FC2ブログ

読書と音楽の愉しみ



●百田尚樹著「至高の音楽 ~クラシック永遠の名曲~」を読む

 映画「永遠の0」鑑賞の帰り道に原作者、百田尚樹の本を2冊購入。本書と、もう一冊は「モンスター」

 著者は、レコードやCDの蒐集が2万枚を超えるという音楽マニア。原稿を書くときはBGMとして常に音楽を鳴らせている。「永遠の0」の感動シーンではマスカーニの「カヴァレリア ルスティカーナ」間奏曲をかけ、キーボードに涙をポタポタ落としながら執筆したという(ホンマか?)


本書では百田流名曲セレクションとして26曲を選び、解説や自分なりの思い入れを短く書いている。誰でも知っている「運命」や「第九」も入っているが、バッハの「平均律クラヴィーア曲集」とかラヴェルの「夜のガスパール」といった、ややなじみの薄い名曲もある。(付録に26曲のサワリが聴けるCDがついています。2013年12月 PHP研究所発行)


至高の名曲 


駄目男選「あの世でも聴きたい名曲CDベスト10」
 そこで、駄目男も思いつきました。百田センセイより余命が短いことから「あの世でも聴きたい名曲CDベスト10」を選びました。もっとも、あの世が極楽ならいいけど、ウン悪く地獄行きならCD持ち込み禁止、24時間労働になるやも知れず、名曲鑑賞どころではないでせう。


 1・バッハ「無伴奏ヴァイオリン パルティータ」
 2・バッハ「ゴルトベルグ変奏曲」
 3・モーツアルト「弦楽五重奏曲 ト短調 K516」
        モーツアルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
 4・ベートーベン「交響曲第三番」
 5・ブラームス「交響曲第四番」
 6・ベルリオーズ「幻想交響曲」
 7・ブルックナー「交響曲第八番」
 8・ブルックナー「交響曲第九番」
 9・マーラー「交響曲第二番 復活」
10・シベリウス「交響曲第二番」


2014年1月現在で選んだら、こんなもんですか。交響曲が多くて重苦しい感じがします。ま、来年になったら3割くらい入れ替わったりして。百田センセイの選曲と重なっているのは、バッハのゴルトベルク、ベートーベンの3番、ベルリオーズの幻想、ブルックナーの8番、と4曲もあります。好みが似ているのか。ブラームスは、一番か四番か、迷いましたが、知名度は低いけど、思い入れの強い四番を選びました。



旅立ちの音楽はこれ!
あの世で聴きたい名曲は以上の通りですが、あの世へ行くときの、旅立ちの音楽として、ぜひ聴いてほしいのが,モーツアルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」です。短ければ2分30秒、長くても4分くらいの演奏時間。短いけれど、よくぞこんなに美しいメロディが書けたもんだと感心する、駄目男推薦「至高の音楽」です。

日頃、神も仏もあるもんかと、信仰心ゼロで暮らしてる人も、思わずしんみりしてしまいます。心が清められる音楽。キリスト云々はさておいて、世界中の人の魂を魅了できる名曲です。この曲を聴きながら息を引き取る・・を想像してみて下さい。最高のラストシーンだと思いますよ。


■歌詞はこのように訳されています。

めでたし、まことの御体、
処女マリアより生まれた方。
あなたは本当に苦しみを受け、犠牲となられた。
十字架のうえにて、人のために。
あなたの脇腹は刺し貫かれ、
 水と血が流れいでた。
私たちの先駆けとなってください。
死の試練の時に。 


■聴いてみたい人はこちらでどうぞ。(拍手が邪魔です)
http://www.youtube.com/watch?v=NIIwWaI6yNg


■このアカペラもすばらしい
http://www.youtube.com/watch?v=pLJXJCmrzQE



■少年合唱団が歌えば・・
http://www.youtube.com/watch?v=BGv7aveIEf4 



スポンサーサイト

読書と音楽の愉しみ

 

