。


これから増える仕事の一つは、文化財のコピーです。劣化が進む絵画や屏風などを1億画素のカメラで分割撮影し、材質やテクスチュアまでそっくり再現する。素人には見分けがつかない「そっくりさん」をつくって展覧会などに使います。一昨年、盛岡の美術館で見た若冲の屏風のそっくりさんは、10センチまで近づいて目を凝らしてもニセと識別できないくらいの精密さで驚いたものです。今後、神社仏閣などでの公開においては「そっくりさん」が多用されます。


見学を終えて、六角堂を見物、スーパー「YAOICHI」屋上のカフェでティータイム。食料を仕入れ、錦小路を経て「ももはな庵」へ。


犬町・猫町情報



●京町家 de わんぱく (わん=one泊)~レポート(1)~

 京都中心部の古い町家を改装して、一日一組、貸切の宿にしているのが「町家レジデンス」というオーナー(運営会社)。ホテルや旅館ではなく、無人の民家に泊まるというのが新鮮で、なかなか人気があって、曜日によっては2ヶ月くらい先まで予約で埋まってるらしい。


オーナーと宿泊客は一回も顔を合わせることがない。これは新鮮な体験でせう。というか、そんな、人的サービスがゼロの宿泊を経験した人は皆無だから、真っ平ごめんという人のほうが多いでせう。宿泊代金は先払い。当日は地図を頼りに自分で宿を探す。玄関錠はオーナーから知らされた暗証番号を入力して入る。食事の提供はないから、自分で用意するか、レストランや酒場で済ます。今回は途中のスーパーで弁当を買って入りました。


今回利用した「ももはな庵」は四条通から富小路を数百m下がったところにあるのですが、間口が1,2mほどの京都らしい路地を40m入った突き当たりにあります。世話役のYさんが下見してくれたおかげで難なく到着しましたが、さもなくばウロウロしたかも知れません。


建物は戦前築の木造民家を一千万くらい?かけて解体寸前の状態からリフォームしたものです。インテリアの趣は「和」そのものですが、利用者には外国人も多いことから、トイレなどの設備は今ふうの「洋」感覚で設計しています。冷蔵庫や電磁調理器、トースターなどの家電と調理器具、食器が用意されてるので、簡単なメニューなら自炊できます。洗濯機もあるから、連泊の人は大助かりです。前栽や坪庭などは、いかにも、のKYOTOスタイル。定員は基本的に2名。「ももはな庵」は例外的にキャパが大きい物件です。


路地の奥なので、都心を忘れさせるような静けさ。車の騒音など全く聞こえない。かつ、無人ハウスだから、利用者が自分流に使いこなすことができる。外国人や東京人には印象強烈な京都ステイでありませう。
 もっとも、オーナー側にすれば、えらくリスクの大きい経営になります。宿泊客と顔を合わさないのだから、アドレス以外になんの顧客情報も持たないまま一軒家を貸す。だから、予約申込み時に客の国籍を尋ねる、料金は全額前払い、キャンセルペナルティーがきつい、などの利用者には鬱陶しい約款は、まあ仕方ないか、という気もします。というか、この鬱陶しい手続きによって不良客を除外していると察します。


現在、同社だけで十数軒の物件をもっていて、写真を見ると、外観やインテリアでは魅力的な宿のレベルを有していると思います。新しい宿泊スタイルとして、また、古い町家の活用方法として支持を広げるのではと想像します。誰でも利用できますが、旅行といえば「おんぶに抱っこ」のサービスが当たり前と思ってる、依存心の強い人はペケです。(10月8日泊)

参考情報
http://www.kyoto-machiya-inn.com/ja/about-us/


二日間で観光、見学したところは次回に掲載します。


こんなに狭い路地の奥にあります。
わんぱく 


路地の突き当たりが玄関
わんぱく8 おわり 


前栽
わんぱく8


坪庭
わんぱく8 


二階寝室 デスクにiPadがある。
わんぱく 


浴室
わんぱく 


寿司や牛めしで夕食
わんぱく 


利用料は
3名宿泊の場合 1名=11300円
6名宿泊の場合 1名= 7200円 
アメニティは揃ってますが、浴衣のサービスはなし。
物件によって値段が異なります。

