●大阪・阿倍野界わいの
「砂漠」と「ジャングル」風景 (その1)
■アベノ砂漠、出現!!
「昔、阿倍野のへんに住んでましてん」という人が下の写真を見たら「あちゃ~、えらいことになってますがな~」と目を丸くするかも知れません。近鉄百貨店の西向かい側がただ今「アベノ砂漠」状態になっています。
昭和50年代から始まった一帯の再開発プロジェクトがようやく最終段階を迎え、ちんちん電車が走るアベノ筋の西側を更地にして、これから大規模商業施設の建設が始まります。よって、写真の砂漠風景も2,3ヶ月で消えるはずです。
キタやミナミの繁華街に比べて、地味で景観の変化があまりなかったアベノ界わいですが、今年から大変身開始というわけです。その中心事業は二つ、一つは砂漠の上にできる東急が主体のショッピングセンター。もう一つが近鉄百貨店の建て替えです。建て替え計画では西側の旧館を取り壊し、60階建て、300mの超高層ビルになるそうです。
この阿倍野大チェンジ、果たして成功するでしょうか。むろん、成功してほしいが、極めてリスキーな事業計画であること、当事者も消費者も感じてるのではないでしょうか。 失敗を懸念する一番の理由は、現在でも物販やサービス業の供給が過剰になっていると考えられるからです。これ以上、店を増やしてどないすんねん?と多くの人が思ってるはずです。おまけに底が見えない大不況到来、ほんまに大丈夫でっか。
現在、この地域には以下の商業施設があります。
近鉄百貨店、同系HOOP、天王寺MIO、天王寺ステーションビル、あべのセンタービル、アポロビル、あべのルシアス、あべのベルタ、Loft、ホームセンター・コーナン。
これらの10の商業施設が客を奪いあってるのに、さらに売り場面積で10万平米くらいの施設が増える。現在の1,5倍になりそうです。一方、どう頑張っても集客力を1,5倍にすることは不可能です。つまり、共存共栄はあり得ない。新しいピカピカのビルができる、その隣で廃墟になるビルができそうです。
近鉄や東急さんは、よほどお金が余ってるんでしょうか。
それはさておき、賞味期限のごく短い「砂漠風景」を紹介します。
阿部野橋歩道橋から撮した阿倍野筋。左が立て替えられる近鉄百貨店。
中央にちんちん電車の停留所、右が東急が開発する商業施設の敷地。画面の奥のほうに見えるのが「あべのベルタ」
カメラを右に振って敷地全体を見渡す。ここに総面積18万平米のハコモノができます。事業主体は大阪市。東急がテナントとして入る。
画面中央、道路標識の立っているところが旧旭町通り。角に昔は旧三和銀行があったと思います。右手に進むと飛田方面へ。
阿倍野筋の南寄りにはまだ店舗が残っている。いずれは新設ビルに入居するのだろうか。撤去後は道路が拡張される。ちんちん電車のレールも移設?
酒場ガイド誌には必ず紹介されていた居酒屋「明治屋」も閉店、どこかで 仮営業してると思いますが・・・。
砂漠の南端に接する「あべのベルタ」のショッピングフロア。
大阪市が開発した商業施設の典型的失敗例。現在、一階の広いフロアはパチンコ屋が入居している。
■東急の開発計画を報じる記事
http://www.tokyu-land.co.jp/news/2009/index_001.html
■近鉄百貨店のホームページ
http://www.d-kintetsu.co.jp/store/abeno/promo/sale09/index.html
★次回(その2)では「砂漠」と対照的な、駄目男お気に入り、阿倍野筋東側の「ジャングル」風景を紹介します。