●奥田実紀著「タータン・チェックの歴史」を読む


図書館の新刊書の棚で見つけて拝借。ファッション関連の解説書であります。スコットランドの風景や服飾の写真が多くて、なかなか楽しい読み物です。


■お洒落なデザインの裏に暗い過去
 タータンチェックは、いわば地場産業のひとつで、なんとなく中世以後に生まれた織物という気がしますが、実は2000年前の現地の発掘物にこの格子柄が見つかっており、日本でいえば、弥生時代に生まれた、とても古い文化です。シンプルに見える格子柄が連綿と続き、現代のファッションやインテリアにも普通に使われていて、古くささを感じさせないこと、ご承知のとおりです。これくらい息の長い柄(デザイン)は他にないのでは、と思います。


しかし、平穏に連綿と継承されたのではなかった。イギリスは北と南で文化が異なり、常に南のイングランドが北のスコットランドを圧迫、いじめてきた。戦争と和解を何度も繰り返し、犠牲者の山を築いて現代に至るが、モメごとが無くなったわけではないそうだ。


■デザインは登録制になっている
 カタイ話はさておき、タータンの柄が登録制だとは知りませんでした。誰もが自由にデザインして商品化できるのではなく、あらかたデザインを登記するそうです。和装の留柄(留型)と同じように、他者が勝手にマネできないという保護システムになっている。まあ、中国人などは知らん顔するでしょうけど。


というわけで、日本でもオリジナルデザインを登録している団体があり、三越や伊勢丹なども登録、英国関係の催事で使っている。世界中で数千のデザインが登記済みだそうです。なにげに見ている格子柄も、歴史やこだわりがあるということです。
 スコットランドでは氏族ごとにデザインが決められ、日本の「家紋」と同じような感覚で由緒来歴を象徴的に表現しています。


■キルトを着用するときはパンツをはかない!?
 スコットランドのファッションといえば「キルト」。一枚の大きな布を身体に巻き付ける感じでまとう、独自のデザインです。どうしてまとうかは下のイラストをご覧下さい。床に広げた布に座り込んで巻き付けるなんて、えらく難しそうに思うけど、毎日繰り返していたら苦にならないのか。しかし、洗濯はどうするのか?・・センサクしないでおきませう。

 一枚布の様式は、上体部でかさばる、重いなどの理由でリ・デザインされ、現在は上部と下部(キルト=スカート部)に分かれたツーピースタイプが普及しているそうです。そして男性が着用するときはパンツをはかない。ホンマか?と疑いますが、81頁にホンマや、と書いてあります。「真のスコットランド男は下着ナシ」が常識だそう。真の日本男児はふんどし締めてがフォーマル、というのに似ています。(法律で禁止されているのではない)
 公式行事などではバグパイプを演奏しながらの行進場面とかありますが、誇り高きおじさんたちはみんなノーパンで・・ホンマかなあ。(013年11月 河出書房新社発行)


(注)タータンチェックは和製英語。諸外国では「タータン」のみで通じる。

  

             大きな一枚布に座り込んで腰に巻き付ける。

タータン 


女性ファッションでのタータン

タータン 



キルト無題


タータン 


プチ・ケチの研究



●マルビの味方・・二度食べられる「豆苗」

 昨年12月30日に紹介した豆苗、根を捨てずに水に浸しておくと、再び成長して元のボリュウムの3~4割くらいになります。100円で買ったとすると、実質60~70円になる計算。成長には早くて数日かかるけど、なんか得した気分です。では、三度目も?と欲が出ますが、根の栄養分が無くなっていてアウトだそうです。


これは消費者にはメリットになるが、水分を含んだ根ごと販売するのは物流の点でデメリットになります。かさばる、重くなる、のがいけない。また、消費者の生ゴミ処分においても、水分たっぷりの、とても燃えにくいゴミになるので問題ありです。
 メーカーでは、食べる部分だけカットしてパックする商品も売りはじめたらしいけど、賞味期限が短いという難点がある。あれこれ全て満点の食材開発って難しいものです。


再成長した豆苗 
豆苗

読書と音楽の愉しみ


●近藤誠「がんもどき論」に対する反論

 前回に紹介した本は一般読者向けに書かれた本で、誰が読んでも内容はほぼ理解できます。しかし、専門家はこのわかりやすい記述こそ近藤流インチキ学説で「学問もどき」だとバッサリ切り捨てています。いや、この表現も面白い。