読書と音楽の愉しみ


●遠藤周作著「老いてこそ遊べ」を読む

 著者は文壇で「そそっかしい男」の見本として有名だったらしい。ご本人もそれを認めて、思い出すさえ血が逆流するようなハズカシイ体験を本書に書いている。

◆その一
 親しくしていた若い雑誌記者が亡くなったという知らせを受けたとき、私は驚愕した。とにかく霊前に供えて頂こうと果物籠を持ち、世田谷の彼の家まで飛んで行った。夕暮れで回りは暗く、道は複雑、やっと電信柱に家の名前と方角を書いた張り紙を見つけた。
 「ご免下さい」私はその家の玄関戸あけ、静まりかえった奥に声をかけた。彼の母らしい老婦人が出てこられた。「遠藤と申します。このたびは・・・」そこまで言って深々と頭を下げた。果物籠を差し出し「よろしければ、お線香を上げさせてもらえますか」「は?お線香?」老婦人へ怪訝な顔をして「うちは・・誰も・・亡くなっておりませんが」


途端に頭に血が逆流した。しまった、家を間違えた、と気づいた。しかし、もう遅い。「失礼をば致しました!」吠えるように叫び、鉄砲玉のように玄関を飛び出した。しかし、しばらくして果物籠を置き忘れたことに気づいた。何ということだ。私はまた玄関戸を開け「果物籠を頂きます」と言ったときの恥ずかしさ、今でも忘れられない。


◆その2
 新幹線が出来たばかりのころ、大阪のNHKで仕事があり、一泊しての帰りにはじめて新幹線に乗った。駅で見送ってくれるはずのNHKのひとが見つからない。それで自分の車両の指定席にゆくと白い布にくるんだ弁当がおいてあった。NHKが気遣いで用意してくれたのだろう。


列車が動き出してから弁当を開けると、とても豪華なものだったので、さすがはNHKだと感心しながら箸を進めた。三分の一ほど食べたところ、男がやってきた。隣の座席に座り、キョロキョロした挙げ句、「その弁当、わしのと違いまっか」というようなことを言った。「いや、これは私の席に置いてあったのです」「え?そんならわしの弁当やで。大阪の料亭で作ってくれたもんや。それを君は食うとんか」「えっ、これはあなたの弁当?」「君はわしの弁当を断りもなしになんで食うんや。大阪の料亭の女将がわしのために、わざわざ持ってきてくれはったんやで」


「申し訳ありません」「君は海老も食うたんか」「はあ」「卵焼きも半分食うとるやないか」「はあ」「そこの卵焼きは旨いんや。女将が特別につくってくれたんや。いったい君は何ということを・・」
 ブツブツ、グチグチ、男は私に文句を言い続ける。「ケチ、ケチンボ」私は心の中で反駁し続けたが、非はこちらにあるのだから、ひたすら詫び続けるしかなかった。このような恥ずかしい経験を夜中に目覚めたときに思い出してしまうと、おもわず「わ~~っ、バカヤローッ」と叫びたくなってしまう。(72~75頁 文章は原文を編集しています)


遠藤周作は「怪人二面相」の作家であります。クソまじめな内容を書く遠藤周作と、ユーモアたっぷりのエッセイを書く「狐狸庵」と。自分が読んだのは大方「狐狸庵」の類いで、マジメ作品は「沈黙」くらいかも知れない(思い出せない)。このユーモアエッセイと北杜夫の「どくとるマンボウ」シリーズはたくさん読んだ覚えがあります。時代は大阪万博のころだったか。(2013年3月 河出書房発行)


遠藤周作



大阪日暮綴



●世にも珍しいタネ  ~長居植物園 ネイチャーホール~

 特別展「タネとタマゴ展」で珍しい植物のタネが展示されています。いずれも外国産で、生きるため、子孫をつくるためには何でもありみたいな変わった種子です。(同展は10月18日まで)


◆ライオンゴロシ
 名前からして恐ろしげであります。草原に転がっていて、ライオンが通ると鋭いトゲで脚に絡みつく。ライオンが口でこれを取り除こうとすると口に刺さり、物が食べられなくなる。たかが植物の種とあなどってはいけない。

タネ展


◆バンクシア
 ヤマモガシ科の植物。山火事によって芽を出すという因果な植物。自らは入念な耐火構造で保護し、ガードを固めると山火事の発生を待つ。山火事は植物を滅ぼす敵と思いがちだけど、火事で子孫を繁栄させる植物もある。

タネ展



◆タビビトノキ
 上の二つに比べて、これは名前もロマンチック。マダガスカル原産で「ゴクラクチョウカ科」の種。美しい蛍光ブルーでひときわ目立つ。なんの必要あってこんな色になったのか。