やはり、近藤氏は医学界の「目の上のたんこぶ」目障りな邪魔者と見られているらしい。前にも書いたが、それでは、近藤氏はなぜ所属する慶応大学から追放されないのか。慶応だけでなく、がん医療学会全体で学問上問題有りと糾弾してもよいのではないか。


反論はShoというニックネームの腫瘍内科医がブログに書いています。近藤氏との論争テーマは、2011年2月号の「文藝春秋」誌と同1月27日号の「週間文春」誌。ここで述べた近藤氏の持論への反論です。
 全部読めば、相当な長文で、しかも専門用語やグラフがでてくるから、せいぜい半分くらいしか理解できない。(著者は一般人向けに書いているつもりですが・・)


具体的にどう反論しているのか、書こうとしても情報量が多すぎてまとめられない。書いても、誰も読んでくれないだろうし。ヘタすると間違った内容になるのでパスします。興味ある人は読んでみて下さい。
 Sho氏は内科医なので、近藤氏の「抗がん剤は効かない」説でアタマに来ているとみえ、あんなの「学問もどき」と揶揄しているものの、反論で一所懸命に説明するほど素人にわかりにくくなる。この辺が難しいところです。ただ、近藤氏の「抗がん剤は全部毒、無駄」の単純明快さに比べ、「抗がん剤は有効」の説明がどれだけ難しいかは素人でも察しがつきます。


ほんわかした感想をいえば、抗がん剤は有効であるのが事実だとしても、それを身内や学会だけの情報として共有しては、患者は蚊帳の外に置かれたままです。ほとんどの場合、自らがん患者になって始めて薬の名を知るのではないか。医師の説明に納得できればそれでいいのかも知れないが、きつい副作用を考えると、不安が無いとは思えない。


抗がん剤情報を身内情報にとどめず、もう少し世間に広報してほしい。「現在、有効とされる抗がん剤の仕様や価格、保険が使える、使えない、今、開発中の新薬情報」などを厚生労働省で公開したら、少しは知識が広まる気がします。(ネットで探せばあるかもしれない)例えば、年に一回、新聞の全面広告で一覧表を示すとか。知ってる名前の薬を処方されるだけでも安堵すると思います。理想を言うなら、風邪には葛根湯、腹痛には正露丸みたいな「定番抗がん剤」が使える時代が来てほしい。


参考ブログ「がん治療の虚実」
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/theme-10030731337.html

http://ameblo.jp/miyazakigkkb/theme3-10030731337.html#main

読書と音楽の愉しみ



●近藤誠著「がんもどき」で早死にする人
     「本物のがん」で長生きする人  を読む

この本を読む動機は、下の宣伝文句に釣られたから。
 

「がんもどき」で早死にする人の養生訓

メタボと言われれば、ダイエットに励み
高血圧、高血糖と言われれば 薬を欠かさず

寒いときも野菜ジュースを飲み
みんなにマジメと言われ
がんになったらとことん闘いぬく
そういうふうに、わたしは生きたい


「本物のがん」で長生きする人の養生訓

毎日好きなものを食べ
酒も甘味も楽しみ
カロリーや血圧を
細かく勘定しないで

いよいよのときは
ありがとうと笑い
そういうふうにわたしは死にたい


(注)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
がんもどき=・自己増殖する ・転移しない ・自然消滅もある。
本物のがん=自己増殖する ・転移する ・完治はほぼ不可能

この文句。宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」のモジリです。
 がんに関する知見がかいもく無い駄目男は、がんもどきって、おでんの具材みたいやなと、しょーもない想像してしまいますが、他人事みたいに言ってる場合じゃない。統計上、日本人は3人に一人ががんに生命を奪われている。なのに、自分は余りに無知すぎる。で、大枚1000円を投資して本書を買ったのであります。


自分と同じくらいに無知な人は、この本を読んで困惑するのではと思います。著者はがん治療についての世間の常識に堂々と楯突いてる。常識が間違ってるのだと断言している。がん医療界におけるアンチ派、アウトサイダーです。以下、駄目男の感想を交えた内容紹介です。