タネ展

タネ展






プチ・ケチの研究



●定番おかずになった「豚肉と野菜のあんかけ」

 7月下旬にここで紹介した、駄目男の手抜き料理。揚げそばにこれをかけてボリュウムを増やすと、安い、早い、旨い?メーンディッシュになります。何度も繰り返してるうちに味も安定してきました。
 野菜は写真のように刻んで冷凍保存するので、長持ちのうえ、無駄なく使えるのもマルビ生活に合っています。包丁、まな板を使わないことでインスタント感覚でつくれます。材料費は、豚肉50g+揚げそば+野菜各種+片栗粉=150~200円くらい。


あんかけ 


ぶなしめじ、ニラ、人参、白菜、ピーマン・・いろいろ冷凍保存。
あんかけ


読書と音楽の愉しみ



●渡辺利夫著「放哉と山頭火」を読む

 昔、両人の伝記を読んだことがあり、人と作品の概略は知っていたけど、本書の著者は経済学者で、文学は専門では無い立場でどう論ずるのか興味があって購入しました。ただ今は拓殖大学の学長でもあります。


読めば、至ってノーマルな評伝であり、よくこなれた文章で二人のスーパーミジメ人生をリアルに描いている。丹念な資料調査と現地への旅の積み重ねで、まるで本人に密着取材してきたかのような生々しい描写であります。経済学者とは思えない情緒豊かな表現に魅せられます。


尾崎放哉と種田山頭火は自由律俳句のツートップ言える才人でありながら、アーティストとしての生涯はほとんど乞食同然の貧乏暮らしに甘んじた。彼らの貧窮ぶりに比べたら、現在の生活保護受給者はリッチマンそのものであります。なぜ、そんなにビンボーだったのか。二人の共通点は・・

・ふつうの「労働」が性に合わない。
・ふつうの「世間との折り合い」ができない。
・アル中であった。

これじゃメシが食えなくて当然でせう。二人とも生業といえる仕事に携わったのは数年間で、あとは「住所不定・無職」の人生に甘んじた。もし、彼らのような人物が身辺にいたら誰だって軽蔑の眼で見る。犯罪を犯すかも、と警察に通報するかもしれない。そんな、究極の「丸出駄目男」の作品は・・・

◆尾崎方哉

・なんにもない机の引き出しをあけて見る

・夕べひょいと出た一本足の雀よ

・わが肩につかまって居る人に眼がない

・墓のうらに廻る

・爪切った指が十本ある

・咳をしても一人


◆種田山頭火

・分け入っても分け入っても青い山

・まっすぐな道でさみしい

・どうしようもないわたしが歩いてる

・鉄鉢の中へも霰(あられ)

・酔ふてこおろぎと寝ていたよ

・うしろすがたのしぐれてゆくか


衣食足りて平穏な暮らしをしている人にこのような句はつくれないのでせうか。「咳をしても一人」なんて、孤独の極北のシーンにおいてしか生まれないような気がする。たった九音で百行の詩にに勝る説得力をもっている。ま、「咳をしても一人」それがどないしてん、という鑑賞も自由でありますが。


自由律俳句の提唱者の一人である荻原井泉水は、二人のよきサポーターになった人ですが、二人に比べたらよほどノーマルな暮らしをした常識人でありました。それゆえに? 二人のようなインパクトのある句は生めず、後世の人気、知名度では後塵を拝することになる。皮肉なことですが、それぞれの立場、境遇で頑張ったという点で優劣はつけられない。


せめてもの救いは、二人とも本当の「野垂れ死に」はしなかったことです。息を引き取るとき、そばに人がいた。放哉は小豆島で、山頭火は松山の庵で、畳の上で穏やかに死んだ。これ以上、何を望むことがありませうか。(2015年6月 筑摩書房発行)


山頭火の辞世・・もりもりもりあがる雲へ歩む

雲



雲 






大阪日暮綴



●「てんしば」オープン

 天王寺公園を収益施設にしようと目論んで、近鉄グループが受託者になってリニューアル。いわば、公園の民営化です。
 10月1日にオープンしたものの、飲食、物販施設の半分くらいは開業に間に合わず・・というブサイクな風景になりました。業態やテナント料で折り合いがつかず、モメたのかも知れません。
 開業した店を見ると、顧客は幼児を連れたファミリーに的を絞ってるように思えます。阿倍野界隈でベビーカーを使ってゆっくりくつろげる場所はないので、この狙いは当たりでせう。駐車代金や飲食での消費を考えると、お金を使わないロージンは相手にしないのがコンセプトか。今回のリニューアルによって利用者はぐわらりと世代交代しました。


以前は公園利用は有料(150円)でしたが、当然、無料になりました。これは良いけど、出入り自由になったぶん、セキュリティの面でややリスクが高まります。今まで改札ゲートが界隈のヨタモンの入場を防いできたので事故はなかったけど、このガードが無くなります。


地元では天王寺の街を「アカペラタウン」にしようという意気込みがあり、早速イベントが行われました。芝生広場に大がかりなステージをつくって、10組以上のグループが公演、無料で公開というサービスです。カップルや家族連れで大賑わいでしたが、じいさん、ばあさんは居場所を失ってボーゼン・・の体でありました。


「てんしば」=天王寺公園芝生広場 の略称らしい。
てんしば



東入口にできた「タリーズ」カフェ
てんしば



アカペラのライブ。このグループは大阪大学のOB「6-SENSE]
てんしば 



芝生に座っての見物。若い人が多い。
てんしば 



じいさん、ばあさんには、美術館裏の「慶沢園」がおすすめ。ハルカスがかっこよく眺められます。但し、有料です(150円)大阪市民は敬老パスがあれば無料。
てんしば 






閑人帳


堀場製作所の社是

堀場



●堀場の計測器がVWの不正を暴いた

 制裁金や改修費用が天文学的な巨額になりそうなVW問題。そのきっかけはウエストヴァージニア大学研究班のデータ指摘でした。このデータをつくったのが堀場製作所がつくったポータブル排ガス計測器です。この計測器がなければ、不正はまだ続いたかも知れない。


車の排ガスデータ収集は専門の試験場で行われるので、計測器も大型の据え置きタイプが試験場に設置されます。この場合、車の走行はローラーの回転で車輪を回す仮想走行のかたちでテストされます。だから、小刻みなスピードの変化がなく、ハンドル操作もありません。いわば、試験用モードでの走行で排ガスが測定されます。このモードをVWは悪用した。試験用モードの走行を察知すると、排ガスが少なくなるようなソフトウエアを起動させて規制をクリアさせた。


しかし、これだと車の実用走行での排ガスは計れない。実用走行で計測するには、車に積み込める小型の装置が必要です。これを堀場製作所が大学に納入し、どんな車でも排ガスが測れるようにした。VWが不正をはじめた頃は、こんなポータブルな機械がなかったから、実用走行での測定は想像外だったでせう。当然、不正はバレないと思ってしまった。


クソ、憎きHORIBAめ! VWは堀場を恨んでる。しかし、覆水、盆に返らず、であります。たった一台の機械がVWの経営を大ピンチに追いやっただけでなく、ドイツという国家のイメージダウンまで招いてしまった。その影響力の大きさは「文化的原爆」と言えるかもしれない。


もっとも、堀場にすれば、顧客のオーダーに応じて製作、納品した計測器の一つに過ぎず、大発明でもなんでもない、開発商品の一つです。ただ、これは売れるかも、という感触があったのか、一般商品として、一台2000万円で販売している。今回の事件を機に、たくさん売れるかもしれない。


京都には、計測器や分析機というお堅い機械をつくるメーカーが二つあって、堀場製作所と島津製作所。似たような業態なのに、生い立ちや体質は「いちびり」と「くそまじめ」と表現できるほど違う。むろん、堀場が「いちびり」であります。「くそまじめ」島津にはノーベル賞を受賞した田中さんがおられるから納得できます。


堀場製作所の社是は「おもしろ おかしく」です。創業者の堀場雅夫氏(故人)が提唱した。商品の発想、開発の原点はコレで行こうという。サントリーの「やってみなはれ」に近い柔軟な考えですが、社員が6000人まで増えた今もこの精神が行き渡っているのかな、と少し?なところもある。ともあれ、この「おもしろ おかしく」精神で開発された計測器によってVWは大打撃を受けた。VWの幹部がこの社是を知れば、頭に血が昇るでありませう。英語では[JOY&FUN]です。

 いちびりが昂じて? 社歌までつくってしまった。(動画)
http://channel.horiba.com/ja/#corporate22

参考情報
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVFTIG6KLVR601.html
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2015100390094503.html


堀場の車載用排ガス測定装置
堀場




ウオーキング・観光



●矢田丘陵の楽ちんコースご紹介

 矢田丘陵の「子どもの森」はランチに適した素敵なオアシスでもありますが、徒歩でアプローチすると、バス停から遠かったり、坂道が続いたりして、非力なロージンにはややきつい道になっています。 そこで、一番楽ちんと思える「若草台」からのコースを試してみました。これなら急坂道にあえがなくても、楽々到達でき、また、バス停からは即森林の中をゆく「快道」です。子どもの森からは、東明寺~矢田寺~大和郡山市営グランドの山腹を縫う道を選びました。(他にもいろんなコースが選べます)里山歩きが好きな人におすすめしたいモデルコースです。(徒歩5,5キロ アップダウン150m)