■がん検診は受けるな
 早期発見、早期治療こそがん治療の基本と唱えられて、行政から企業まで「がん検診」が大いに普及しました。おかげで早期発見がすごく増えた。そして早期治療すればがんは治り、がんで死ぬ人は減るはずです。
しかし、実際は減るどころか、増えています。早期発見に何ほどの意味もない。患者が増え、死者も増え、では何のための早期発見、治療なのか。


この現実に対する著者の考えを要約すると・・・
1・技術の進歩でがんの発見がしやすくなった。しかし、本物以外の、ニセモノのがんもどき(悪性で無い腫瘍)もがんと診断されやすい。
2・がんが命を奪う前に、治療行為(手術・抗がん剤)が死を招く。


ゆえに、短絡した言い方ですが
・がん検診を受けると、悪性で無い「がんもどき」を発見、治療するリスクがある。だったら、検診自体をパスした方が良い。
・高齢者の場合。本物のがんとわかったら、治療による苦痛、再発の不安にさいなまれるくらいなら、「がん死」を受け入れて、痛みのケアだけを十分に施し、少しでも普通の暮らしを長く維持して、最後は餓死のように苦痛無く死ぬほうがベターである、と言ってます。


病気には人一倍敏感なはずの著者、近藤センセイ自身、一度もがん検診を受けたことがないそうです。最新型の高性能機器で身体中アラ探しをするなんて、どやさ!ってことですか。
 


■集団検診をやめたら「がん死」が減った
 本書36頁に、高齢化が著しい長野県泰阜村で、長年続けた集団検診を廃止したら、がん死が減ったと書いてあります。具体的にどうなのかとググッてみたら古めかしいHPが見つかりました。

http://www5.ocn.ne.jp/~kmatsu/gan009.htm

この記事によると、検診廃止前と廃止後では、がんによる死者の数は変わらず、胃がんについては、廃止後には三分の一に減っている。このケースを踏まえ、集団検診を廃止する市町村が増える傾向にある。


■乳がんや前立腺がんの8~9割は「がんもどき」
 検査方法や機器の性能向上で小さな腫瘍も見つけられるようになったけれど、当然、がんでない腫瘍も含まれる。しかし、日本では何故かこれも「がん」とみなして治療を始めてしまうケースが多い。がんもどきを本物のがんと誤診して「快癒した」の結果が得られたら、患者は喜び、医師は感謝され、病院は儲かる・・良いことづくめであります・・幻のがん患者が、どれくらいいるのだろう。


乳がんはマンモグラフィー検診の普及で発見率が高くなった。つまり、患者数が激増した。これで早期発見、早期治療が進んだのですが、死亡者は減らなかった。ということは、ほとんどの患者は「がんもどき」であり、少数の「本物のがん」患者は治療効果がなかったことになる。
 マンモグラフィー検診の普及は多くの「がんもどき」患者を作りだし、手術や抗がん剤による苦痛、副作用を強いられることになった。がんではないのに、がんと思い込むことで「再発の恐怖」も味わされる。同様に、子宮頸部の上皮内がんも99%はがんもどき、診断ミスが多いという。ちょっと信じがたいけど、事実なら大問題でせう。


前立腺がんも「PSA検査」なるものが普及して、患者の数が昔の30倍にも増えた。しかし、これで発見されるのは9割方ががんもどき。著者はこの検査は全くあてにならないと言う。中には本物扱いされて手術を受け、生涯インポテンツの身になる人いる。検診を受ける人に知識が皆無であれば、医師の指導、処方に素直に従うしかない。別の医師に相談しても「PSA検査」は受けるな、なんて言う医師は恐らくいないでせう。


■有名人の「がん死」・・治療死ではなかったのか
 まだ働き盛りなのにあっけなくがん死した、中村勘三郎や坂口良子、梨元勝、島倉千代子など、最良の治療をしたはずなのに生還できなかった。著者はこれらも治療死かも知れないという。人気商売ゆえ、カムバックを急ぐ気持ちは当然にしても、手術や抗がん剤のもたらす負担に耐えられずに亡くなってしまった。ひょっとしたら、やしきたかじんも?・・なんとも言えませんが。


■著者・近藤誠は獅子身中の虫か?
 この本を読む前に抱いていた大きな疑問がある。著者、近藤センセイの肩書きは「慶応大学医学部放射線科講師」です。この立場で「がんもどき」とかアンチを唱えている。しかし、慶応大学医学部は、がん治療に関しては普通に手術と抗がん剤という療法を用いている。つまり、医学部の身内に「がんもどき」論を主張する、反主流派がいるわけです。よって、医学部の方針に逆らうのなら辞めていただきませうと解雇できるはずです。なぜクビにならないのか。これが疑問でした。


答えは本書67頁に,著者自らが書いていました
。(茶色文字)
「組織検査でがんと診断されたのに「治療しない」患者の経過を23年間も観察できた。こんなことが出来た医者は他にいない。(略)こんな診察行為を許してくれた、慶應義塾の「自由」「独立自尊」の精神に感謝します」 


慶応病院に通うがん患者は、医学部での通常の検査や治療に納得できないとか、内容が理解できない場合に、セカンドオピニオンとして近藤センセイのいる放射線科を訪ねて相談できるわけです。がん科の担当医師にすれば、かなりムカつくことに違いない。しかし、少なくとも現在は許されている。逆に言えば、医学部は近藤「がんもどき論」「放置治療論」を打ちのめす論拠を持ち合わせていないことになります。同じ大学の医学部内に相反する「がん」治療思想があり、なぜか共存している。確かに、これは珍しいです。


■我が身を振り返れば・・
 本当はがんが巣くってるかも知れないのに、がん検診を受けないことで「がん患者」の自覚はないし、これからも自発的な検診は受けたくない。この先、なんらかの自覚症状ができて、がんもどきではなくて「本物のがん」と診断されても、幸いなことに、もう後期高齢者です。しゃーない、と受け入れる。(ホンマか?)
 馬齢を重ねるのも悪い事ばかりではない。ヒタヒタと追いかけてくるがんを振り返りつつ、本来の寿命切迫で逃げ切る。人生レースでの75歳、競馬でいえば、第四コーナーで「ガンダイオー」に追いつかれてしまったら、横目で見ながら、1馬身差でゴール(あの世)へ駆け込む。


著者は言う。原初0,1ミリの細胞が、がん細胞になるか、ならないかは運命としか言いようがないと。運命に抗うことは出来ない。さらに、現実には医師の治療方針に逆らうことさえ難しい。
 それは仕方ないとしても、しかし、せめて「がんには本物と偽物がある」「経過観察するだけの放置治療という考えもある」ことくらいは知っておいてもよいと思います。本書は新書版なので、2時間くらいで読めます。(2013年11月 幻冬舎発行)



がんもどき

読書と音楽の愉しみ



●夏目漱石著「道草」を読む

 前回紹介の「彼岸過迄」よりはいくらか読みやすいけど、全編、陰々滅々物語で、これを楽しく読んだ人っているの?な感じ。大正4年に朝日新聞に連載された。毎日、まじめに読み続けた読者は、さぞかし気が滅入ったことでせう。


本作品は夏目漱石の自叙伝に近いというのが定番解釈だそうです。但し、リアルに生い立ち、人生を描いているのではなくて、人物像などかなり変えられてるところもあるが、人間関係についてはほぼ事実に近いらしい。この小説を書いたときは、作品に描かれた人物は生存し、本人の親類なども生きていたのですから、書くのには随分勇気が要ったに違いない。漱石に関わった人を褒めるのなら何の問題も無いけど、ほぼ全員、悪く描かれている。こりゃ、たまりませんです。ブンガクって、因果な仕事ですなあ。


現実に生活を共にしているヨメさん(夏目鏡子)をコテンパンにくさし、昔の養親だった男は強請、たかりの悪人、その回りの人物もろくでなしばかり、という設定で話しが進むから、陰々滅々物語になって当然です。そして物語の軸になるのが夫婦不和で、DVこそ起きないが、悪意とイヤミ満載、救いのないまま終わっている。
 ・・てな単純な話だったらブンガクたりえない。なので読者は上っ面だけ読んで「しょーもな」なんて文句垂れてはいけないのであります。では、この陰気な小説から何を読み取るべきなのか。駄目男の脳ではどだい無理な命題ゆえ、巻末の解説の一部を引用します。(茶色文字)