◆近鉄学園前駅 南改札口出て3番乗りばから「若草台」行き乗車。終点下車 約15分。毎時1本。 帰りは「市営グランド前」からJR「大和小泉駅」行き、又は「近鉄郡山駅」行きに乗車。所要20~25分。毎時3本。何れも奈良交通。


雑木林の中をゆく
矢田丘陵 


おなじみ「子どもの森」平日は閑散としている。
矢田 


持統天皇ゆかりの東明寺
矢田 


この狭い丘陵地にもイノシシが棲息している。
矢田 


まもなく稲刈りがはじまります。

矢田




矢田 






閑人帳



●老人ホームにKNさんを訪ねる

 KNさん(85歳)は昨年暮れに奥様を亡くされて郊外の家に一人暮らしをしておられたが、認知症がはじまったこともあり、息子さん、娘さんの世話で老人ホームに引っ越しされました。
 場所は阪神芦屋駅から徒歩10分たらずの静かな住宅街。大手業者が運営するホームは、外観はありふれたマンションの趣ですが、中はなかなかリッチなつくりです。(写真参照)4階建て60室の規模で、現在は満室だそう。個室は約22平米。トイレ有り、風呂は共同です。


ホームから歩いて10分くらいのところに娘さん家族が住んでいます。これでご本人も娘さんも大安心になりました。立派な施設、親切なスタッフ、美味しい食事・・とKNさんに不満はありません。


自分で掃除をしなくて良い、洗濯もしなくて良い、メシも作らなくて良い、買い物はスタッフに頼めば良い、嫌いな人とは付き合わなくて良い。健康診断は、病院へ行かなくても、医師がホームへ来てくれる。駄目男と真逆の恵まれた「安全保障体制」生活が認知症へまっしぐら・・。


「一日をどうして過ごしていますか」の問いに「だらだらテレビを見てるうちに一日が終わります」と。今は、事務所に頼んで新聞を購読しているが「だんだん読むのが面倒になった。読んでも何も残らない」。散歩が健康に役立つ事は分かってるけど、足が弱ってるので外へ出るのが億劫になった。一人で外出すると戻れないから、スタッフの付き添いが要る。当然、スタッフは散歩を勧めない。「ええ天気や、ちょっと散歩に出かけよう」これが、どれだけ有り難いことか再認識させられます。


外出したがるので、ホームと芦屋駅との中間にある喫茶店でお茶にしました。雑談のなかでKNさんは「認知症って病名は今年出来たんですよ。去年までは「物忘れ外来」というたんですわ。だから、認知症って名前、医者も知らへん、けしからん」と言います。そこで「そんなアホな!」と逆らっても仕方ない。あちゃ、そうでっか。私も知りませんでしたわ。これで話が円滑に続くのであります。


KNさんがしみじみ言うに、80歳を越えた老人の悲しみは、同年代仲間がつくってきたコミュニティが次々と消滅していくことです。死亡や寝たきり化で同窓会や趣味の会が維持できなくなって消えてしまう。生涯、一つの会社で仕事人生を終えたサラリーマンには、元職場仲間と同窓生が付き合いのすべてという寂しい余生を送ってる人もいます。さりとて、80歳過ぎて新たな付き合いをはじめるのは難しい。


であれば、老人ホームは新たな出会いの場になるではないか、と思えます。確かに良い機会になるけど、仮に半数が認知症患者であれば、一般人のイメージするコミュニティづくりは困難でせう。でも、成功例はあちこちにあるかもしれない。


老人ホームに知人を訪ねるのは三カ所目です。帰宅してから、ここなら「なんぼかかるねん?」と調べてみました。
 
◆月額支払型契約(頭金なし)
一ヶ月・・413,000円

◆入居金型契約
頭金 1050万円
毎月 213,000円
(注)医療費やおむつ代は別途支払いになります。介護の等級が上がると更にアップします。

 ちなみに、駄目男宅周辺(住吉区)に乱立している施設の料金は、入居頭金ナシで月額13~16万円くらいが多い。老人ホーム暮らしも大きな格差があります。


老人ホームに入居することは、自立した暮らしを止めるということです。世間と縁が切れることを覚悟しなければならない。おそらく経験したことのない孤独感に苛まれる。これに耐えるには、それなりの哲学が要ります。しかし、予習は難しい。ボケたら悩むことも無くなる、なんて失礼でせう。


ホームの玄関ロビー
ホーム


広い中庭がある
老人ホーム


各フロアにある団らん室
ホーム


団らん室の隣には、家族やグループで使えるキッチンつきのダイニングルームがある。
ホーム