「主人公、健三(漱石)と妻のお住(鏡子夫人)との根本的な対立の一つは、実用的価値を重んじる生活者と、実用性から切り離された精神的価値に生きる知識人との葛藤にあるとされている。これは単に健三夫婦に固有な対立にとどまらず、西洋的な学問や論理に従って自己を立てていった知識人と日本の身辺現実に忠実であった庶民との断層という、日本近代全体の大きな歪みを鋭敏に嗅ぎあてているということができよう」


・・てな具合に読み解かなければ文学鑑賞にならないのであります。主人公は、知識人、エリートの自覚が強いぶん、庶民感覚と折り合いをつけるのが難しい。全く、家族からも世間からも浮いてしまってるインテリのしんどさであります。まあ、この「近代の相克」みたいな難儀が漱石作品を私小説に堕することから救っているとも言えますけど。嗚呼、漫画が読みたい。(2009年2月 岩波書店発行)


漱石 道草

たまには外メシ



●やしきたかじんのお宝LP?を聴く

 今日は一日中雨降りだった。京都大学交響楽団の演奏会の帰り、バー「クルラホン」に寄ると、いつもジャズのBGMなのにヴォーカル曲が流れている。誰やねん?と訊くと「今夜はやしきたかじんをかけてますねん」と。


たかじんの歌なんて全く聴いたことなかったのでここで初耳となりました。「ゆめいらんかね」などをソフトな声で淡々と歌ってる感じ。LPジャケットの写真見たら、ホンマか、と疑うような若き日の容貌であります。1970年代の録音みたいです。テイチクレコードという名前が歴史を感じさせます。 40歳台ぐらいの相客としばし懐旧談に耽って気がついたら12時前、終電車を延長した新ダイヤに救われてあたふた帰宅しました。(1月8日)


追記:下のサイトで調べたら、LPは1976年発売とありました。ただし「キングレコード」発売となっています。

オフィシャルサイト
http://yashiki-takajin.jp/


LPジャケット
たかじん 



たかじん

たまには外メシ



●ホットプリン・・ってナニ?

 バーで飲めるホットな飲み物といえばホットワインくらいしか思いつかない。他に何かある?と尋ねてつくってもらったのがこれ。レシピは聴いたがすぐ忘れてしまい、覚えているのは卵を材料にしたリキュールがあるということだけ。マスターが言うに、このカクテル、実はお客さんのアイデアでこしらえたそうだ。

 飲めば「甘~~~」。なのは当たり前か。しかし、ホンマにプリンの香りがする。これならピュア下戸の人でも飲める。でも、ノンアルコールではない・・なので、プリンで酔っ払う? 楽しいではありませんか。(1月6日 天王寺「ゴールウエイ」にて)


ホットプリン


バー「ゴールウエイ」前路上で撮影。イルミネーションはあべのハルカスで「60」数字は全面開業までの日数表示?
ホットプリン

ウオーキング・観光



●ヒマつぶしはこれに限ります・・地図と時刻表

 スマホのゲームにはまってるような人から見れば、明治時代の趣味かと笑われそうですが、時代遅れオジンにはこれがええのでありますな。地図は地形図、時刻表は大判の1100頁もある分厚いのを用意して空想の旅に耽ります。空想といっても、あり得ないようなトンデモプランではなく、時間とカネがあれば即実現できる、リアルな内容にします。


行きたい場所だけ決めて、あとは旅行会社まかせといったイージーな旅行は性分に合わない。安さと便利さに惹かれてパックツアーに申し込むなんてサイテーであります。タダでも行きたくない。
 だからといって、ユニークな発想にこだわるのでもなく、自分の好みや予算に合わせるだけです。そのためには地図と時刻表が要ります。むろん、ネット情報も役立てます。


いま考え中なのは、富山県滑川市からローカル私鉄で上市という立山連峰・剱岳山麓の町へ行き、富山へ出る。高岡、金沢を経て、10年ぶりに加賀海岸を歩いてみようかと・・。美術館、2,3カ所に寄れたら幸いです。行程は2泊3日。ビジネスホテル泊で居酒屋食という、いつものパターン。貧乏プランでありますが、田中よしゆきさんの「2泊3日 1万5千円」旅に比べたら、申し訳ないくらいリッチな旅であります。


時刻表・地図


読書と音楽の愉しみ



●夏目漱石著「彼岸過迄」を読む

 昨年夏にOさんから頂いた「夏目漱石を楽しむ」という本が良い手引き書になって、このトシで漱石再入門というわけです。
 とっかかりに「明暗」を手にしたところ、わ、かなわんなあという、なんか拒絶感みたいなのが起きて出直し、あらためて、この「彼岸過迄」を選びました。岩波書店版で無論、現代かな遣いです。


正直言って、これも読むのに苦労しました。文体や語彙が難解だからではなく、ストーリーの展開がもたもたしてるからです。現代作家の文章に慣れているものには十分イライラさせるスローモーな進行で、中頃まではひたすらガマンしつつ読みました。「草枕」ファーストシーンのカッコイイ書きだしに比べたら雲泥の差で「さっさと先へ進まんかい」と尻を叩きたくなります。純文学的に吟味しつつ読むファンはともかく、自分みたいなB級読者の大半はスイスイ読めないのではと勝手に想像します。


内容は、Kという男が、青年期から経験する複雑な人間関係を軸に、短編を組み合わせるように構成されたものですが、主題は「嫉妬」であります。漱石が書きたかったのは「嫉妬」の表裏です。このテーマへの執着ぶりが文に表れていて、これはこれで読み応えがある。嫉妬を素直に表現すればブンガクにならないから、ねじり、ひねくらせて葛藤に苦しむ場面を延々と書く。ヘタな作家なら説得力、表現力不足で行き詰まるところ、飽きさせずに読者を吸い付けておくところが漱石たるゆえんでありませうか。一行書くのに、如何ほど呻吟したのだろうかとB級読者は半ば覚めて読んだのでありました。(2008年9月 岩波書店発行)


漱石 彼岸過ぎまで

読書と音楽の愉しみ



●石原結實著「生姜力」を読む

 図書館でなにげに手に取った健康本。生姜には身体を温める(代謝を良くする)成分が含まれていて諸病に効果ありと解説した本です。
 何年も前から、足裏を冷やしてしまうとなかなか元へ戻らないというクセがあって、経験上、夏でもフローリング床を裸足で歩くのは禁物にしています。病気ではないけど、不快感があります。一方、子供のときから生姜は好物で、あの毒々しい紅色の紅生姜天ぷらは今でも好きです。しかし、実際は食べる機会はほとんどない。


で、読んで見ると、生姜入り紅茶や生姜湯でも飲む習慣をつけたら十分効果があるということなので、ちょっと試してみるかと。高価なサプリメントなんか買うよりずっと安上がりだし(これが大事)自分でアイデアを出すこともできる。


さて、本書によると、生姜は血行をよくして身体を温める効果が大きいので、まずは冷え性の人にお勧めだとあります。但し、同時に「陰性食品」の摂取は控えるようにとも述べています。陰性食品は身体を冷やす作用があるから、生姜だけ摂取しても効果が出にくいと。


陰性食品とは、水、緑茶、珈琲、ジュース、ビールなどの飲み物。野菜サラダに使うキャベツやレタス、トマト、キュウリ、南方系の果物のバナナ、パイナップル、マンゴー、それに、うどん、パンも含まれます。対して、陽性食品は餅米、あずき、黒豆、レンコン、ねぎ、玉ネギ、里芋など。こうして見ると、和食のレシピには陽性食品が多く使われていることがわかります。和食は健康食といわれる隠れた要素です。珈琲は陰性食品だが紅茶は陽性食品、日本酒、赤ワインも陽性。肉や魚介類も分類されてますが、長くなるので割愛します。(この項、別の資料を引用)


ウソかマコトか・・本書には、冷え性や肩こりのほかに、便秘や胃潰瘍、更年期障害、肥満にも効果アリと書いてあります。生姜は免疫力を高めるので癌にも有効という情報もあるらしい。ホンマなら朗報です。幸い、生姜の味や香りが嫌いな人は少ないので、誰でも取っつきやすいのもメリットでせう。(2009年6月 主婦と生活社発行)


後日、ただいまお試し中の記事を書く予定です。深刻なビョーキじゃないのだから、こういうのは面白半分にやるのがポイント


本・生姜力